茅野健氏著の『創造性』という書籍を紹介する。 発想の流れを変える必要性が、最近、各方面から強く | 松陰のブログ

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茅野健氏著の『創造性』という書籍を紹介する。

発想の流れを変える必要性が、最近、各方面から強く指摘されるようになってきました。私達の周囲を見まわしても、環境問題、高齢化問題、資源問題など、どれ一つとっても解決には従来にはなかった新しいものの見方や行動様式の変革を必要とすることが、あまりにも多いです。企業内をみても、企業と社会との関係、消費者との関係、管理者と若者の関係などには、従来の考え方ではとても理解できないようなことが、段々、増えてきたのです。社会が複雑になり、かつて経験したことのない新しい未来を目指す時、これも当然のことですが、こうした現実に対処するには、何といっても、これまでの私達自身のものごとの理解の仕方や行動のあり方を捉え直し、そこから飛躍的に自己を発展させ従来の壁をぶち破る方法をつかみとらなくてはなりません。私達の社会生活のあらゆる場所で、一人ひとりが創造的な人間として生まれかわり、どんな仕事にも創造性を発揮し、卓抜なアイデアを出し合いながら、文字通り私達の未来を創造していくための努力です(3頁参照)。

アイデアを開発するための創造的発想は、制限を排除し、天衣無縫の自由さで発想していくことが基本です。しかし、その前に十分な知識を持つことが必要なのは言うまでもありません。言い換えれば、十分な知識を持ちながら、なおかつその知識に捉われず、自由に発想ができるということです。いわば大人の知識と、子供の自由さとが要求されるわけです。長い年月と努力の積み重ねの結果身についた知識が、知らず知らずの間に固定化し、心に垣根ができて考え方が制限されてしまいます。この制限を取り外すことが大切です。しかし、ただ気ままに発想するだけでは、どうしても安易な仕方で考え易い範囲だけにとどまる危険性があります。そこで、一定の強制を課すと同時に、努力を傾けなければならないような発想の方法が必要になります(107頁参照)。茅野健氏著の『創造性』という書籍では創造性を発揮するための方法を挙げています。アイデア開発の技法は、倣い型発想法と自由発想法に分かれます。倣い発想法は、定型モデルと非定型モデルに分かれます。定型モデルは形式的思考法、あべこべ思考法、大所高所法に別れます。形式的思考法には、レール型思考法、鉄道旅行型思考法、原点復帰法があります。あべこべ思考法には、逆側になだれこむ方法、花の山法、逆手法、形式的あべこべ法、スイッチバック法、現場確認法、裏返し法があります。大所高所法には、けい留気球法、ロケット式発想法があります。非定型モデルには、モデル法、類推法、変換類推法があります。自由発想法も自由発想法と断片的自由発想法に分かれます。自由発想法には物語法、化身法、擬人法があります(109頁参照)。個々の発想の詳細については、茅野健氏著の『創造性』という書籍を実際に読んでいただくことが一番だと思います。

三人寄れば文殊の知恵”という諺があります。一人で探すよりも大勢で探す方が早く見つけることができるだろうということは、誰でも容易に考えつくことです。ブレーン・ストーミングはこの方法です。それぞれの経験や専門分野の異なった人々、つまり大脳に収容された諸事項の中身の違っている人々をできるだけ多く集めて、一緒に探させる方がよいようです。しかも結果についてただちに情報を交換し合うと、他の人々はそれによって意欲が刺激され、変わったアイデアを発見していけるものです。この方法は、各人がそれぞれ自分の精神を高度に集中しなくても、お互いの創意が大きな刺激となり、けっこう熱が入るものであるし、また他人の力で新しい検索が頭脳の中で行なわれるために、あまりに苦しい努力をしなくてもよい割に、大きな成果が上がるものです。この方法は言うまでもなく自由な状況で行われる必要があり、そのためできるだけ制限を取り外せるような雰囲気を作ることが大切です。権力的な人が混じったために、お互いが感情的になったり、自己の主張を通すことを当然としていたりした場合は、全く失敗に終わるに違いありません(101頁参照)。

創造性とは、他人の模倣によらず、新しい思いつきや行動様式を身につけることであり、人間生活にとって有用な新しいものを生み出すことです。創造には、“考える創造”と“創る創造”という両側面があり、しかも相互に関連し合っています(169頁参照)。