鬼才テリー・ギリアムの最新作『Dr.パルナサスの鏡』を観てきました。
陰鬱とした世界とブラックユーモア満載の作風が大好きで、
『未来世紀ブラジル』は何度も繰り返し見ました。
ここ最近のテリー・ギリアムの作品はあまりピンと来るものが無かった
のですが、CMを見る限り今回は期待できそう
ギリアム節炸裂みたいな雰囲気だったのでかなり期待してました。
ちなみに主人公トニーを演じるのは急死したヒース・レジャー。
撮影中に急死したので今回の作品は本当の彼の遺作。
ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルという人気役者3人が
急死した彼の後を引き継いだ事ですっかり有名になっちゃいましたね。
僕個人としては仙人みたいな老人、パルナサス博士を
『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐で有名な
クリストファー・プラマーが演じてたのがびっくりだったんですが
こちらはあまり話題になってませんでしたね。
感想は・・・う~む・・・僕には少し冗長に感じられました。
☆☆☆★★
パルナサス博士率いる旅芸人一座に命を救われた謎の男トニー。
彼は過去に博士が交わした契約により、まもなく悪魔に差し出される
博士の娘を救うべく、人間の欲望を映し出す不思議な鏡の中に
入り込み、そこで自分の欲望が創り出す世界に迷いこんでいく
こんなストーリー。はい、無理やりまとめました
散漫になっちゃってるというか、無駄なエピソードが多いというか、
もっと見せたいものを端的に見せた方が面白いと思うんだけどなぁ。
そもそものストーリー自体がかなり無茶苦茶なので、
説明を加えれば加えるほど矛盾は生まれるし面白くなくなる。
今回の場合、観客が見たいのは鏡の中のイマジネーションの世界であって
恋愛模様だの親子の別れだのそんなメロドラマな要素は期待してないのよ。
テリー・ギリアムの悪趣味全開な映像をもっともっと見せてよって感じです
冒頭の酒に酔った男が鏡の世界に迷い込む辺りは『モンティパイソン』の
シュールな世界が現代のCGで甦った感じでとても良かったんだけど、
後半からかなり失速しました
結末もなんかイマイチだし、ストーリーの辻褄が合ってない気がする。
収まりがつかないなら最初から物語なんて放棄しちゃえばいいのに。
そういう点では不思議な世界観と物語を両立させてる『未来世紀ブラジル』は
出色の出来だったんでしょうね
ヒース・レジャーは特に良いとは思わなかったのですが、
ヒロインの博士の娘を演じてるリリー・コールがやたら印象に残ります。
モデルさんらしいのですが、割と個性的なお顔をなさってます(←失礼)
人形っぽい顔なのよね。でもなんかすごく魅力的
この作品の雰囲気に一番合ってた気がします。
とにかく僕としては期待していただけに少し残念でした。
ギリアム監督の次回作に期待です