国分康孝氏監修、ロバート・R・カーレフ氏著の『ヘルピングの心理学』という書籍を紹介する。 私達 | 松陰のブログ

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国分康孝氏監修、ロバート・R・カーレフ氏著の『ヘルピングの心理学』という書籍を紹介する。

私達は成長する潜在能力を持って生まれています。私達はそれ以上の存在でもなく、それ以下の存在でもありません。この潜在能力を開花させる方法を習得した者は、言葉で言い尽くせないほど豊かな、感動に満ちた人生を体験するでしょう。成長する術を身につければ、私達はどの方向に進出しても、また、何を企てても、望んだことを達成することができます。他方、潜在能力を開花させる方法を習得しなかった人は、無意味な、悲劇に満ちた人生を送ることになります(18頁参照)。

社会的な学習理論や能力開発論が進展するのに伴って、実践家達は、洞察派も行動派もそれほど違うものではないと考え始めました。行動から出発しようと、洞察から始めようと、臨床と研究の結果には大きな差がないことが分かり、二つの学派の歩み寄りを促したのです。体系的に展開されたクライエントの洞察に行動計画を補うと、クライエントは最も効果的に活動できるようになるのです。同じように、うまく組み立てられた行動計画に、深められた洞察が結びつけられ、両者が統合されると、最大の効果を収めることができるのです。つまり、人生における人間の成長発展は、ヘルパーの応答技法→ヘルピーの自己探索(現在地)→ヘルパーの意識化技法→ヘルピーの自己理解(目的地)→ヘルパーの手ほどき技法→ヘルピーの行動化(現在地から目的地への移動)のように進むものと考えられるのです(21頁参照)。

ヘルパー(援助者)の応答→ヘルピー(被援助者)の自己探索。援助技法の革新的な発展は、援助の効果についての調査研究から生まれたものです。基本的には、援助の効果は、二つの要因、つまり、応答技法と行動化への手ほどき技法から導き出されることが分かったのです。応答技法とは、ヘルパーがヘルピーの思考の枠組みに入り、ヘルピーの経験について自分が理解したことを正確にヘルピーに伝えることです。ここで重要視されるのは、ヘルピーの経験に対するヘルパーの共感、感受性、尊敬、暖かさ、そして、時には、その理解の具体性、明確性です。ヘルパーの応答技法は、ヘルピーの自己探索を促し、洞察を深めたり、拡げたりするのを助けるのです。ヘルパーの手ほどき→ヘルピーの行動化。次に、行動化への手ほどき技法は、ヘルピーの経験をヘルパーの経験というフィルターにかけることから始まるが、多くの場合、ヘルパーとヘルピーはその後一緒になって、問題の解決に至る筋道を掴み、その方向に進むきっかけをつくるのです。行動化への手ほどき技法において強調されるのは、ヘルパーの純粋性、率直さ、自己開示、分かち合いの精神、問題解決と行動計画設定の具体性、明確性、さらに、ヘルピーの言行に不一致が見出された時の指摘、直言などです。つまり、行動化への手ほどき技法とは、ヘルピーが自分の問題の解決に向かって行動を起こし、目標に突き進むのを助けることです。援助の過程において、応答技法と行動化への手ほどき技法は、両々あいまって、ヘルピーが洞察から行動に向かって進むのを助けるのです。ヘルパーの意識化→ヘルピーの自己理解。暮らし、学び、仕事の場における広範な調査と面接の結果、援助の過程は更に洗練されたものになりました。意識化技法は、ヘルピーの自己理解を助け、ヘルパーの応答技法と手ほどき技法の間の橋渡しとなるものです。援助技法の核心は、ヘルピーの内面の整理を助けること、経験を分析して、今自分がどこにいるかを把握すること、どこに向かい、どこに到達しなければならないか、目標地点を把握すること、そして、現在いるところからそこに向かって進むのを助けることにあります。ヘルパーのかかわり→ヘルピーの参入。この援助モデルは、援助の予備行動、つまり、かかわり技法をつけ加えることによって完成したが、このかかわり技法は、ヘルピーが援助のプロセスに参入するのを容易にするものです。ヘルパーは、全面的にヘルピーに注意を集中することによって、ヘルピーとの信頼関係をつくり上げるのです。このようにして、ヘルピーが援助のプロセスに参入するのを助けた後、ヘルパーは応答技法を用いて、ヘルピーの自己探索を助けるのです。ヘルピーの自己探索が進むと、ヘルパーの意識化は容易にされ、ヘルパーの意識化が進むと、ヘルピーの自己理解が助けられるのです。こうしてヘルピーの自己理解が進めば、ヘルパーは手ほどき技法を使うことができるので、ヘルピーは行動しやすくなるのです(22頁参照)。

フィードバックによって、援助の諸段階は循環することになります。つまりヘルピーは自分の行動の結果を見ないわけにはいかないのです。この繰り返し起こるフィードバック(結果の善し悪し)によって、自己探索はより広範なもの、自己理解はより正確なもの、行動はより生産的なものになっていくのです。援助の目的は、このようにヘルピーを人間として成長・発展の過程に導き入れることです(25頁参照)。