テレビ東京の『ワールドサテライト』 | 松陰のブログ

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テレビ東京の『ワールドサテライト』


野中郁次郎著『戦略的組織の方法論』という書籍を紹介する。

野中郁次郎氏著の『戦略的組織の方法論』という書籍は、「組織の本質」というまさに経営学にとっての永遠のテーマに挑んだ書籍です。私達が組織を考える場合には、どうしても「組織と戦略」という問題を避けて通ることはできません。「戦略要因としての組織」は、言ってみれば経営学の現代的課題です。これから企業は何をすべきか。あるいはどの分野に力を入れるべきか。厳しい経営環境にどう対応すべきか。さらには、社員がいきいきと活動するにはどうすべきか。これらは全て、組織と戦略に関わってくるのです。「構造は戦略に従う」と言ったのはチャンドラー氏ですが、逆に組織構造が戦略を決めることも、また確かです。それでは、戦略と組織の微妙な関連を、どうすれば知ることができるのでしょうか。そういうことを考えながら、野中郁次郎氏はとにかく現場の人々と会うことにしました。野中郁次郎氏著の『戦略的組織の方法論』という書籍では、取材した松下電器(現・パナソニック)、NTT、三井銀行(現・三井住友銀行)、東レ、旭化成、HOYA、花王、ホンダというエクセレント・カンパニーの組織戦略をケーススタディーとして掲載しています(4頁参照)。

『戦略的組織の方法論』では、取材の際、当時組織改革を行なった(あるいはシステムの変更)を行なった企業の責任者と、「戦略」や「組織の本質」について議論をしてみたようです。明らかになったのは、組織改革に際して現れる企業の組織―戦略観にも、様々な型があるということでした。大きく分けて、まず一つが、変化する環境に対応するため組織をツールと考え、構造的な改革によって組織内に戦略的思考を生み出そうとしているタイプ。もう一つは、むしろ意識的に戦略を問うことをせずに、不断の行動プロセスにより組織内に戦略的思考を共有させることが重要だと考えるタイプです。勿論、いずれのアプローチを採るにしても、戦略的思考の「方法論」を組織内に持たせることを意図している点では同じでした。この方法論の有無こそが組織の戦略性、ひいては「組織の本質」を決めているようです(5頁参照)。

『戦略的組織の方法論』でのポイントは、戦略とは一言でいえば、「他と差異をつくること」です。差があるからこそ、戦場で相手を破り、差があるからこそ製品は売れるのです。そうは言っても「差異」をつくるのは簡単ではありません。戦略的思考とは何らかの形で「差異」をつくる、新しい視点ないし「見え」をつくる、そして、その背後にある本質をつかむことを目的とするのです。それはまさに「方法論」の問題なのです。もう一つのポイントが、組織の中に蓄積された「方法論」を考えるにあたり、経営上の「直観」・「洞察」にも注意を向けたことです。「言葉で語れない」人間の認識能力に、新しい評価が下されつつあります。M・ポラニー氏の「我々は語ることができるより多くのことを知ることができる」のです。マネジメントにも、こうした人間の側面を取り戻す姿勢が必要になっています(6頁参照)。

私が野中郁次郎氏著の『戦略的組織の方法論』という書籍で興味を持ったのは、表紙に書かれた伝統的組織とリカード氏の連結ピン組織の組織図です。非常に興味深い表紙の絵です。伝統的組織には、職能別組織などがあります。ピラミッド型の組織がその代表でしょう。組織構造は組織に固有の特性でした。ところでバラバラの個人が集団を形成しますと、また個人や組織に見られない固有の特性が発生します。このような集団の運動法則を見事に表わした人間関係論を展開したのが、社会心理学者レンシス・リカート氏でした。リカート氏の新しい管理パターンの原則の一つに、組織構成の単位(ビルディング・ブロック)を小集団とし、集団的意思決定を行なわせるという原則があります。これは、組織を小集団でおおいつくすために、小集団を組織の構成単位とし、構成単位間の連携を「連結ピン」で行なうという考え方です。これによって、集団のメンバーの参画による意思決定が促進されます。「連結ピン」とは、小集団を繋ぎとめ、上下左右のコミュニケーション・センターの役割を果たすもので、この機能は管理者・監督者などのリーダーによって果たされるのです。ここで重要なことは、連結ピン組織では、個人に代えて、集団が前面に押し出されていることです(『経営管理』野中郁次郎著 80頁参照)。学生時代に読み、学生時代には、当初、私は創造的組織の具体的なイメージをこのリカード氏の連結ピン組織に求めていました(多分、野中郁次郎氏は今井賢一氏や金子郁容氏のネットワーク組織をイメージしているのだと思われますが)。リカード氏の連結ピン組織は画期的な組織像だったのです。