むかしむかし、都内のあるところに、

おじいさんとおばあさんと呼ばれるには

流石にまだ早いと思いたい1組の夫妻がいました。

 

 

 

 

紐だプーだとディスられる自称会社員のおじいさんはチャリでUberの配達に、

ヤフコメ燃えがちな元あいのり・現ブロガーのおばあさんは川へ洗濯に行きました。

 

 

 

 

子宝を望むおばあさんの前に、

上流から大きな大きな桃が

どんぶらこ〜どんぶらこ〜とは、

待てど暮らせど、流れて来ません。

 

 

 

 

自然に子供を授かることを望んでいた2人でしたが、願い叶わず。

大人の力とテクノロジーを駆使して、能動的に授かりに向かいました。

 

 

 

 

とある夏の日、

おばあさんは、待望の子宝を授かりました。

最上級の小躍りで、2人はその喜びを分かち合いました。

 

 

 

 

 

それから約10ヶ月、

赤ん坊のことを思い、2人は日々を送りました。

 

 

 

そして、

端午の節句の未明、過酷な出産を経て、

赤ん坊はピヤ〜と産声を上げました。

 

 

 

 

パカっと桃を切ったら、オギャーでバブゥとか、

そんなインスタントでキャッチーなお伽噺ではありません。

 

コウノトリさんが運送してきた訳でも、

矢作川の橋の下で拾った訳でも、勿論ありません。

 

 

 

 

各ご家庭には各ご家庭の苦労があるのは重々承知で、それを比較するつもりも、されるつもりもないですが、

我が家は我が家で、それなりの苦労をして授かり、悲喜交々を経て、やっと今日という日を迎えることが出来ました。

 

 

 

 

生まれたてのブヨブヨの生命体に、

おじいさんとおばあさんは、ももたろくん(俗称)というドストレートな名付けをしでかしました。

 

 

 

 

OK牧場と今にも言い出しそうな

ガッツ溢れる石松的なももたろくんの顔相を見て、

おじいさんとおばあさんは笑い転げましたが、

不思議なことに、見れば見るほど、愛おしい気持ちが芽吹きます。

 

一説では、世界はソレを親バカと呼ぶそうです。

ジャニーズに送る履歴書買わなきゃ。

JYPもいいわよね。

 

 

 

 

 

ピヤ〜ピヤ〜と

可愛くシャウトするももたろくんの泣き声に、

おじいさんとおばあさんは、失笑混じりでウットリと聴き入ります。

 

ロブハルフォードやロニージェイムスディオより、美しく豊かなハイトーンボイスだ!と、おじいさんは密かに思いますが、悲しいことに誰にも伝わりません。

 

 

 

 

産毛をボボボーボボーボボとたくわえたももたろくんの可愛いおデコに、

デコ敷地面積広めのおじいさんは、AGAと無縁で良かったネェ〜と、安堵と嫉妬をブレンドした複雑な感情を抱きます。

 

 

 

 

 

とまぁ、大幅に脱線してしまいましたが、

ももたろくんを授かれたことは疑う余地も無くミラクルノンフィクションで、

彼のことを大切に大切に育てようと、おじいさんとおばあさんは約束しました。

 

 

 

 

きび団子で友達を買収するコスい奴には育って欲しくないし、

一人前に成長するまでは、鬼が出入りする治安悪いスポットにも絶対行かせません。

2人で愛情を注いで、2人のやり方で、大事に育てることを誓いました。

 

 

 

 

鬼からカツアゲした金銀財宝を家計にキャッシュバックして欲しいとも思いません。

彼が、元気に育ってくれれば、それ以上の喜びは無いと、今は素直に思えます。

 

 

 

 

 

恒例のようにオチがないのは困りモノですが、

おじいさんは間もなく始まる、3人と2匹の生活に思いを馳せて、

時折、おばあさんから送られてくるももたろくんの写真に見惚れながら、

セッセと汚部屋の片付けに追われていましたとさ。

 

 

 

 

めでたしめでたし。