大宮信光氏著の『科学理論ハンドブック50<物理・化学編>』という書籍を紹介する。 高校の物理と | 松陰のブログ

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大宮信光氏著の『科学理論ハンドブック50<物理・化学編>』という書籍を紹介する。

高校の物理と化学の復習をしようと思い、大宮信光氏著の『科学理論ハンドブック50<物理・化学編>』という書籍を読破しました。ボーアモデル、懐かしい。原子核に近い殻から埋めていき、電子の配列を学んだよなと思い出していました。K殻は2個の電子、L殻は8個の電子、M殻は18個の電子(163頁参照)。懐かしいと思いながら読んでいました。閉殻状態が分子の安定した構造、故にイオン結合する(172頁参照)、要は電子の貸し借りだけどね。原子が分子をつくる時、複数個の原子をつなぎとめる力が化学結合です。化学結合には、イオン結合、共有結合、金属結合、水素結合など10種類ほどあります(178頁参照)。この書籍には半導体、絶縁体のメカニズムも記載されていました。半導体と言えば、かつて産業の米と言われ、日本の経済成長を支えた技術です(212頁参照)。こういう化学が技術となり、経済を牽引するものだと感じました。

通常、金属は電気を通します。それは2N個の金属元素が1列に並んだ集合体では、N個の結合性軌道とN個の反結合性軌道が密集して、バンド構造を形成します。2N個のs軌道は、よりエネルギーの低いN個の分子軌道に収容されます。これによって、2N個の金属原子は2N個のs電子を共有できます。共有された電子は、2N個の金属電子の集合体の中を自由に移動できます。これによって金属元素は電気良導体になるのです。それに対して、炭素からできているダイヤモンドのような絶縁体では、一般的にエネルギー準位が低いです。それだけゆとりがあるかのように、結合性軌道と反結合性軌道のエネルギー分裂の大きさは大きいです。結果、結合性軌道と反結合性軌道の幅が広がっても、両者の間の間隔はなお大きく、エネルギーの「飛び」があります。そのため結合性軌道にいっぱい入った電子が移動できず、絶縁体となるのです。一方、ケイ素やゲルマニウムではエネルギー差が小さく、常温で熱エネルギーによって反結合性軌道にも電子が一部励起され、電気を少しだけ通します。そのため、電気伝導体と絶縁体の中間的な性質という意味で、半導体と呼ばれます(212頁参照)。現在、IT家電には半導体は欠かせません。半導体が快適な生活を支えていると言っても過言ではありません。そして、その半導体はこの化学の理論からもたされている恩恵なのです。科学の偉大さを感じます。

さらにギブスエネルギーの箇所も面白かったです。エントロピーとエンタルピー(222頁参照)。F=H-TS(Hはエンタルピー、Tは絶対温度、Sはエントロピー)の式は反応の自発性を求める公式です。自発性?そう言えば。人間にも自発性というものがありますね。このギブスエネルギーをグループダイナミックスに利用できないものかと考えてしまいました。経済学や経営学への応用です。それから科学の進歩と実験機器の進化との強い相関関係。実験機器が精巧化することによって、人類は新たな事実を知りえたのです。「強い力>弱い力>電磁力」。これら3つが同じ起源をもつと思われていました。3力のアイソスピンという成分を回転しても、全てを含む大きな回転対称性を含むケージ理論を取り出し、さらにヒッグス現象を適用するとケージ粒子に質量が付与できます。これが3つの力をまとめる「大統一理論」でした。しかし、ヨーロッパに建設された当時、世界最大の加速器「電子・陽電子スライダー(LEP)」で超精密実験をしたところ、3つの力に微妙にずれがあることが分かりました。ここから新たな動きが始まったのです(138頁参照)。実験機器が精巧化することよって生まれた科学への問題提起です。科学は理論と機器の相互進化によって発展していくものだと思いました。