樺旦純著『図説・心理トリック―たとえば「何が彼(彼女)をそうさせたか―』という書籍を紹介する。 | 松陰のブログ

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樺旦純著『図説・心理トリック―たとえば「何が彼(彼女)をそうさせたか―』という書籍を紹介する。

ビジネスや交渉の場、あるいは日常生活の中で、人間関係を損なわずに、自分の意見・意思を通すには、相手の心理を読んで行動に出る必要があります。この過酷な心理戦争、駆け引きに勝つか負けるかの差は非常に大きいです。樺旦純氏著の『図説・心理トリック―たとえば「何が彼(彼女)をそうさせたか―』では、人間の心理のメカニズムを一つ一つ解き明かし、様々なトリックを取り上げることによって、他人の心理のウラのウラまで読み取るコツを詰め込んでいます(5頁参照)。

一種のセールス・テクニックの応用といえるものに「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」というものがあります。心理学では、ドアを一歩踏み込んでから徐々にこじあけていくという意味でこう呼んでいます。つまり、人に困難な頼みごとをする時には、まず簡単な願いをきいてもらってからの方が相手に受け入れられやすいです。このことに関連して、アメリカの社会心理学者フリードマン氏とフレイザー氏の実験があります。ある町の主婦を対象に「お宅が現在お持ちになっているあらゆる家庭用品について、情報を提供して欲しいのです。その際、戸棚、押入れ、倉庫なども自由に見せて欲しい」という相手が嫌がる調査を、以下の三通りの方法で依頼してみました。相手先をいきなり訪れて「調査に協力して欲しい」と頼む。②あらかじめ電話で連絡をとり、調査の内容の説明をしておいてから、その後で依頼する。③この調査に関するアンケート調査をはじめに依頼し、了解を得た上で、日をおいてから実際の調査を依頼する。調査では、①は22%、②は28%、③はなんと53%の人から承諾がもらえました。この実験の結果は、相手が嫌がることをうまく承諾させるには、気軽に承諾できるような簡単な事柄を最初にOKさせておいてから、本題の依頼をする方がより効果的だということがよく分かります。いきなり、本題の依頼をしたのでは、相手もなかなか引き受けにくいので、簡単に断られてしまいます。そこで、やっかいな用件を相手に依頼する際に、このテクニックを用いればうまくいくに違いありません。そして、実はあなたも、これを無意識のうちに利用しているのです。例えば、難しい取り引きを依頼する場合、いきなり承諾をしてもらおうとしても、「はい、そうですか」と簡単にOKしてくれません。それならば、まず相手に電話を入れて、とにかく仕事以外の接触をもつチャンスをつくることからはじめます。相手が気軽にOKできそうな小さな誘いからはじめて、相手のドアに足を入れてこじあけるようにし、それが何回か成功するようになってから本題の取り引きに入れば、OKも取りやすくなるのです(24頁参照)。

心理学では、集団の説得をする際、あらかじめ何人かのサクラをしのばせておくと説得しやすいことが分かっています。あらかじめ根回しをしておき、応援者をつくっておくと、大変スムーズにいくのです。リオのカーニバルなど大きなパレードでは、楽隊車のことをバンドワゴンと言いますが、集団の説得の際に、その話し合いの場を盛り上げる人がおよぼす影響のことをバンドワゴン効果と言います。そして、このバンドワゴン効果を高める人を、バンドワゴン・アピールと呼びます。なお、この場合、サクラは多ければ多いほど集団に与える影響は大きいです(39頁参照)。