テレビ東京の『モーニングサテライト』 | 松陰のブログ

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テレビ東京の『モーニングサテライト』


内田和成著『仮説思考』という書籍を紹介する。

仮説思考とは、物事を答えから考えることです。ベストな解を最短で探す方法とも言えます。仕事をしていると、毎日、様々な問題に直面します。それらの問題を解決しようとする時、考えられるあらゆる原因、そして、それぞれの原因に応じた解決方法を網羅的に調査するのは事実上難しいことです。問題を解決すべき時間が限られている場合に、そのような仕事の仕方をすると、結果を出せないまま時間切れになってしまいます。したがって、あらかじめ答えを絞り込むこと、つまり仮説を立てることが重要になります。仕事の進め方で大事なことは答えから発想することです。課題を分析して答えを出すのではなく、まず答えを出し、分析して証明するのです(22頁参照)。コンサルタントが経験を積むと、仮説思考力が高まり、短期間で答えが出せるようになります(24頁参照)。どれもがそれが唯一の原因かどうかは分からないはずです。しかし、これも、長年やっていると勘が働いて見当がついてしまいます。もちろん、それは全くの当てずっぽうではありません。頭の中に引き出しが色々あって、経営者とのやりとりをしたり、現場を見ることでその引き出しが刺激されます。これまでの経験と今見聞きしていることが組み合わされて、答えが出てくるわけです。単なる経験だけでもなければ、ただの思いつきでもありません。その両方が組み合わさって答えが出てくると言えばよいかも知れません。勿論、全部が正解なわけではなく、間違うことも多いです。そうした成功も失敗も全て蓄積されることで、勘がさらによく働くようになるのです。これが仮説思考の積み重ねの成果だと言えます(26頁参照)。

ビジネスパーソンにとって大切な能力は、先見性、決断力、実行力です。ボストンコンサルティンググループ・シニア・ヴァイス・プレジデントの内田和成氏は、先見性、決断力、実行力のケーススタディーとして、プロイセンのカルル・フォン・クラウゼヴィッツ氏、ハンス・オフト氏、羽生善治氏を挙げています(28頁参照)。ビジネスパーソンが仮説思考を身につけ、使いこなせるようになると、日常の生活を行う上で、大きな三つのメリットがあります。一つ目は、情報洪水に溺れなくなること、二つ目は、問題解決に役立つこと、そして、三つ目は、大局観をもって仕事ができるようになることです。仕事で大切なのは意思決定です。意思決定する時には、今すでにある選択肢を狭めてくれる情報だけが役立ちます。企業の意思決定でも同じです(34頁参照)。迅速な意思決定のためには、今ある選択肢をいかに絞り込むかという視点で情報収集をするべきです。意思決定に使える時間には限りがあり、完璧な答えが出るまで意思決定を先送りしたくても、相手は待ってくれません。となると、いかに限られた情報をもとに最適な意思決定をするかが鍵となります(37頁参照)。

コンサルタントがどのようなタイミングで仮説を思いついているのでしょうか。最も多かったのが「ディスカッション中に思いつく」です。二番目は「インタビュー中あるいはインタビュー後に思いつく」でした。三番目は「突然、閃く」、四番目は「じっくり考えている時に思いつく」という回答でした。このように仮説を立て方は人それぞれで定石がないということです。しかしながら、仮設構築には様々な方法があります。分析結果から仮説を立てる方法、インタビューから仮説を立てる方法、そして、閃きの三つです(104頁参照)。仮説があっているか、違っているかということ以外に、よい仮説・悪い仮説という考え方があります。BCG社内では仮説が当たっていたか、間違っていたかをよい・悪いとは言わないようです。例え間違っていても、それをベースに新たな仮説がつくられたり、選択肢のひとつが消去できれば、それはそれで仕事が進むからです(140頁参照)。よい仮説を立てられると問題解決がスムーズになります。①問題発見が早くなる、②解決策が早く立てられる、③解決策が絞り込める、という長所があります(144頁参照)。構築した仮説は深堀りして進化させていく必要があります。仮説を深堀りする上で便利な方法として、イシュー・ツリー、あるいは論点の構造化と呼ばれるアプローチがあります。ツリー構造の絵を描き、システマティックに仮説を構造化する方法です(147頁参照)。仮説は検証し、進化させていきます。検証方法にはいくつかあります。主な方法として、①実験による検証、②ディスカッションによる検証、③分析による検証があります(156頁参照)。

 実際に問題を解決するには、仮説思考を身につけることが大切です。まずストーリーを考えます。例えば、「現状分析をするとこういう分析結果が得られるだろう。その中でもこの問題の真の原因はこれで、その結果としていくつかの戦略が考えられるが、最も効果的な戦略はこの戦略だ」ということを、十分な分析や証拠のない段階で作り上げます。ごく一部の証拠は揃っているけれども、大半は証拠がない状態になり、そこから証拠集めを開始することになります。その場合には、自分の作ったストーリー、つまり仮説を検証するための情報を収集することになります。せっかく立てた仮説が、仕事が進むにつれて、実は間違っていることは実際にあることです。間違っていれば、訂正し、軌道修正しながら真実に近づいていくのです(46頁参照)。仮説思考には、問題そのものを発見する「問題発見の仮説」と明らかになった問題を実際に解決する「問題解決の仮説」の二段階があり、仮説を検証していく過程で、コンセプト(概念)が研磨され、精緻な理論ができあがるのです(58頁参照)。

仮説思考力が高まっていくと、最初から相当筋のよい仮説を立てることができます。検証した結果、誤っていたので振り出しに戻って仮説を立て直すということがほとんどなくなります。少なくとも筋のよい仮説を立てる確率は上がります。言葉を換えれば、最初から進化した仮説を立てられるとも言えます。それは無意識のうちに脳内で仮説検証を素早く行ってしまっていることを意味します。仮説を思いついた瞬間に、ああでもない、こうでもないと様々な視点から検証し、わずかな時間のうちに仮説を進化させてしまうのです。コンサルタントの場合も、経験を積んだコンサルタントは無意識のうちに脳内で仮説検証作業を行うので、最初に構築した仮説がかなり進化した仮説になっています。つまり、仮説の構築、検証、進化が渾然一体となって行われるわけです(194頁参照)。仮説を立てることは決して単純な話ではなく、よい経験、バラエティーに富んだ経験を積むことが非常に大切です。ビジネス経験が浅いうちはどんどん仮説を立ててみて、もしも間違っていたら別の仮説を立て、もしよさそうであればその仮説をさらに進化させることを繰り返し練習することです。ただ経験を積みさえすればよいかというと、そうではありません。仮説を立てて、成功したり失敗したりしていかなくてはなりません。特に失敗は重要な意味をもちます。

内田和成氏著の『仮説思考』という書籍は不確実な問題への解決方法を指南した書籍です。仮説を立て、検証し、間違っていれば修正あるいは訂正し、正しければさらに磨いて実践的な理論に仕立てあげるという方法論を示しています。