NHKの『歴史秘話・ヒストリア』 | 松陰のブログ

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NHKの『歴史秘話・ヒストリア』




現在は江戸時代に似ているような気がします。江戸時代には元禄文化と化政文化の時期があります。単純化すれば元禄文化は華やかな時代、化政文化は質素な時代です(あくまでもデフォルトです。例外もあるでしょうが、全体として捉えるならばの話です)。例えるならば、元禄時代はバブル経済時期、化政時代は失われた十年以降の時代なのではないでしょうか。豪華絢爛な元禄文化と抑圧された本能をかすかな風刺や皮肉の文芸に発散させ、愛欲と笑いを求める退廃的な傾向が強くなった化政文化。似ているような気がします。しかし、もし類似しているとしたならば、これからの日本の将来に暗い影を落としそうです。元禄バブルにて、財政が悪化した徳川幕府は享保、寛政、天保の改革という三大改革が行なわれました。では結果はどうだったでしょうか。歴史が好きな方ならご存知ですよね。大した効果はなかったのです。松平定信が行なった寛政の改革においては、厳しい倹約をして、財政の引き締め政策を実施し、一時的には効果がありましたが、結局、抜本的には経済を立て直すことはできなかったのです。なぜでしょう。さらに、その厳しい緊縮策故に、巷では「世の中に蚊ほどうるさきものはなし ぶんぶといふて夜もねられず」とか、「白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき」という汚職まみれの田沼政治が恋しいという民衆の思いが狂歌として流行ったのです。江戸時代の三大改革時期と現在が類似しているとすれば、日本の将来は暗いですね。

日本人の気質は過去の文化の形成から求めることができると思います。奈良・平安時代における天平文化、弘仁・貞観文化、国風文化への変遷が日本人の文化形成のひとつのパターンを示しているように思えます。遣唐使によって先進的な中国の唐の文化を受け入れ、天平文化が花咲きます。これは日本人の異文化を素直に受け入れられる国民性に基づくものだと思います。次に、弘仁・貞観文化にて、唐の文化を消化し、日本と中国との折衷の文化を形成します。日本人は外国の長所を取り入れながら独自の文化を形成する国民性があります。そして、国風文化(藤原文化)にて、唐の文化を離れ、日本独自の文化を形成していきます。これが日本の文化形成のひとつのパターンのように思えます。室町時代も勘合貿易にて明の影響を強く受けた北山文化から日本的な文化を数多く生んだ東山文化へと移行して行きました。豪華絢爛のバブル経済の北山文化からわび・さびという質素な東山文化への変遷です。戦後、日本はキャッチアップというアメリカに追いつけ追い越せを目標に高度経済成長を達成しました。これは天平文化や北山文化などに見られる外国の長所を取り入れようとする日本人の気質からもたらされたものだと思います。そして、外国の長所を日本風にアレンジして、メイド・イン・ジャパンという日本ブランドを獲得したのです。これは日本人が外国の長所と日本の長所を巧く折衷させる日本人気質によるものだと思います。これこそが日本人の匠なのでしょう。バブル経済期を経て、現在、日本独特のサブカルチャーが芽生えました。諸外国が日本独自の文化にクール・ジャパンと言って興味を示すようになったのです。オイルショックなどを経て、消費が美徳になりかけた日本人の価値観がまた倹約が美徳に戻りつつあります。日本文化の変遷は将来の日本の在り方を明示しているように思えます。歴史から学ぶことはたくさんあります。過去の変遷から見えるものもあるのです。