令和5年8月29日、新星出版社の『カラー版徹底図解・遺伝のしくみ』という書籍を読破した。 体調 | 松陰のブログ

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令和5年8月29日、新星出版社の『カラー版徹底図解・遺伝のしくみ』という書籍を読破した。

体調を崩し、ずっと寝込んでおりましたので、本を読むこともできませんでした。体調が少し回復し、やっと書籍を読むことができ、新星出版社の『カラー版徹底図解・遺伝のしくみ』という書籍を読破しました。

非常に面白い書籍でした。遺伝に関しては、以前から興味があり、関係する書籍は読んでおりました。今回はさらに遺伝の知識を深めるために読みました。以前、読破したレイ・カーツワイル著『ポスト・ヒューマン誕生』という書籍の中にも特異点の到達を可能とする技術に、GNRを挙げています。Gは遺伝学、Nはナノテクノロジー、Rはロボット工学です。遺伝学が今後の社会に大きな影響を与えることは確かです。

新星出版社の『カラー版徹底図解・遺伝のしくみ』では、メンデルから始まる古典的遺伝学からPCR法や電気泳動、DNAチップなどの最新の遺伝子研究・技術に関して説明しています。

古代の人々も、遺伝現象には気づいていたはずだが、遺伝のしくみが系統立てて研究されたのは19世紀後半からだ(20頁参照)。1865年、オーストリアのメンデルはエンドウを使って遺伝法則を発見した。エンドウには、豆の形や色、花や子葉の色、茎の高さなどが異なるタイプがある。メンデルは色々なタイプのエンドウを組み合わせて交配し、それぞれの形質がどのように遺伝するのかを調べた。その結果、重要な三つの法則が見つかった。それらは、現在、「メンデルの法則」(優性の法則、分離の法則、独立の法則)と呼ばれている(22頁参照)。1953年、ワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造モデルを提唱した。遺伝子情報(DNA配列)は細胞分裂の度に正確に新しい細胞に伝えられなければならない。二重らせん構造がそれを可能にしていたのだ(20頁参照)。遺伝学は、その後、飛躍的に発展していく。

学校で習う遺伝学についても記載されています。真核生物の核の中には染色体があり、その染色体を構成するDNAに遺伝子が存在します。生物の生命活動に必要な全ての遺伝情報がゲノムです。1952年のハーシーとチェイサーが細菌を攻撃するバクテリオファージを使って行った実験により、メンデルの実験から90年後、形質を伝える遺伝子はDNAであることが明らかになった(30頁参照)。DNAは長い二重らせんの糸だ。真核生物では、糸が核の中にコンパクトに収納されている(34頁参照)。染色体は、DNAがヒストンに巻き付いて、さらにそれが巻かれてコイルのようになったものだ。つまりDNAが、DNAを折りたたむために必要なタンパク質や遺伝子を働かせるために必要なタンパク質ともに分納されている構造が染色体だ。染色体は常染色体と性染色体に分かれる。染色体をほぐすと、長いDNAの二本鎖が現れる。遺伝現象をになう物質、すなわち遺伝子の本体はDNAであるが、DNAの全てが遺伝子として働いているわけではない。とても長い染色体のDNA分子の中で、遺伝子はところどころに一定の領域を占めているだけだ。DNAは、おおざっぱにいうと三つの部分に分けられる。タンパク質をつくる設計図が書かれた部分、ここを構造遺伝子と呼ぶ。それぞれの遺伝子がいつ、どこで、どのぐらい働くかを調整している部分を調節領域と呼ぶ。この二つの部分を合わせて遺伝子と呼ぶことが多い。残りの部分はスペーサーなどと呼ばれる。DNAのほとんどはこの遺伝子以外の部分が占める(36頁参照)。デオキシリボ核酸を省略してDNAという。核(ヌクレアス)に大量に存在する酸性の物質であり、デオキシリボースという糖分子が含まれることから名付けられた。DNA分子は、リン酸、糖、そして四種類の塩基からできている。四つの塩基は、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)である。塩基はAとT、CとGという組み合わせで結合することにより二本の鎖を繋いでいる。DNA分子には前方と後方があり、頭が5‘末端、お尻が3’末端だ。ヌクレオチドの配列、すなわち四つの塩基が並ぶ順番が遺伝情報として使われている(32頁参照)。

染色体DNAから必要な部分だけがRNAに写し取られる。このステップを転写という。RNAに写し取られた情報に基づいてタンパク質が作られる。このステップを翻訳といわれる。DNAからRNAを介してタンパク質が作られるという流れは、全ての生物の全ての細胞に共通する基本的な原則なので、「セントラルドグマ(中心教義)」といわれる。DNAから転写されたRNAをメッセンジャーRNA(mRNA)という(68頁参照)。RNAの連続した三つの塩基(トリプレット)の単位をコドン(遺伝暗号)という。それぞれのコドンは、一つのアミノ酸を指定する。翻訳の開始も終了もコドンで指定される。AUGというコドンは翻訳の開始を指定する開始コドンでもある。翻訳の終了は、UAG、UAA、UGAの三種類の終止コドンが指定する(70頁参照)。ゲノムとは、ある生物がもつ遺伝情報の全体のことである(90頁参照)。

では、新星出版社の『カラー版徹底図解・遺伝のしくみ』における私が興味深かった記載を挙げます。まず、「遺伝子の働きを阻害するRNA干渉」(84頁参照)において。以前、読破したレイ・カーツワイル著『ポスト・ヒューマン誕生』という書籍の中にも、RNA干渉の記載がありました。RNA干渉は、特定の遺伝子のmRNAの働きを抑え、その遺伝子が発現しないようにすることで、タンパク質を作らせないようにできるのです。ウイルス性疾患、癌やその他多くの疾患は、その発症過程の重要な局面で遺伝子発現を利用するので、RNA干渉が画期的な技術になります。RNA干渉の技術が生物兵器対策、治療技術の向上に多大な寄与をする可能性があります(レイ・カーツワイル著 『ポスト・ヒューマン誕生』 260頁参照)。RNA干渉の技術を医療に活用した例として、最も身近で有名なものは、コロナウイルスへのワクチンでしょう。世界中でパンデミックしたコロナウイルス。その予防に活躍したものが、RNA干渉技術を利用したワクチンでした。次に「ダーウィンと進化論」(130頁参照)において。ダーウィンの進化論と一緒にラマルクの進化論を紹介していました。ラマルクの進化論は、以前、読破した田中三彦・吉岡佳子共訳・アーサー・ケストラー著『ホロン革命』という書籍にも記載がありました。獲得形質のラマルクの進化論(アーサー・ケストラー著 『ホロン革命』 313頁参照)を紹介しています。キリンの首が長いのは、木の枝の高いところにある葉を絶えず食べようと努力したからというロジックです。次に「進化の中立説と分子進化」(138頁参照)において。進化の中立説とは、DNAレベルでは、個体の生存にとって有利でも不利でもない分子の置き換わりが起こっているとする説で、1968年に、木村資生氏が発表した説です(138頁参照)。以前、木村資生著『生物進化を考える』という書籍を読破していたので理解できました。分子進化の中立説は世界中で大論争を巻き起こした。特にダーウィンの母国であるイギリスでは、自然淘汰を否定する説として、「地獄の悪魔」に例えられたという。DNAの分析技術が進み、様々な生物の塩基配列が詳細に調べられた結果、タンパク質に翻訳されない塩基配列部分で、多くの変異が生じていることが明らかになった。木村氏はこのようなDNA分析の裏付けなど多くのデータを集め、1983年に『分子進化の中立説』を著し、論争に終止符を打った。ようやく中立説が定説として認められるようになった(180頁参照)。次に、「Hox遺伝子(112頁参照)において。眼が眼の位置に、口が口の位置に、鼻が鼻の位置に、脚が脚の位置に発現する遺伝子。ショウジョウバエもマウスもヒトも、基本的に、頭、胴、脚(手足)、眼や心臓があるのは、共通したホメオボックスをもっているからといえる(114頁参照)。次に「三毛猫の遺伝学(60頁参照)」において。三毛猫が遺伝的に希少であること。ww/Oo/SS/Ssという遺伝子型をもつ雌だけが三毛猫になる。「PCR法-遺伝子の増幅」(206頁参照)において。遺伝子解析において、試料のDNA/RNA量が少ないため、分析ができない場合がある。PCR法の開発以前には、大腸菌への遺伝子クローニング法を用いて試料を増やしていたが、時間がかかる方法だった。PCR法の特長は、二重らせんを保持しようとするDNAの特性とDNAポリメラーゼ(合成酵素)の利用で、短時間に大量のDNAが合成できること。三つの温度帯を繰り返すことで、短時間でDNAを数十万倍にまで増幅できる。PCR法は、ゲノム解析をはじめとした基礎研究や臨床診断分野、親子鑑定などの法医学、遺伝子診断やオーダーメイド医療、新規のバイオツールの開発などに活用されている。「これからの遺伝子組み換え作物(196頁参照)」において。第一世代の生産者の利益が多い除草剤耐性や害虫抵抗性があるGM(遺伝組み換え)作物、第二世代の消費者に利益がある栄養価の高いGM作物、第三世代の医療や社会にとって重要な機能をもったGM作物。日本国とは違い、世界の人口は増加し続けている。その世界の増え続ける人口の胃袋を満たすため、GM(遺伝組み換え)作物が必要な時代がやってくるだろう。当然、環境への安全性、食品および飼料としての安全性をチェックしながら(200頁参照)、技術の進歩により人類の食糧を確保するためにGM作物が貢献していくのではないかと思われます。最後に「細胞の寿命を決めるテロメア(48頁参照)」において。細胞が分裂すると染色体の末端のテロメア配列が少しずつ失われる。実際には、1回の分裂で50~100塩基ずつ短くなる。テロメアの長さは、細胞分裂の回数を数えるものさし(分裂時計)として機能し、細胞の寿命を調整している。分裂寿命に達しなくても、細胞がテロメアの長さで分裂時計の進行を感知することが老化に繋がっているといわれる。テロメアの長さへのコントロールがアンチエイジング、いや秦の始皇帝も夢見た不老不死への解決策となるかも知れない(笑)?

しかし、読む本、読む本、下品な排泄物に関する記載が必ずある。まるで、三十年以上も、朝から晩まで、四六時中、私に黙って、陰でこそこそと勝手に私の家をのぞき、ストーカーしている卑怯者の寄生虫連中が私が読んでいることを知って、本を差し替えているように思える。

本書において、誤植があり、多分、185頁の最下段「豆知識」において、「金」と記載があるが、「菌」の間違えであろう。

iPS細胞(172頁参照)、DNAチップ(210頁参照)など、当然、遺伝子技術は医療・ヘルスケアに対して大きな貢献をするだろう。しかし、遺伝子技術は、医療・ヘルスケアに留まるものではない。最終ページの215頁に記載されているように、情報・通信、ナノ技術・エレクトロニクス、化学物質生産、環境・バイオマス、農業・食品、バイオツールなどの周辺技術と融合し、新たな新機軸を創造し、人類の生活を豊かにしてくれるものである。新星出版社の『カラー版徹底図解・遺伝のしくみ』は、非常に面白く、勉強になる書籍でした。