気持ちがグレー一色ではなかったし、
高橋幸宏という本を読み終えた読後感も湧かなかった。
さて、僕は高橋幸宏さんが亡くなったことをどう整理しようかと考えていた。
幸宏さんを知ったのは、YMOのドラマーとしてだった。
はっぴいえんどのメンバーだった細野さん、芸大出身の坂本さんに挟まれた幸宏さんは、アートディレクター兼ドラマー兼ボーカルで、3人目のYMOメンバーだった。
しかし、アールデコ好きで、アール・ヌーヴォーがそれほど好きでない幸宏さんを取り巻くワードは、飄々とした語り口で伝えられた世界が実に魅惑的だった。
ドラマーとして多くのバンドやアルバム製作に参加した幸宏さんの繋がりから、サディスティックミカバンド、大貫妙子、矢野顕子…
また、交友関係も含めて、加藤和彦、鈴木慶一、デビッドボウイ、ブライアンフェリー、バートバカラック…
幸宏さんの好きな世界を僕も愛し、永く楽しんだ。
まるで、エイプリル・フールのように、この世界からいなくなってしまった幸宏さん。
今、想う。
僕はユキヒロ派だった。
彼は僕のCUEだった。
ずっと忘れない。