徳永豊・出牛正芳共著『商品の仕入と管理』という書籍を紹介する。 消費者に商品を購入してもらうと | 松陰のブログ

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徳永豊・出牛正芳共著『商品の仕入と管理』という書籍を紹介する。

消費者に商品を購入してもらうということは、企業が対価をいただき、代わりに商品を消費者に渡すことです。企業には消費者に渡す商品がなくてはなりません。その商品を仕入れることと管理を解説しているのが徳永豊氏・出牛正芳氏共著の『商品の仕入と管理』という書籍です。仕入れは、受注量を予測して適正在庫を考慮しながら管理しなければなりません。経営上、重要な業務でもあります。

商店の商品政策は仕入れ政策と在庫管理を含むものであり、言い換えれば、商店における商品の動かし方に関する政策であると言えます。しかし、一般の商店における商品の流れ方についてみますと、まずメーカーまたは問屋から商品を仕入れ、それを在庫し、在庫したものの中から順次販売していきます。確かに商品そのものの流れはこの順序に従うものです。そのため、従来から、一般の商店では、このような商品の動きに従って、第一段階として仕入れ政策を立て、それに基づいて仕入れた商品を第二段階として在庫管理するものと考えていたのです。そのような意味での仕入れ政策は、在庫管理に先行するものです。しかし、商品を仕入れたからと言って、その商品が予期するように販売できるものとは必ずしも約束されていません。現今では仕入れよりもむしろ販売の難しい時代であり、マーケティングの時代なのです。仕入れてから何とかして販売しようとすることは、はなはだ危険なことであり、そうした仕入れは、必ず死蔵品や過剰在庫を生む結果となり、経営を窮地に追い込むことになります。仕入れは販売するために仕入れるものであるという商業経営の根本原則に則り、売れる商品、つまり顧客の欲求に適合した販売ができるような商品を、仕入れるようにしなければなりません。このような考え方からしますと、顧客の欲求を確かめ、顧客の欲求に適合する販売ができるように商品を仕入れる、という考え方に立脚した在庫管理でなければなりません。したがって、従来からの一般的な考え方からする仕入れ→在庫→販売という商品の流れに沿った商品の動かし方に関する政策は誤りであって、販売→在庫→仕入れという商品の動かし方に関する政策が、商店における新しい商品政策であるということができます。その場合、在庫は仕入れと販売とを連結する連結帯の役割を果たし、在庫管理によって両者を合理的に調節することができます。在庫の減少は仕入れの必要を意味し、その減少部分を補給するために仕入れを行い、またその増大は販売不振もしくは仕入れの過大を意味するものであるから、一方において販売促進策を講ずることによって、常に適正な在庫を維持するように努めねばなりません。このような観点で在庫の増減を睨み合わせながら、在庫のあり方を通して商品の動かし方に関する政策を立てる、これが、今日のマーケティングに即した新しい商品政策の考え方です(6頁参照)。

消費者の要求に対し商品を適合するように計画するマーケティング活動が、マーチャンダイジングと言われています。すなわち、商品が市場でどのようにしたら受け入れられるかを研究するものです。このためには、一般的には「適正な商品を、適正な場所に、適正な時期に、適正な数量、適正な価格で提供するように計画する」必要があるとされています。そこで、販売すべき商品、ストックすべき商品を選定し、不要な商品種類を排除し、また仕入れ数量や仕入れ時期、商品の価格などを決定する必要があります。効果的マーチャンダイジングは、現在のような激しい競争の時代にあっては特に重要であって、商品が市場で受け入れられるためには、商品が「適正なもの」でなければなりません。この「適正な」ということは、消費者の必要・要求に応じることをいうのであるから、販売活動自体にあっても、常に消費者の動きに注意しながら行われなければならないのです(33頁参照)。業界や商品特性(消費財か耐久財か)、企業の個性によって、仕入れ管理に違いが出てきます。実務的な例を挙げてみると、受注予測をし、受注予測に余剰分を加えて仕入れます。その後、販売実績によって、仕入れられた商品は減っていきますので、次回の受注を予測し、適正在庫になるように補充していくのが一般的です。単純な例を示せば、110個が適正在庫量の時、在庫が100個あり、80個売れる予測が立っている場合、110―(100-80)=90。90個仕入れることになります。

仕入れ管理、在庫管理と言うと、トヨタ自動車のカンバン方式とPOSシステムを想起することでしょう。カンバン方式とは、「7つのムダ(作り過ぎのムダ、手待ちのムダ、運搬のムダ、加工のムダ、在庫のムダ、動作のムダ、不良をつくるムダ)」を排除し、極力在庫を持たず、必要なものを、必要な量だけ、必要な時にジャストインタイムで生産するなどの特徴を持ちます。使用した部品の補充を知らせる「帳票」をかんばんということから、かんばん方式と呼ばれたものです。一般的にはジャストインタイム生産システムとして知られています(『ウィキペディア』参照)。POSシステムは、コンビニエンスストアなどで実際に利用されている仕入れ管理の方法です。販売時点で直接、販売情報を獲得、蓄積、分類、そして製表するシステムのことです。つまり、ユニット販売情報は販売時点でコンピュータが解読可能な形態で販売レジスター(インプット・レコーダー)に送り込まれます。光学的走査装置を使用します。チェック・アウト・カウンターを通ってくる商品の値札(バー・コードで表現されています)を光学的走査装置で読み取り、その情報を直接、コンピュータで処理します。その場合、レジスターと連動し、金額の表示がなされます(57頁参照)。POSシステムは、販売時、つまりお客様が商品を会計する時に、購入者の性別や年齢、特性を入力することにより、客層によって何が購入されるのかという傾向かを把握することにも利用されています。また、入力により店の商品で何が販売され、何が不足しているかを把握できるため、店への商品の補充を的確に行うことができるようになっています。

ファイリン氏によって、「モデル・ストック・プラン」が提唱されました。その目標とするところは、適正な商品を、適正な時期に、適正量だけ保有することです。すなわち、顧客の購入を容易・便利ならしめるための品揃えをすることにあると言い得ます。このためには、顧客が、いつどのような商品をいくらぐらいで求めているかを常に検討することが必要となります。顧客の欲する商品を取り扱う場合、色別、デザイン別、スタイル別、サイズ別等に分け、どのようなデザインの商品を、あるいはどのような色の商品(包装)を好んで購入するかを調べ、その売行きの早い商品を中心に仕入れ・在庫、販売していくよう品揃えを行う必要がありますが、少なくとも品揃えを考える場合、常備品、流行品、新規品、サイズ番外品、BB(ベスト・バイ)商品、MP(モア・プロフィット)商品等について検討することが大切です。顧客の欲する色、デザイン、スタイルのものを、購入しやすい値頃のものを取り揃えることにより、顧客の購入を促し、満足を買うことができ、しかも在庫高を調整することも可能になるというところに、モデル・ストック・プランの根本思想があります(247頁参照)。

徳永豊氏・出牛正芳氏共著の『商品の仕入と管理』という書籍は仕入れ担当者には非常に参考になる書籍だと思います。