アーサーアンダーセンビジネスコンサルティング著『図解・ナレッジマネジメント』という書籍を紹介する | 松陰のブログ

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アーサーアンダーセンビジネスコンサルティング著『図解・ナレッジマネジメント』という書籍を紹介する。

英国の哲学者、フランシスコ・ベーコンは言いました、「知は力なり」と。現代のような不確実性の高い環境において、知、情報こそが力の源泉になります。自己を成長させる重要な要素となるのです。最近の経営学においてもナレッジマネジメントというのが注目され、知を組織的に活用する方法が開発されています。ナレッジマネジメントとは、組織の創造性を支えるナレッジ(知識)を質量ともに向上させる施策を通じて、組織の実行可能性と価値提供力を高めることを目的とした仕組みを形成し、継続的にその仕組みそのものを発展させていくことです(46頁参照)。ナレッジマネジメントの実践には、ナレッジの集約と再利用、課題の発見とナレッジの活用による解決、組織学習とナレッジの蓄積、革新とナレッジの創発の四つに分類されます。既存のナレッジを現場で共有するところから始まり、企業全体の取り組みとして新たなナレッジを創造する方向に向かいます。だんだんと戦略との関連性と意識改革の必要性が深まり、より高い企業価値を生む企業文化が形成されていくのです。そして、重要なことは、企業のビジョンやミッションに基づいて、企業価値を高めるために、まず、できるところから取り組んでいこうとする意識と姿勢であります(56頁参照)。

ナレッジの集約と再利用。ナレッジの集約と再利用の実践では、各現場で使用されている帳票、提案書、マニュアルなど、身近で体系化しやすいナレッジや、顧客に関するナレッジを集約・再利用することから取り組みます。顧客への提案書をある基準に基づいて収集、分類しておけば、後に、背景や条件が似ている事例として、その提案書を再利用することが可能となります。この取り組みは、部門全体での共有化、標準化を進めることで、さらに効果を高めることができます。例えば、同じ提案書でも、顧客の状況が違えば、内容が異なるものを準備することが必要となります。そこで多様なひな型が準備されていれば、適切な状況に応じた使い分けが可能となります。また、ナレッジを共有する基盤の一元管理は、同一顧客に関して重複したデータや情報の保有を回避し、トラブルを防ぐことができます。さらに、必要なナレッジを、いつでも検索できるようにすれば、各自のコピー保有といった無駄の排除や、物理的な保存場所の縮小といった効果も期待できます。課題の発見とナレッジの活用による解決。課題の発見とナレッジの活用による解決の実践においては、解決策の発見が主眼となります。ナレッジマネジメントでは、提案者や見積書のような文書化された情報や知識が注目されますが、企業情報システムに存在するデータの活用もまた重要です。例えば、売上を伸ばすために、データマイニングを使って最適な商品の組み合わせを発見したり、シミュレーションツールを活用した結果に基づいて最も高い効果が期待できる提案を行なうといったことが考えられます。さらにモバイル端末やオンライン技術の活用は、顧客の目の前で迅速な問題解決も可能とします。営業現場やコールセンターで受けた顧客からの苦情や商品に関する質問とその回答をFAQ(よく聞かれる質問の回答集)としてまとめ、内容を常に更新していくことも、ナレッジマネジメントの具体的な取り組みのひとつです。課題解決に向けたナレッジの活用には、質量ともに充実したデータウエアハウスが大切です。加えて、集められたデータを分析するツールとしてのデータマイニングや、分析ツールの利便性を高める必要もあります(56頁参照)。

組織学習とナレッジの蓄積。組織学習とナレッジの蓄積の実践には、二種類の取り組みがあります。一つ目は、部門を超えた全社的なナレッジマネジメントを目指すことです。例えば、営業部門で集約された顧客に関するナレッジを、商品開発部門やマーケティング部門が活用して相乗効果を上げることが期待できます。二つ目は、現場から集約したナレッジの体系化によって、方法論やプロセスを構築し、組織のナレッジとして蓄積していくことです。ここでは、企業戦略との関わり合いが非常に重要になってくることに注意しなければなりません。企業ビジョンやミッションは何か、ビジョンやミッションを実現するための戦略とは何かを明らかにすることが必要です。なぜならば、何を組織のナレッジとして部門間で共有すれば良いのか、また何を組織のナレッジとして構築すれば良いのかがはっきりしていなければ、実践の目的を達成することができないからです。革新とナレッジの創発。革新とナレッジの創発の実践には、ナレッジ創出や活用を企業活動の能力であると位置づけ、創出したアイデアをビジネス展開に積極的に結び付けることが重要です。ここで、CKOやコミュニティオブプラクティス(目的別グループ)が全社的に認知されています。ナレッジマネジャーの果たす役割も大きくなります。創出された新しいナレッジは、彼らを中心として集約、体系化され、その創出ノウハウは積極的に他の人々に紹介されていきます。そのナレッジをベースに、さらに新しいナレッジを生み出し、より企業価値を高めることのできる企業文化の構築が重要なポイントとなります。