木地節郎氏著の『例解・店舗の管理と診断』という書籍を紹介する。 お店を経営するにもテクニックが | 松陰のブログ

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木地節郎氏著の『例解・店舗の管理と診断』という書籍を紹介する。

お店を経営するにもテクニックがいります。店舗をどう経営していくかを解説してくれているのが、木地節郎氏著の『例解・店舗の管理と診断』という書籍です。

私が木地節郎氏著の『例解・店舗の管理と診断』という書籍で興味を持ったのは、「動線」に関する記載です。動線は人、物が移動する経路、ないし道筋です。これは具体的な店内の動線としてみると、人については客の移動する経路である客動線、従業員が接客のために移動する従業員動線があり、物については商品を売場へ搬入するための商品搬入動線になります。この他、物の移動について陳列器具を搬入、移動させる動線をあげることもあるが、これは日常起こることではないから動線計画という点からは除きます。このように、動線は店内における人、物の動きを考えるための基礎になるものですから、動線計画は店内レイアウト計画の基礎になるということができます。店内の動線は通路によって実現されます。いうまでもなく、動線計画が立てられても通路がなければこの計画は実現しません。そこで、まず、動線計画が立てられ、それに従って道路計画が立てられることになります。このようにしてつくられた通路を人、物が移動するから、通路上に動線が実現することになります。すでに通路があって、動線を計画する場合は既存の通路に制約され、その通路を利用した動線計画にならざるを得ません。しかし、その場合でも、必要な動線を実現させるために新たな通路をつくったり、反対に動線計画からみて不要な通路があれば閉鎖するというようなことは必要です。いずれにしても、以上のように考えて通路がつくられた場合、客動線を実現させるのが客通路であり、従業員は従業員通路、商品搬入動線は商品搬入通路ということになります。店内のレイアウト計画は客が最も歩きやすく、商品を見やすく、買いやすくするものでなければなりません。そういう点からも、店内レイアウトの基礎は客動線計画であると言ってもよいです(86頁参照)。

客動線計画にあたっては、それぞれの店の売場計画によって、できるだけ客動線を長くして回遊動線にする、各売場にとりつきやすいようにする、特に強調すべき売場へ客動線を誘導する、副通路への客動線を考える、客が多い場合、混雑しないようにする、などの点について注意しなくてはなりません。そこで、これらの目標に応じて、通路の取り方、商品・陳列器具の置き方、照明の方法などを考えていかなくてはなりません。特に客動線を長くしたり、回遊にしたり、また、ある特定の売場まで誘導したい時などは、途中から折り返さないように客足を誘導する注視点、アクセントを随所に置いたり、商品の陳列面を連続させたり、さらに照明については照明の配分や、照明器具の配置などについて変化をもたせることも必要です。また、当然のことながら、通路は歩きやすくしなくてはなりません。歩きやすいということは、通路幅、通路上に邪魔がないという、いわば物理的条件ばかりではなく、通路の形の変化、通路両側の陳列や照明などの問題も含めてのことです。このような意味での歩きやすい通路でなければ、動線計画を実現することができません(87頁参照)。何気なく買い物をしているお店ですが、そのお店はお客様に商品を取ってもらうために、お客様がどういうふうに通り、どこに目をやり、どうしたら興味を惹いてもらえるかを計算して店舗設計をしているのです。

店内通路の取り方には、通路の幅、主通路・副通路、回遊との関係、通路と誘導に関して考えなくてはなりません。中でも「通路と誘導」は先に述べた記載と非常に密接しています。通路は単にあるというだけではなかなか通りません。何らかの目的があってこそ、そこへ行くための通路を利用するということになるのです。したがって、第一段階では店頭付近が目につき、次に奥の突き当たりが注目点となり、さらに右の角に注目点があるということになると、それに引っ張られて顧客が誘導させることになり、通路が利用させることになります。これは、間口が広いため、入店した顧客を横へ誘導する場合も同じです。このように、通路があるから顧客が歩くのではなく、目的物、注目点があるから、そこへ行こうと思って通路を歩くわけであり、しかも、通路がなければそこへは行けないという、極めて分かりきったことですが、通路の位置づけをこのようにはっきりさせておくことが必要です(89頁参照)。陳列は商品を配置して顧客の目をひき、そして、顧客が欲しい商品を買いやすくする手段です。このように考えるならば、陳列は直接販売の成果に結びつく条件であると言えます。そこで、陳列は単に商品を並べるだけのことを言っているのではなく、一定の原則によって並べるということが必要になります。しかも、ここで重要なことは、一定の原則というものが顧客を中心に、顧客の立場から考えられた原則であるということです。陳列には在庫管理に関係する問題もありますが、このような店側の条件は、まず顧客側の条件を満たした後に考えられることであり、店側の条件を先に考えた陳列というのは顧客の便宜を第二、第三にしか考えないことになるので、これでは陳列の本来の意味がないことになってしまいます。陳列の目的とは、顧客の目をひく、客足の誘導、店格向上、在庫管理との関係です。陳列することによって顧客の目をひくということは、顧客にどこにどういう商品があるかを知らせることであり、さらに、店がどういう商品に力を入れているかということも同時に知らせることです。陳列によって、顧客の目をひき、その商品に注意させるためには、商品だけでは難しいものです。そのためには陳列器具を使用し、また、照明・色彩効果も同時に考えなくてはなりません。顧客の目をひくということですが、陳列は単に目をひきさえすれば、注意をひきさえすればよいというのではありません。広告作成の原則には、AIDMA(アイドマ)というものがあります。これは、注意、興味、欲望、記憶、行動のそれぞれ英単語の頭文字を取ったものです。消費者が広告を見て、その商品を買うまでの順に従って述べられています。広告の場合は、それを見る時とその広告商品を買う時とに時間的なズレがあるため、その間に記憶をしてもらわないとならないので、M(記憶)という項目が入っています。この原則は陳列の場合にも当てはまります。ただし、陳列の場合は、大抵、見る時と買う時は時間的に同じでありますから、広告の場合のM(記憶)はいりません。したがって、Mを取って、AIDA(アイダ)ということになります。もっとも広告の場合にもAIDAということが言われますが、陳列にもそのまま当てはめられるのです。まず、注意をひくことから始まります。つまり、陳列によって目をひき、注意をひくということです。次に、注意をひいたら、その商品に興味を起こさせることになります。興味が出てくると、価格と自分の予算を考えて、欲しい、決心する、買うという順序で進むことになります。

お店がお客様に商品を売る時、そこには様々な消費を喚起する仕掛けがされています。木地節郎氏著の『例解・店舗の管理と診断』という書籍では、その仕掛けを解説しています。