内山力著『微分・積分を知らずに経営を語るな』という書籍を紹介する。 『微分・積分を知らずに経営 | 松陰のブログ

松陰のブログ

ブログの説明を入力します。

内山力著『微分・積分を知らずに経営を語るな』という書籍を紹介する。

『微分・積分を知らずに経営を語るな』という書籍はとても面白い書籍でした。経済と微分積分には深い関係があります。経済学界において限界革命が起こりました。限界革命は交換者が効用最大化を行動原則として市場が均衡状態にある時に、相対価格(商品の市場での交換比率)が各人の限界効用の比(商品が1単位余分に消費した時に得られる満足の比)に一致するという形で発展しました(『経済学の名著30』松原隆一郎著 103頁参照)。限界とは微分積分の「伸び」のことです。伸びとは「横軸が1つ(1単位)進む(つまり増える)と、縦軸がいくつ増えるか」というものでした。故に限界=伸びです。そして、限界は、英語のマージナルという形容詞の訳であり、リミットとは少し意味が違います。マージナルの「へりの」「端の」という意味はデルタを表現するのにぴったりです(55頁参照)。

私も高校生時代に微分積分を勉強し、微分積分の概念や要約は知っていましたが、実際、実社会であまり微分積分の計算をすることは少なかったことは確かです。逆に経済学を学ぶ時に先に述べた限界利益の計算で利用することの方が多かったのです。しかし、この書籍を読んで微分積分の概念がとても簡単で単純なことが分かりました。一読に値する書籍だと思います。アナログを小さく区切ってデジタルにするのが微分(26頁参照)。逆に、ビジネスの世界で使う積分はデジタルをアナログに変え、そのつないだ曲線の面積を出すものです(46頁参照)。デジタルとは指のことで、デジタルとは「指折り数える」という意味です。デジタルは1、2、3、4・・・というカウントする数字です。アナログはデジタルのように切れないでいて、「繋がった数字」を言います(24頁参照)。そして、横軸と縦軸で構成される小さな三角形の伸びをデルタと言い、やdで表します。この「ちょっと進む」の幅を限りなく(数学でよく使う手です。「無限」と表現します)小さくしていくと、つまりデルタをどんどん小さくしていくと、一点に接する直線が引けることが分かります。これを接線と言います。直線が右に1進むといくつ上がるかということ接線の伸びを「微分係数」と言います。この微分係数を出すことを微分と言います(33頁参照)。標準偏差とは、それぞれの数字が平均からどれ位離れているかを平均したものです。1日平均10匹売れるイワシを販売している店でイワシ11匹の日は、平均から1離れています。これが偏差です。12匹の日は平均から2匹離れています。この偏差を平均したものが標準偏差です(87頁参照)。この概念さえおさえておけば、『微分・積分を知らずに経営を語るな』という書籍の内容は理解できます。数学が得意でなくても分かります。とても親切で分かりやすい書籍でした。

この微分積分を予算管理(67頁参照)、在庫管理(83頁参照)、マーケティング(118頁参照)、顧客満足(152頁参照)、原価管理(178頁参照)に利用する方法が記載されていました。また、コラムに対数が紹介されていました。人類が最初に使った対数は10がベースだと言われています。この時、10の対数は1、100の対数は2、1000の対数は3・・・、10倍すると1増えます。10をベースにした対数の例としてマグニチュード(地震)を挙げ、マグニチュードは地震の揺れが「10倍になると1増える」という感じです。マグニチュード4と7では1000倍という感じですと記載されていました(175頁参照)。この箇所を読んだのが東日本大震災直後だったので、あまりに記載されている文と読んでいる時の状況のタイミングが良過ぎたものですから少しゾッとしました。何かの事象を表現する方法として数学はものすごく有用な手段だと思います。自分の理論を体系化させるために数学も併行して勉強して行きたいと思います。しかし、数学にも限界があるように思えます。線形的な事象には対応できても非線形的な事象に対応できるかどうかです。確かに数学でもフラクタルやカオスの理論を数値化していますが、何か限界があるように思えてなりません。