三金兄の独演会を振り返ると、三金兄の凄さがわかります。
三金兄は独演会をする時、
公演までは予約受付電話の対応も自分でし(問合せは3GOLD)、
当日は受付に座り、予約販売&当日券販売をし、
開演前に影アナでギャグを言い、
高座で落語をして、
お見送りをして、
ずっと出ずっぱりでした。(当日は「もぎりからお見送りまで」が基本でした)
しかも、三金兄は、ほぼ全てのお客様に対して、
お客様が入場する時に全員に愛想をし(会話をし)、
お客様が退場する時に全員に愛想をし(会をし)ていたと思います。
そしてほぼ全てのお客様の顔と名前を覚えていたと思います。
・・・これがメチャクチャ凄い。
噺家の独演会は、たまに
お客様なのか、友人なのか、知り合いなのか
わからん感じで手当たり次第にチケットを売る戦術があります。
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ある種の同窓会的な様相を持つ会もあります。
しかし、それができるのは数回です。
しばらくすると、友人や知り合いが減るのか、お客が減るのかわかりませんが、
たいがい集客数は減ります。
(※同窓会の雰囲気にまぎれこんだお客は、次回以降来場しにくいし、
義理だけで集められた知人は次回以降は来ないし、結局「芸」の話に戻るので、
この販売戦術は継続的には難しい)
三金兄の独演会は、一見、それに似てる気もするのですが、全然違うのです。
三金兄の独演会のお客様は、「三金兄が知ってる人達」なんですが、
集客数は減ってませんでした。むしろ増えて行ってました。
それは、三金兄の独演会のお客様は、
「普段から三金兄にエンターテインメントを提供されてる人(だから知ってる人)」
であり、全員が「お客様であり、仲間」の感じでした。
たぶん、三金兄は
普段から全員に「愛想」というか「笑いのもてなし(芸)」をしていたんだと思います。
知り合いからお客様になった人、お客様から知り合いになった人・・・、
色んな形があるんでしょうが、最終的に全員「仲間(友達)」になってる気がしました。
三金独演会の客席は、三金兄と楽屋で盛り上がってる時の空気に似ていました。
三金兄が独演会の高座に上がる時の空気は、
三金兄が楽屋に入ってギャグを言い出す空気に似ていました。
普段から三金兄はエンターテインメントをしていたんだと思います。
お兄さんは分け隔てなく、ありとあらゆる人全員にエンターテインメントをしていました。
だからお客様全員、一人一人ちゃんと関係を作っていたんだと思います。
客席に座ってる人全員が、「桂三金」と人間として付き合ってる状況やったんやと思います。
全員が「桂三金というエンターテインメントを知ってる」状況やったんやなと思います。
ホンマに「芸は人なり」かもしれません。全身が「芸」、生き様全部が「芸」やった。
だから、独演会は「三金=芸」を見に来る人で一杯やったんや思います。
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かい枝兄が三金独演会を袖で見ながら
「この空気・・・、三金が物凄い愛されてるのわかるわ~」
と言うてたのを思い出します。私もそう思います。
最後に会った池田の「文枝鶴瓶二人会」の楽屋でも、
笑金くんのエピソードを私に喋ってくれました。
お弟子さんの面白いところを私に紹介する・・・・メチャクチャ優しい人やなと思いました。
お弟子さんにもボケたりして、
ホンマにエンターテイナーでした。
皆さん、一人一人に三金兄の思い出は色濃く残ってるんやろうと思います。
エンターテイナーと言えば、
三金兄は卓球も上手でした。(太ってたけど運動神経は良かった)
「できちゃったらくご」の合宿で温泉地に行き、
卓球台があったので、卓球を皆でやりました。
(実は、あやめ師・南湖さんは学生時代、卓球部でかなりの腕前)
三風兄・遊方兄・私は、ほぼ未経験な感じやった思います。
三金兄は、学生時代にやってる訳でもないのに上手でした。
三金兄「俺は(三枝)師匠と、旅先で、よう卓球するからな・・・」と言いながら、
あやめ師・南湖さんの二人とラリーを続け、僅差でいつも負けてはりました。
たま「上手いのに、惜しいですね…」
三金兄「俺、師匠としか卓球せぇへんからな、ギリギリ僅差で負けるクセがついてんねん。
最後、打ちやすいとこに打ってまうねん。もう勝たへんように体がなってるわ」
たま「それ接待卓球ですやん!」
三金兄「そやねん、もう何でもギリギリの僅差で、最後に師匠に負けるクセがついてんねん。
トランプの大富豪とか将棋でも」
・・・ここらが三金兄の持ち味やった気がします。
スグ負けるのでは師匠は喜ばない。
「勝つかどうかわからんギリギリで僅差で師匠が勝つ方が、師匠は喜ぶ」という、
「そらそうやけど…」という、どこまでホンマかわからん話をしてくれました。
ホンマにいつもエンターテイナーやったなぁと思います。
※これ書いてよかったかな・・・でも、三金兄も、もう文枝師匠に怒られへんでしょ。
三金兄は、お酒が飲めないのでドリンクはコーラやジンジャエールなどのソフトドリンクでした。
ある時、3~4人の打ち上げで皆がビールで
文枝師匠「三金、一杯目は何する?」
三金兄「えー、一杯目は・・・、うどんで」
文枝師匠「(笑)・・・ほなそれ言え」
という会話をしたというのを三金兄から聞きました。「師匠、笑とったわ」と、
エンターテイメントとしての大食漢でもありました。
これもある意味、(食べたいのは)どこまでホンマかわからん感じです。
お兄さんは本当に偉大なエンターテイナーだったと思います。
つづく