平成12年の司法書士試験の出題です。
出題の仕方がちょっと工夫されています。

不動産がAからBへと売却されたが、所有権の登記名義人はいまだAである場合において、Bの配偶者であるCがBとの間で離婚の調停を行っているときは、Cは、Bとの離婚によって生ずべき財産分与請求権を保全するため、BのAに対する所有権移転登記請求権を代位行使することができる。


この問題の正解は×です。


一身専属権は、原則、債権者代位権の目的となりませんが、具体的な金銭債権として発生しているものについては通常の金銭債権なので債権者代位権の目的となる。
ということは、ちょっと勉強のすすんだ方なら知っていると思います。


出題者の狙いは、「あの判例だ!」と早合点して正誤を逆に判断させること。この判例をぼんやりと覚えていた受験生は危ないかもです。

「調停を行っている」、とありますのでまだ離婚調停は成立していません。調停途中なのです。

「生ずべき」請求権、っていうことは調停が成立したなら、という意味なので、権利としてはまだ発生していません。

以上から判例が直接あてはまる事例ではないので原則どおり誤りの肢となります。



<参考>
協議ないし審判等によって財産分与請求権の具体的内容が形成される前に、分与を受くべき者がこの請求権を保全するため、分与をなすべき者に属する権利を代位行使することはできない。(最判昭55・7・11)




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