幹線道路の左車線で運転していると、久しぶりにヒッチハイクを見た。
しっかりと行き先を書いたスケッチブックを頭の上に掲げていたため、
それはハッキリ見えた。
ただ…その行き先は、なにぶん遠過ぎた。
私の行き先の20倍も先である。しかも私にはこの後の予定があった。
ただ、そのヒッチハイカーの気持ちは受け取ったということを伝えたかった私は、
車の速度を少し緩めた。
ほんの少しだけ。
青年は少し気付いて、歯を見せるように笑顔になった。いい青年だ。
でも、人生はそんなに甘くない。
私はまたアクセルを踏んだ。後ろを振り返らずに。
気持ちは応援しているのだ。いつかまた会おう。