平成29年6月11日、吉田洋一・赤攝也共著の『数学序説』を読破した。 数学と言うと、整数や虚数 | 松陰のブログ

松陰のブログ

ブログの説明を入力します。

平成29年6月11日、吉田洋一・赤攝也共著の『数学序説』を読破した。

数学と言うと、整数や虚数、分数、少数などの数の種類があり、その数字という記号を駆使し、方程式、幾何代数、面積・体積、微分・積分、三角関数などの問題を解くもののようなイメージが強い。そういう数学の根底にあるものを吉田洋一・赤攝也共著の『数学序説』は紹介している。

数学でよく使用される定義(20頁参照)、公理、公準(24頁参照)などはどういうものなのか?例題を出し、定義、公理、公準の関係を示している(24頁参照)。幾何学の代名詞であるエウクレイデスの偉大さを感じることができる。ちなみに、エウクレイデスとはユークリッドの英語名である(33頁参照)。私は、ユークリッドの方の名前に馴染みがあり、本文にエウクレイデスと記載されていたので、違和感を覚えてしまった。 数学の歴史についても紹介されていて、ギリシャ数学、ローマ数学、インド数学、アラビア数学、ルネッサンス数学への変遷。インド数学における段取りの原理と零の発見は、数学を新たな次元へ導いた(66頁参照)。この書籍において、一番、重要なことは、「数学の大きな信条の一つは、あらゆるものの“記号化”ということ」である(86頁参照)。数学は記号化によって発展してきたものである。謂わば、数学とは言語であり、数式を翻訳し、意味を理解して展開するものなのである。観念を記号化し、新しく対象となった記号の性質を種々検討することによって様々の考察を一望に収め、かつもとの観念を明晰なものにするというのは、数学の大きな性格である(87頁参照)。

代数学は、記号化された式を原則に従って計算する。幾何学の特徴は観察できるところにあり、想像力を利用できる。代数学は、計算や公式というものがあるが、幾何学にはそういう便利なものがないため、知恵を絞って問題を解かなくてはならない(91頁参照)。幾何学とは、古来、人類が生活を便利にするために工夫してきた学問である。図形を観ながら、図形の性質を見抜くことが必要とされる。座標(97頁参照)、方向係数、勾配(101頁参照)、方程式、軌跡(102頁参照)などの概念を利用して図形や地形を理解するものである。円の接線を描くことにおいて、フェルマ(142頁参照)、バロア(146頁参照)、ニュートン(149頁参照)、ライプニッツ(154頁参照)などが挑戦し、微分の発見へと結びついた。中でも函数の概念が重要である。私は、函数というよりも関数の方に馴染みがあり、本文中に函数と記載されていることに、若干、違和感があった(156頁参照)。函数、関数とは、一群の数の集まりにおけるおのおのの数にそれぞれ一つの数を対応せしめる”規則”が与えられた場合、その”規則”そのものをばその数の集まりの上で定まった函数と称える(157頁参照)。よくy=f(x)と記載されるものである。関数は計算を解く上での重要な概念である。

微分積分学は、ニュートン、ライプニッツに発見され、オイラー、ラグランジュ、ラプラスなどの数学者によって発展していく(211頁参照)。

数字という記号の種類に関しても記載されていて、整数、自然数、実数、分数などの他に虚数という数が紹介されている。虚数は、実生活では、なかなか使用されない数である(267頁参照)。虚数とは、二乗して負になる数のことである(268頁参照)。虚数(複素数)という数字を鑑みると、数というものは、現実の事象を表現する記号ではなく、概念だということが分かる。有理数、無理数、分数式、整数などの数の種類が表され、ある幾つかの算法の定まった範囲として代数系が紹介されている。代数系には、体、群、環というものがある。体とは、四則算法が自由自在に遂行できるような数のこと(279頁参照)。ある条件を満たす幾つかの算法の定まった範囲である(318頁参照)。中でも、特に、普通の乗法の性質を持つような算法の定まった範囲、加減乗の三則に相当する性質を持つような算法の定まった範囲を、それぞれ、群、環と称えられている。(318頁参照)。群に関しては、本文の320頁に群の公理系が紹介されている。

幼い頃より、私達は、算数や数学という授業で、二次方程式、面積や体積の求め方、微分積分、三角関数などの解き方を学校で教わってきた。この書籍では、数とは何か、数の種類や範囲、証明することのプロセスなどの数学の深い内容が記載され、公式として当たり前だと思っていたものを、なぜ公式として成り立つのかという証明をして教えてくれている。また、数学の変遷と併せて、数学界での数の捉え方などの学校では学ばない数学の基礎を知ることができる。非常に面白く、役立つ本であり、数学を違う次元、角度で観ることができるようになる書籍である。