西村晃著『「ヒット101商品」の秘密』という書籍を紹介する。 西村晃氏著の『「ヒット101商品 | 松陰のブログ

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西村晃著『「ヒット101商品」の秘密』という書籍を紹介する。

西村晃氏著の『「ヒット101商品」の秘密』という書籍で取り上げている商品は価格というよりも発想やアイデアによってヒットを生み出した商品を取り上げています。私が思うに、価格競争は基本的には囚人のジレンマに陥り、結局は共倒れになってしまう戦略だと思っています。商品に付加価値を付け、社会への利便性の向上などに貢献することによって消費者に支持されていくことが商品販売の本道のように思っています。昨今、デフレにより低価格競争が激化していますが、そのような時代だからこそ西村晃氏著の『「ヒット101商品」の秘密』という書籍で取り上げている商品のエッセンスが本来の商品開発の王道へと目覚めさせ、新たな付加価値創造に役立っていただければと思っています。『「ヒット101商品」の秘密』では、14のキーワードにより14章に章立てしています。14のキーワードとは、「おトク」、「発想」、「きもちいい」、「新しい文化」、「便利」、「きれい」、「こだわり」、「品質」、「話題」、「時間」、「おしゃれ」、「売り方」、「使い方」、「おもしろい」です。

それでは西村晃氏著の『「ヒット101商品」の秘密』にてピックアップされている多数の商品の中から一つを紹介します。トヨタ自動車のプリウスです。97年12月の京都で開かれた「地球温暖化防止」に関する国際会議。ここでCO2の削減目標が正式に決まったこともあり、自動車メーカー各社はガスの排出量が少ない低公害車の開発に血道をあげました。自動車業界は21世紀には世界的な再編が予想されていますが、その時々にどのメーカーが主導権を握るかという、まさに生き残りを賭けた戦いの鍵こそ、この低公害車の開発であろうという見方で業界関係者の認識は一致していました。低公害車と呼ばれる車には、動力装置のタイプによって、「直噴ガソリン」、「ハイブリッド」、「電気自動車」、「燃料電池EV」の四種類があります。この四つの中で、環境への負荷が最も少ないのは、ガソリンではなくバッテリーとモーターで走る電気自動車。しかし、当時の技術水準では電気自動車は価格が高い上、走行距離も短く、充電スタンドもほとんどないため、現段階では普及は難しいと考えられていました。そんな状況の中、すでに実用化され、世界で初めて量産化体制に入ったのが、トヨタが開発したハイブリッド乗用車「プリウス」です。ハイブリッド車とは、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせ、コンピュータ制御によって、その二つの動力源を使い分けて走るクルマと定義されています。発進時や渋滞時にはエンジンとモーターがともにめいっぱい働く仕組みになっています。また、減速時には車輪の動きをモーターに伝えて蓄電池を充電し、ブレーキの摩擦で失われるはずのエネルギーの一部を再活用します。西村晃氏は実際に取材で運転をさせてもらったようです。その時の感想として、ソロリソロリと忍びの者といった感じで走り出し、やがて加速してガソリンエンジンを使い出す時の「バトンの引き継ぎ」もスムーズだったと述べています。自ら蓄電するわけですから専用の電気スタンドというインフラも必要としないわけで、電気自動車以上に普及しやすいクルマであるという印象を受けました。プリウスは1500ccですが、同排気量の従来車に比べ、CO2の排出量は約半分。燃料も補給も、一般のガソリンスタンドでレギュラーを入れるだけでよいのです。価格は同型タイプのガソリン車と比べて50~60万円割高ですが、1リットル当たり28キロメートルと従来車に比べておよそ二倍という燃費のよさです。いくら環境によくても経済性を度外視したクルマでは、消費者には受け入れられません。プリウスは購入時に多少割高であっても、ランニングコストは抑えられます。環境意識とフトコロを同時に満足させてくれることがヒットに繋がったのです(136頁参照)。西村晃氏著の『「ヒット101商品」の秘密』という書籍は発行されたのが1998年ですので、若干、当時と現在とではデータに相違があるかも知れませんが、ヒットの本質は変わらないものだと思います。

流行は一過性のものや長期的に根付くものと様々ですが、現在のような飽和状態において、やはり付加価値を創造した商品がヒットしているように思えます。