今の米国では株式投資については株を買わない方がバカで、株を買えない貧乏人は借金をしてでも株を買うべきである、という論調があるようです。


実際、カードローンを組んででもGAFAの株式を買いたいと思っている人がたくさんいますが、以前まではローンの与信がなかなか通らなかったようなのですが、最近になってから個人への与信もリーマン・ショック以前のレベルに緩くなってきたようです。

 

皆さんご存知のように株式相場というのはその上昇の出口が見えなくなったときに群集心理から極限が形成され、予期せぬ上昇波のクライマックスを経て、終わりを迎えるというのが定説です。

 

問題は、バブルがどの程度の規模で押し寄せて、いつ終わりを迎え、自分だけがいかにして負の荒波から事前に逃れて売り抜けることができるかどうか?という点に尽きると思います。

どんな微分方程式を使っても導き出すことはできません。

日経平均が今後、裁定取引の正常化を経て裁定買い残3兆円のピークに達するためには金額ベースで約13か月かかる、という計算があるとかないとか…


しかし、シカゴの日経平均先物のオプション建玉が例年になく不安定で、今回の日経平均の相場上昇では裁定買い残3兆円になる前後の微妙な時期にピークをつける恐れがあります。

米国大統領選挙(11月3日)までが相場のピークと目される状況なのですが、それまでに日経平均自体は3万円を簡単に超えてしまうような意外高があったり、2万円程度までに押し込まれたりと、かなりの曲折が予想されます。

それもすべて米ドル為替の影響となります。
日経は、米ドル相場による安定したヘッジ手段の恩恵です。
日経平均は世界随一の景気敏感指数といわれていますがそれは誤りで、世界一米ドル相場によって敏感に影響を受け、米ドル投資主体からは換金性の高い「ダウ連動型の安心で便利な指数」というのが本質です。

 

米国から見て「やばい」と思ったらリスク資産は当然売りなのですが、2~3週間タームでは売り切ったあとに円安が来て日経平均の指数自体は上昇することもあります。

逆に日本に地震などの地政学リスクが来て株が暴落しても、急激な円高で我々は助かっていたりします。為替はドルベースのファンドにとって「便利な換算ツール」に過ぎません。
「円高なのに日経平均は下がらない」「ダウが上げているのに円高で日経平均の上げ幅は狭い」という状態が来年夏場に示現したら、賢明な投資家の皆さまはいったん株式のポジションを解消してもよいぐらいの覚悟が必要です。

 

なかでも「円安で日経平均も上昇」という事象は数週間、騰落レシオの膠着を伴って最強の相場を演出します。
そのときに自分だけ売っていくのは断腸の思いとなるでしょうが、ファンドはこのようなときは100%粛々と売っており長期的には大正解となるのです。

 

下記はバンカー達やメンバーとのあくまでも風の噂、2020年相場を語る上での暗黙の了解をお話しします。

 

■2020年は株価上昇、下げられざるを得ない日本株のリスクプレミアム~バブル発生の根拠

CAPM理論の中核をなすリスクプレミアムですが、一世を風靡したこの理論にもほころびが見えてきました。企業が株式で資金を調達するのにどれだけのコストが必要かを示す資本コストは「株主資本コスト=無リスク金利+株式β×リスクプレミアム」という式で表されます。

 

ベンチマークとなる無リスク金利がマイナス金利をベースにしていることと、日本株ではとくに「株主優待」や「たこ足配当」など経営理論を無視した株価維持のための資本政策が散見されていると共に、肝心の日経平均やTOPIXでさえ日本銀行(以下、日銀)によって買い支えられている始末で、株式βの正確性に疑問があります。

これでは株を買うのにどれだけ勇気がいるかという「リスクプレミアム」は正確に計算できません。

 

その代わり、最近ではPER(株価収益率)の逆数(益回り)を単純にリスクプレミアムとして使用する、あくまでも投資家サイドの視点から単純化された理論を用いるようになってきました。

株が買われやすいようにPERを上げていくことが、リスクプレミアムを引き下げ、さらに株価を上昇させるエンジンになるという考え方です。

 

これは現在のNYダウ平均に有効で、ダウのPERは2019年だけで15倍から19倍に跳ね上がりました。日本ではPERが高いということはすでにその株式が割高だという考えに束縛されており、日経平均のPERは2019年では年初の10倍割れからこの年末でたった14倍です。

 

つまりダウの方が「相当に」株を買うのにリスクを感じない相場となっているのです。理由はさまざまありますが、風説では「自社株買いにその原因がある」とされています。

ダウでは自社株買いはここ数年来激しく行なわれており、S&P500合計の2019年実績では約8,000億ドル(約90兆円)といわれております。これが経営者のストックオプションを釣り上げ、高額報酬に結びつくと同時に、PERを押し上げているのです。

 

トランプ大統領、年金システム、投資家すべてがグルというわけです。
残念ながら東京証券取引所では時価総額の違いを勘案しても自社株買いの規模はNYの約5分の1程度とされております。

これに目をつけているのが日銀と優良企業の経営者です。
日銀によるETFは年間6兆円(日経平均連動・JPX400連動型ETF3.3兆円、TOPIX連動型ETF2.7兆円、企業支援ETF3,000億円)で、2020年も継続し、これと同程度の自社株買いがさらに優良企業中心に行なわれていくことが日本株のリスクプレミアムを劇的に引き下げていくと思われます。

これまでの株価上昇の根拠は企業収益EPSの上昇でした。しかし2020年はそれがリスクプレミアムの低下、PERの上昇となっていくのです。これは「バブル」とも呼ばれます。
ちなみに日経平均の1990年の平均PERは約80倍でした。

 

■引き上げられる配当、絶対倒産しない保証をつけて配当を上げていかないと日本株は買われない

優良大企業の経営者の多くは、社長になった瞬間に「上がりを感じる」と言います。
企業経営よりも引退後の処遇が最大の関心になるそうです。

これでは企業は成長しません。
最悪なのは株価だけがずるずる下落すること、そして倒産かたたき売り状態でのM&Aに終わることです。
経営者としてはまさに失格であります。

そこで株価を上げていく努力が経営者には発生するのですが、TOPIXコア30の超優良企業群でも、トヨタなどの一部の企業群以外はもはや米中のプラットフォーム企業群(Google、Amazon、Facebook、Apple、百度=バイドゥ、アリババ集団、騰訊控股=テンセント、華為技術=ファーウェイ)に追い込まれ、今後約20年程度は詰んでしまっているのです。

この状況で高い株価を維持するための方策はただひとつ。
「自社株買いと増配当」のセットを繰り返し続けていくこと。
それしかなくなっています。

 

蛇足ですが、日本企業の社員の給料は上がりませんし、国内に工場などが新設されて仕事が増えることはこれから数十年は来ないでしょう。

ところで、日本特有の相場上昇のアノマリーとして、3月期末の配当取りによる相場上昇があります。これは毎年3月期末の配当権利確定日(歴年3月期末の3営業日前)を目指して、機関投資家が買いを入れるため、相場が理由なく上昇する事象のことです。

 

その直後の4月頭も年金などのファンドがポジション構築のために新規資金を入れるので東京相場は配当落ち後でも、すんなりと上昇することが多いといわれています。
これには海外のファンドも注目しています。

米国株でも5月中旬に配当権利日を迎える時価総額の大きな銘柄があるため「セルインメイ」というアノマリーがあることが有名です。
 

当面、流動性が高く、大きな資金でも即断即決で現金化できる、板が厚い銘柄群で、高配当(リーマン・ショック時にも減配しなかった銘柄:トヨタ・キヤノン・メガバンク・通信大手・JTなど)、かつ絶対潰れない企業で経営戦略上まだ成長の見込みがあり自社株買いを実行し、増配し続け減配しないことを公約している企業(三菱商事・三井物産・伊藤忠)、これら現物日本株に今年1~2月からコツコツ仕込んでいくことが勝てる王道となるかと思います。

大型株のピークを予想するのは難しいですが、今年1年間など年限を決めて、とにかく株価が跳ね上がった数週間タームでの売り抜けが賢明です。
 

その後、本格的なバブルが訪れた際の値幅には目をつぶり、デイトレードで利益を積み上げる方法が売り抜け失敗のリスクヘッジとなります。

小型株の当たり外れを予想するのは、経営者の頭の中を確認する必要があるため不可能です。
ここはTOPIXコア30の優良銘柄をしっかり握っていきましょう。

具体的な銘柄については控えさせて頂きます。

 

リスクプレミアムの低下、PERの上昇、配当利回りの上昇、株を持つ者だけが資産構築できる最後の大相場がくるかもしれません、ただし、あくまでも風の噂……。

投資は自己責任でお願いします。

 

※本情報は投資を勧誘するものではありません。また、内容について激裏情報がいかなる保証を行なうものでもありません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行なわれるようお願いいたします。