新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についての諸外国、今回はインドにおける対応を紹介いたします。

 

1. 電子的方法による臨時総会の開催

2013年会社法(以下「会社法」といいます)は、ビデオ会議(以下「VC」といいます)または他の視聴覚的手段(以下「OAVM」とい います。)を通じて株主総会を行うことを認めていません。

 

コロナウイルス感染症の現状を踏まえ、企業省(以下「MCA」といいます)は、2020年4月8日付一般通達14/2020号(以下「通達 14号」という)を発出し、やむを得ないと考えられる場合、会社が臨時株主総会(以下「臨時総会」といいます)を電子的方法により開催することを許容し、その開催条件を定めました。

なお、当該規制緩和は2020年6月30日以前に開催される臨時総会に対してのみ利用可能です。

当該手続の主な要件(会社法に基づいて電子投票設備を提供することを要求される企業と、要求されない企業とでは異なります)は、次の通りです。

 

(a) 電子投票設備を提供する必要がある会社について (または当該設備を採用した会社)

・記録されたデータは、安全に保管しなければならない。

 • VCまたはOAVM設備にて、双方向のコミュニケーションを可能にする。参加者は、即時に質問を行うことができるか、 または企業の電子メールアドレスに事前質問を提出するための時間を与えられる。

• VCまたはOAVM設備は、先着順で1000人以上の参加を許容する必要がある。2%以上の株主、取締役、主要経営人材、委員会の委員長、監査人については、先着順の原則の制限なく、出席が認められる。

• 会議に参加するための設備は、会議開始時刻の15分前から15分後まで利用できる。

• 遠隔地電子投票の設備は、会社法の規定に従って会議前に提供される。 

• 総会に出席している株主で、遠隔投票による投票を行っていない(それ以外の方法では行わない)者は、総会における電子投票制度または挙手による投票が認められる。 

• 当該設備が利用できるようにする方法およびヘルプライン番号についての情報開示を提供するための招集通知を発送する。

• 当該総会において可決された決議が、通達14号に記載される仕組みが会社法の他の条項およびその規則とともに 総会中に遵守されたことを明示し、60日以内に会社登録機関に提出される。

• 通達14号の日付より前にすでに招集通知が発送されている場合、短縮された通知に対する株主の同意を条件として、新たな招集通知を発送する。

 

また、MCAにより発行された2020年4月13日付一般通達17/2020号(以下「通達 17 号」といいます)に基づき、更に以下の手続が明確にされています。

• 臨時総会の通知は、会社に登録されたメールまたは預託先参加者・預託先に登録されたメールを通じてのみ、株主に通知することができる。

• 電子投票設備の際に必要とされる公告には、次の事項も記載される。

(i) 会社法および通達14号および通達17号の規定に従い、VCまたはOAVMを通じて臨時総会を招集する旨の声明

(ii) 臨時総会日時

(iii) 会社および証券取引所のウェブサイトにて招集通知が掲載される旨

(iv) 物理的に株式を保有している株主、または電子メールアドレスが会社に登録されていない株主が、臨時総会中に遠隔投票または電子投票システムを通じて投票できる方法

(v) 株主が会社にメールアドレスを登録する方法

(vi) その他会社が必要と認める事項

 

(b) 電子投票設備を提供する必要がない会社について

• VC または OAVM 設備は、先着順で500名以上の参加を認める。

• 株主は、会社に登録されているメールアドレスから、招集通知に記載されている会社の指定メールアドレスにメールを送信することによってのみ、決議に投票する。

 

さらに、通達17号に基づき、以下の点が定められています。

 

• メールアドレスが会社に登録されていない株主全員に対し、電話等によるメールアドレスの登録連絡を行った上で、臨時総会通知を発送する。

• 株主の連絡先詳細が会社に入手できない場合、会社は、当該会社の登録事務所が所在する地域に広く流通している英字新聞1紙およびできれば電子版の両方の新聞に、以下の情報を明記して、公告する。 

(i) 会社は、会社法並びに通達14号および通達17号の適用される条項に準拠し、VCまたはOAVMを通じて臨時総会を開催することを意図しており、当該目的のため、公示日から少なくとも3日以内に、すべての株主に通知を電子メールで送付することを提案する旨

(ii) 臨時総会への参加・投票用メールアドレスの登録のために株主が連絡することができる電話番号とともに、メールアドレスの内容

 

2. CSR 拠出金の対象額

MCAは、2020年4月10日付一般通達15号を発行し、企業の社会的責任(以下「CSR」といいます)に関する質問について回答しました。

その要点は次のとおりです。

 

有効なCSRに含まれるもの:(i)PM CARES基金への拠出、(ii)国家災害管理当局への拠出、(iii)コロナウイルス感染症関連活動への支出、および(iv)コロナウイルス感染症に対応するための、臨時・非正規・日給労働者への賃金支出以上の見舞金の支払い 

有効なCSRに含まれないもの:(i)従業員/労働者/契約労働者/日給労働者への給与/賃金の支払い、および(ii)Chief Ministerの救済基金、またはコロナウイルス感染症国家救済基金への拠出

 

3. 2020年会社フレッシュ・スタート・スキームと2020年LLP解決スキーム

MCA は、コロナウイルス感染症に照らし、企業の申請要件遵守を支援するため、2020年3月30日付で、2020年企業フレッシュ・スタート・スキーム(一般通達 12/2020号)および改訂版2020年LLP解決スキーム(一般通達 13/2020号)という2つの通達を発行しました。

前者において、MCAは、MCA-21登録への書類提出の遅れを容認しており、また、実質的な法違反に対するものではない場合の起訴や、特定の申請に伴う遅延を理由とした罰則を科す手続きからの免除を認めています。

この制度は、2020年4月1日から2020年9月30日まで有効です。

後者において、2020年4月1日から2020年9月30日まで、LLPによる会社の登録官への提出の遅延に起因して、申請遅延手数料の放棄が定められています。

 

※本記事は2020年4月16日時点の情報に基づいて執筆しております。

  


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