基本は自然エネルギーの活用、電気自動車や省エネルギー製品の採用、さらに原子力発電の活用とされている。原子力発電は二酸化炭素排出の削減というよりは安全保障上の理由しかないように思う。
予算の配分は、現行の産業に対する利益供与が中心であるように見える。
省エネルギー製品の製造ということで半導体製品の製造装置等の投資に対する補助金なども大きい。
今の所、全体最適な取り組みはあまりなく、今後の課題である。
さらに、今後の脱炭素社会において理想的な姿や技術をワーキンググループで「ソサエティ5.0」や「地域循環共生圏」や「ムーンショット計画」で推進中だが、予算化して実行されるかは今後の課題だろう。
ちなみに、省庁単位、地方自治体単位での取り組みは、実施に向けての宣言などの参加率は高いが、二酸化炭素削減量の実効性に乏しい。個別最適での省エネルギーではやはり1%程度の削減にしかならないであろう。
前述した内閣府が推進している「ムーンショット計画」は未来の技術指標であり、要素技術としては不可欠なものである。2050年を目処としているが、以下の9つの技術になる。
1.人が身体、脳、空間、時間の制約から解放される社会を実現
2.超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
3.AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し、人と共生するロボットを実現
4.地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
5.未利用の生物機能などのフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出
6.経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現
7.2040年までに主要な疾患を予防・克服し、100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現
8.激甚化しつつある台風や豪雨を制御し、極端な風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現
9.こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現
それぞれは、適切な技術であり将来の二酸化炭素排出削減に役立つのは当然ではあるが、と言って全体最適が達成できるかというとその可能性は低いと考える。
全体最適を示す指標が設定されていないからである。ゴールの設定なしで、ゴールにたどり着けるほど、日本は全体主義ではないと思う。
続く