スティーヴン・ホーキング著『ホーキング、未来を語る』という書籍を紹介する。 自分達が生きている | 松陰のブログ

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スティーヴン・ホーキング著『ホーキング、未来を語る』という書籍を紹介する。

自分達が生きている世界の空間と時間について学べ、有意義な書籍でした。私達の世界は三次元に時間を加えた世界です。『ホーキング、未来を語る』という書籍によると、十次元もしくは十一次元の世界があると記載されています。まずは有名な超ひも理論という理論が重力と量子論を統一する唯一の方法であろうと言われるようになりました。日常の経験での「ひも」から名前が来ていることから明らかなように一次元的に長く伸びた物体であり、これには長さしかありません。ひも理論におけるひもは背景となる空中で動き回ります。ひもの振動は粒子として解釈されます。ひもが、普通の数の次元と同様にグラスマン次元(時空には私達が日常生活をしている三次元空間に加えて余分な次元があると考えることです。これらは普通の実数ではなくグラスマン数として知られている数で測られるため、グラスマン次元と呼ばれています。普通の数では掛け算の順番を入れ替えても計算結果は同じ、つまり可換です。6×4は4×6と同じです。しかしグラスマン数は反可換です。つまり、x×y=-x×yなのです)を持つなら、そのさざ波はボーズ粒子(整数のスピンをもつ粒子。もしくはひもの振動パターン)とフェルミ粒子(半整数のスピンをもつ粒子)に対応するでしょう。この場合、正と負の基底エネルギーが非常に厳密に打ち消しあうので、いかなる無限大も消えてしまっています。したがって、ひも理論は万物理論であると主張されたのです。1985年以降、ひも理論は完全な描写ではないことが徐々に明らかになりました。ひもは一次元以上に広がっている物体の広大な部類のひとつに過ぎないことが分かりました。これらを対象とした多くの基礎研究を行っているポール・タウンゼント氏は、それらにp-ブレーンという名前をつけました。p-ブレーンはp次元の広がりを持っています。したがって、p=1のブレーンはひもを、p=2のブレーンは平面もしくは膜を表していますが、pの大きい場合も同様です。pの値には多くの可能性があるのですから、p=1のひもを特別引き立てる理由はないでしょう。かわりにp-ブレーン民主主義の原理を採用します。すべてのp-ブレーンは平等に創造されるのです。すべてのp-ブレーンは、十次元もしくは十一次元における超重力理論の解となりうるのです。十次元とか十一次元とは私達の住んでいる時空とは異なるように聞こえますが、これは他の六次元もしくは七次元の空間に気付かないほど小さく丸まっているのだと考えるのです。私達は残った四つの次元を持った、ほとんど平面に近い大きな空間しか気付かないのです(75頁参照)。

 宇宙には複数の歴史があります。複数の歴史をもつという考えは、リチャード・ファインマンによって定式化されました。ありうるすべての閉曲面に対応する虚時間にそって歴史が存在します。そして、虚時間でのそれぞれの歴史が実時間を決定するのです。したがって私達の宇宙にはきわめて多様な可能性があります(109頁参照)。きわめて多様な世界に身を置きながら人類は自分の世界だけがリアルな世界であり、あたかも他の世界が存在しないように思っています。それは人間原理によるものです。大まかに言えば、人間原理は「我々が存在するからこそ、今観測しているような宇宙の存在がたとえそれが宇宙の一部であるにせよ認識されているのだ」という主張です(118頁参照)。ハムレットのクルミの殻のようなもので、このクルミは実時間で起きるすべての事象を符号化しているのです(133頁参照)。シェークスピアのハムレットの台詞のように、私はクルミの殻の中に閉じ込められた小さな存在にすぎないかも知れません。しかし、私は自分自身を無限に広がった宇宙の王者と思い込むことができるのです(94頁参照)。量子論がどのような時間と空間の描象を描いているかを説明するには、虚時間という概念を導入するのが便利です。これは明確に定義されている数学的な概念であり、虚数で測定された時間です。虚時間は実時間と直交しているので四番目の空間の次元のように振る舞います。虚時間は普通の実時間に比べると、はるかに多様で豊富な可能性をもっているのです。時間には形象があるという考えは、この想像上での意味です(83頁参照)。

 この書籍では、現在、過去、未来についても触れています。過去はタイムトラベルの可能性について記述されています。現代のすべての時間旅行に関する議論の基礎は、アインシュタインの一般相対論です。アインシュタイン方程式は、宇宙内の物質とエネルギーによっていかに空間と時間が曲げられ、ゆがめられたかを描写し、それによって時間や空間を動的なものにしました(181頁参照)。しかし、過去に戻ってお祖母さんと結婚する前のお祖父さんを殺したら、お祖父さんを殺した自分自身が生まれないという祖父のパラドックスのような矛盾を生じさせます(184頁参照)。タイムマシンを造るために十分なゆがみを造れる確率はゼロだとしています。時間序列保護仮説と呼ばれる仮説を支持し、量子論や相対論などの物理法則は巨視的物体が時間旅行することを妨げるように共謀しているのです。時間ループは歴史の総和法では許容されていますが、その確率は極端に小さいのです(206頁参照)。一方、未来については、生物学的デバイスと電子的デバイスとのインターフェイスなどの進化を予測していました(230頁参照)。コンピューターはムーアの法則に従い、指数関数的な増加を成し遂げてきたこと(225頁参照)。電子回路がその複雑さを増やしつつ、速さを維持するためのひとつの方法として、人間の脳をコピーすること。脳は次々とそれぞれの命令を処理する単一のCPU(中央演算素子)をもっていません。むしろ同時に機能する何百万という数のプロセッサーを持っています。このような大規模な並列処理もまた電子知性にとっての将来となるようです(226頁参照)。この未来についての記述は、レイ・カーツワイル氏も『ポスト・ヒューマン誕生』という書籍でも同様の予測を記載していました(『ポスト・ヒューマン誕生』レイ・カーツワイル著 164頁参照)。有能な科学者の中では共通の認識になっているようです。