以下は、宇土地区医師会報 “蕉夢苑だより” に寄稿したものです。

 

 

特別養護老人ホーム蕉夢苑において5月中頃からファイザー社製新型コロナワクチンの第1回接種が始まり、7月中頃には利用者及び職員のほぼ全員が2回目接種を終えた。宇城市役所からワクチン接種について事前の打診があったとき、できるだけ早く実施できるようお願いしたところ、木村医院による実施と決まった。1か月ほど遅れて蕉夢苑ケアハウス入居者についても接種がなされたが、こちらは小篠医院により実施された。心配されたワクチン接種時の副作用について、高齢の利用者に関しては肩の痛みを訴える人はなく、接種後の発熱も見られなかった。2回の接種が問題なくスムーズになされたことに少なからず安堵した。

 

熊本県及び熊本市発表の感染者情報によれば、2回のワクチン接種済みの高齢者にコロナウイルス感染者はいない。ワクチン接種による効果は大きい。

 

 

思い返せば、令和2年2月24日付厚生労働省通知が発せられてからというもの、施設運営がそれまでと一変した。コロナ感染予防が何を置いても最優先の課題となった。換気、手洗い、うがいなど基本的な感染予防を徹底。出勤前に自宅において検温を実施し、発熱などの体調不良者は出勤停止。体温計等は接触型の使用を廃止し、非接触型に取り換えた。不特定多数者による三密を避けるため、会議は書面による決議に変更、集合研修はオンラインによる分散研修に変更するなど対応に苦慮した。飲食を伴う歓送迎会、忘年会などはすべて中止。また特養ホーム入所者、ケアハウス入居者への家族等面会制限を余儀なくされた。その代替措置としてタブレットを使用してオンライン面会を実施している。

 

 

そうこうしながら1年半が過ぎた。早めに2回のワクチン接種を終えたことにより、施設内でクラスターを起こすことはあるまいと思うけれど、それでもなお感染予防措置を緩めることのない日々が続く。コロナ感染が今後どのように推移していくのか、変異株のこともあり、まだ予断を許さない。引き続き感染予防に努めるとともに、医師会はじめ関係機関の協力を得て、創意工夫しながら健全で安心・安全な施設運営に努めたいと思う。