【身代わり忠臣蔵】後味が良いんだか、悪いんだか。 | たべあるにっき〜ご飯とお酒と芸能と〜

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外で食べたごはんに、おうち飯。旅行に舞台に、ぴーちくぱちく。
50代女子(?)のリアル食べ歩き日記。体重なんて気にしない!
たくさん食べてたくさん笑おう!

<あらすじ>
江戸中を巻き込んだ絶対にバレてはならない<世紀の身代わりミッション>START!! 嫌われ者の殿・吉良上野介(ムロツヨシ)が江戸城内で斬られ、あの世行き!斬った赤穂藩主は当然切腹。だが、殿を失った吉良家も幕府の謀略によって、お家存亡の危機に!!そんな一族の大ピンチを切り抜けるべく、上野介にそっくりな弟の坊主・孝証(ムロツヨシ)が身代わりとなって幕府をダマす、前代未聞の<身代わりミッション>に挑む!さらに、敵だったはずの赤穂藩家老・大石内蔵助(永山瑛太)と共謀して討ち入りを阻止するというまさかの事態に発展!?幕府に吉良家に赤穂藩も入り乱れ、バレてはならない正体が遂に!?果たして孝証は、江戸を舞台に巻き起こる一世一代の大芝居<身代わりミッション>をコンプリートできるのか!
 
 
吉良が主人公というのは斬新!と思って観に行った。
原作は読まずに行ったが、原作・脚本が「超高速!参勤交代」「引っ越し大名!」の土橋章宏氏なので
良くも悪くも、あのテイストであった。
 
時代劇や歴史、忠臣蔵を知らなくても問題なく入って行けるし楽しめる。
観ながら「この人、大石っていうんだ・吉良っていうんだ」となれるので、
観客側に下準備を要求せずに、物語のみで完結させるのは流石と思った。
 
全編、コメディ色満載ではあるが、その全景を映さず「それって…」と観客側に考えさせるような深いメッセージを送っているように思える場面もある。
そのメッセージに気が付けるかどうかは、ムロツヨシさんの演技力にかかっている部分が多々あったが
流石の演技力であった。
 
様々な意見があると思うが、ムロツヨシさんという役者は、私は「計算」の役者だと感じている。
台本全体を見て、計算し尽くした演技をしてくる。
演じることに流されないというか、良い意味で、役に感情移入しない役者。
間合いなど、全て計算して演られているようにお見受けする。
作中で、ムロツヨシさん扮する考証と接する時間が長い吉良家家老の斎藤を演じる林遣人さんが、
どちらかというと感情で芝居をする方とお見受けするので、実にバランスが良かった。
 
しかし、計算の役者ゆえに、先の芝居が読めてしまい、そこが私個人としては物足りなさを感じる。
『どうする家康』の秀吉役を演じた時も流石!とは思うのだが、予想の範囲内に収まってしまうのが
惜しい。
予想の範囲内と言っても、相当にレベルの高い範囲ではあるのだが…。
 
内蔵助(瑛太さん)と急接近する吉原では…面白いのだが、
太夫役の橋本マナミさんがどうも浮いているように感じて、なんだか、落ちつけなかった。
太夫というようり「国民の愛人橋本マナミ」まんまであったな…。
 
全体を通して、「面白い」「面白くない」で言えば、面白いのだ。
見終わったあとに、何が残るわけではないのだが面白い。
 

クライマックスで、切り離された首を盗られないよう逃げる時に、

ラグビーの陣形を持ち込むのは笑えたのだが、

その蹴ったり放り投げたりしているのは、上野介の首なのだよな、と思うとどうしても笑えなかった。

「古い人間だ」「コメディが分かっていない」と言われればそれまでなのだが…。

 

そんなこんなで、面白くはあったのだが、

後味が良いんだか悪いんだか…という中途半端な感想で終わってしまった。

 

映画も値上がったしね…。

1本2,000円となると、私も観る作品選びに慎重になってしまう。