高橋洋一著『日本経済のウソ』という書籍を紹介する。 私も金融緩和推進の考えを持っておりますので | 松陰のブログ

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高橋洋一著『日本経済のウソ』という書籍を紹介する。

私も金融緩和推進の考えを持っておりますので、興味をもって読みました。しかし、書籍の内容が政治的な色彩が強く、特に郵政の問題は高度に政治的な問題であり、私のような小市民が評論する話ではありません。加えて、政争にも巻き込まれたくありません。故に、『日本経済のウソ』という書籍を読破はしましたが、記載されている内容全てが私の考えではないことを事前に申し上げます。

デフレを進行させる悪循環がこの十五年以上も日本経済を停滞させています(7頁参照)。まず、この書籍では貨幣数量説における貨幣数量式(一年間に行なわれる取引総額が、使われた貨幣総額に等しいという関係を示したもの)と、M(貨幣ストック)×V(流通速度)=P(価格)×Y(生産量)の式を紹介しています。危機になると、流通速度は小さくなります。それでも、価格が下がらないようにするためには、貨幣ストックを増やすしかありません(11頁参照)。ミルトン・フリードマン教授の「インフレはいつもどこでも貨幣的現象だ」という言葉を引用し、金融政策は物価に強い影響を与えることを述べています(25頁参照)。この書籍の前提として、金融緩和を中心とした金融政策を実施すべきだという考えがあります。「円が供給されている」状態は、ハイパワードマネー(日銀券と当座預金を合わせた中央銀行預け金の合計)が目安となります。ただし、為替介入をして、ドル買い、円売りをしても、以前は、日銀は放置して売りオペをしない限り、「介入は非不胎化」(金融緩和効果あり)だったのですが、現在では、日銀が放置して買いオペをしない限り「介入は不胎化」(金融緩和効果なし)となり、ハイパワードマネーは増えず、円が供給されないようです(71頁参照)。

先に述べた貨幣数量理論(説)は、現在では、ワルラスの法則から解釈されています。ワルラスの法則とは、「各財の総供給(の価値額)=各財の総需要(の価値額)」となる法則です。各商品によっては売れ残ったり、売れすぎたりしてしまうこともあるが、世の中の全ての商品で見れば、そうした不均衡はないと言ってもいいというものです。ここで世の中の全ての商品というのがポイントですが、それにはお金も含まれます。そのため、この数式は、「貨幣の総供給+非貨幣財の総供給=貨幣の総需要+非貨幣財の総需要」と書き直されます。これは、「貨幣の総供給-貨幣の総需要=-(非貨幣財の総供給-非貨幣財の総需要)」となります。これは、お金(貨幣)がモノ(非貨幣)より相対的に増えれば、モノの需要が相対的に増すことを意味しています。それで、モノの価格が上がる、つまり物価が上がるのです(87頁参照)。余談ではありますが、私はイギリスの偉大なる経済学者のケインズを尊敬しています。この書籍でも114頁から119頁の間で、ケインズ経済学を紹介しています。経済学には、「供給はそれ自らの需要をつくる」という言葉によって有名になったセーの法則というものがあります。経済学者のセーの言葉で、その言葉により「社会全体の供給量と需要量とが絶えず一致している」という仮定を生み、古典派学派の基本になっていました(『ケインズ―新しい経済学の誕生―』伊東光晴著 105頁参照)。ケインズはセーの法則を否定。もしも投資の量が少ないならば有効需要は少なく、経済の規模は縮小して非自発的な失業が生まれてしまいます。伝統的な理論のように、セーの法則が妥当していれば、自由放任の経済でも、自然と完全雇用状態になるが、ケインズの有効需要の理論と乗数理論の示すところは、投資の量いかんでは、完全雇用を保証するかどうか分かりません。したがって自由放任を最上の政策と考える立場は理論的に正しいわけではありません。乗数理論の実践的な意味の第一は、ケインズが長い間抱いていた自由放任主義の予定調和観への批判を経済分析の武器を通して理論的に明らかにしたことです(『ケインズ―新しい経済学の誕生―』伊東光晴著 117頁参照)。

そして、金融政策は雇用と大いに関係があることを指摘していました。GDPギャップがあると物価が下がり、GDPギャップがあると失業が増えます。物価と失業の関係は、GDPギャップを通じて、反比例の関係になっています。これは、経済学でフィリップ曲線と言われるものです(163頁参照)。雇用は政府の最急務課題です。金融政策の関係から雇用の改善が図れることを示していました。また、先進国の中で、15年もデフレになったのは日本だけで、しかも日本の経済成長率が先進国中で最低であると記載されていました(154頁参照)これが事実ならば少し異常なことです。同じ先進国として日本は他の先進国と同様の水準までには経済状態を改善しなければならないと思います。