水口健次著『マーケティング戦略の実際』という書籍を紹介する。 マーケティングには様々な戦略の種 | 松陰のブログ

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水口健次著『マーケティング戦略の実際』という書籍を紹介する。

マーケティングには様々な戦略の種類があります。まずは、プッシュ戦略とプル戦略。プッシュは押す、プルは引く、です。一口で言うと、プッシュ戦略というのは、手近なところに力を集中して押し出すようにするやり方であり、プル戦略というのは、離れた部分に力を集中して引き寄せるようにするやり方のことです。プッシュ戦略では、まず、営業活動に重点が置かれます。セールスマンの数を増やし、販売刺激を行い、それらの強力な販売圧力を通じて販売目標を達成しようとします。流通政策の面では、卸店の仕入を刺激することになり、販売促進でも流通向けが中心となります。プル戦略では、広告と消費者向け販売促進に重点が置かれます。流通政策では、卸店ではなく小売店に作戦が集中されます。また、製品政策の面で、顧客研究を強め、特徴のある新製品開発が進められます(136頁参照)。

次に、価格競争戦略と非価格競争戦略。価格の魅力、つまり安いことを勝負のポイントにする戦略が価格競争戦略であり、それ以外のこと、例えば、イメージの良さなどを勝負ポイントにするのが非価格競争戦略です。価格競争戦略では、まず、製品政策で安い商品をつくること、営業活動で値引きの販売を強化すること、流通政策でマージン・リベートを高く出すこと、販売促進で安売りすること、などが重点になります。反対に非価格競争戦略の場合は、多様な顧客に適合する商品ラインを用意すること、広告と消費者向け販売促進活動に力を入れること、商品知識の豊富なセールスマンと卸店協力メンバーをつくり出すこと、などに重点が置かれることになります。本質的には、価格競争に耐えられる体質をもっていなければ勝ち残れません。その上で、価格以外の要素で顧客満足を創出できるように展開するのが最上策です(137頁参照)。

市場細分化戦略と製品多様化戦略。市場を細かく分けて、その特定の部分に集中しようとするやり方が細分化戦略であり、全体市場に多様な製品を出していこうとするのが多様化戦略です。市場細分化戦略では、まず、全体市場が詳細に分析され、その特定の市場が自社市場として選択されます。製品政策は、まさにこの市場にぴったりの商品を集中開発することです。流通も限定的になり、広告・販売促進も対象のはっきりしたものになります。特にイメージは、この市場にのみ好意的に受けとめられるものを追求しなければなりません。当然、営業活動も特別の体質のものとなるでしょう。反対に、製品多様化戦略は、広範な市場に対応する様々な製品ラインを用意して、広いチャネルを使い、多様なイメージ構築を進め、何種類かの営業チームをつくる、ということになります。市場が成熟するにしたがって、細分化を強めながら、多様化を推進せざるをえない、という状況が増大してきています。はっきりしなくなってきた、ということです(138頁参照)。

川下統合戦略と川上統合戦略。川下統合戦略というのは、例えば、メーカーが卸と小売とを系列化します。あるいは、直接小売店を経営して販売を行う、という戦略です。反対に川上統合戦略というのは、例えば、大手小売業がメーカーを下請け化して、自分で生産を始める、という戦略です(141頁参照)。エリア・マーケティング戦略というのは、エリア、つまり商圏が、それぞれ違った特性を持っているのだから、その特性にぴったりのマーケティング・ミックスを構築しなければならない、という考え方です。市場細分化戦略の一つとも言えます(141頁参照)。