この笑顔の男の名前は「井上君」。僕の大学の一年後輩です
彼も僕と同じく落語研究会に所属していました。
と言っても彼は三年生の時に途中入部してきたので、もう四年生で半ば
引退状態だった僕はほとんど彼とサークル活動を共にしていません
彼は宮崎県出身で大学入学と共に上京してきて、三遊亭歌之介師匠の
落語が好きで好きでたまらないと言って落語研究会に入部して来ました。
先輩にも後輩にも人当たり良く、いつもニコニコしている控えめな男でした。
どちらかと言うと器用なタイプの人間ではないかもしれませんが、
小賢しい事を考えて人を欺くようなタイプの人間では絶対ありません。
「うさぎとかめ」なら彼は「かめさん」です。
「アリとキリギリス」なら彼は「アリさん」です。
「三匹の子豚」なら彼は「煉瓦の家の子豚」です。
「長短」なら彼は「長さん」です。
そういうタイプの人です。
井上君は在学中から「プロの噺家になる」とずっと周りに宣言していました。
ところがなかなか入門せず、いつの間にかそんなつもりはなかった僕が
プロの噺家になってしまい、世の中わからんもんだと思ってました
その彼がやっと半年前に念願の歌之介師匠の元に入門しました
「三遊亭ございます」という芸名で、見習いの噺家として活動しています。
そんな彼も今月末から楽屋入りが決定し、いよいよ正式に前座となります。
ちなみに一番弟子で彼の兄弟子の名前が「三遊亭ありがとう」、
もう弟弟子もいるらしく、三番弟子の名前は「三遊亭しあわせ」らしいです。
たいへんユニークな名前のご一門です
先日久々に会って、僕の前座の頃のお古の着物を押し付けてきました。
彼は僕のことを「正太郎兄さん」と呼ばずに「小杉さん(本名)」と呼びます。
まぁ別にいいけど(笑)
これから先、寄席や落語会で彼を見ることもあるかもしれません。
その際は皆様どうぞあたたかい目で見守ってあげてください。
「三遊亭ございます」も僕同様に何卒応援宜しくお願いしたいので
ございます