いろいろある世の中になんにもない人生で

石橋を叩いてでも渡るような性格は

慎重というよりも臆病がふさわしい

だからまた叩きすぎてその橋は崩れゆく

違う石を拾い上げ再度造るその橋は

昨日とはまたちょっと違う形をしていて

それをただ見つめてる それだけで心地いい

 

渡る前にまた崩し、今日もそれの繰り返し

先へ先へ進もうと日々そこで開くノート

真っ白い世界との終わりなきにらめっこ

どこまでこの静寂は続くのかと考える

それでも続ける意味を日々の詩に問いかける

 

ある人がある晩こう言った 

「人には皆来た道と行く道があるのだ」と

その意味がわからずに僕がそこで尋ねると

その優しい唇は再度僕にこう言った 

 

「若い人達を見て笑ったりしてはダメ。そこは以前お前だって通ったはずの道だから、それに老いた人たちもそうしてはいけないよ。そこはやがて誰もが皆通るはずの道だから」

 

その場所を見つめれば、人は皆同じ道

皆同じゴールへとそれぞれに歩き出す

そこへ向かう旅人にこの言葉を持って行こう

その道その足跡へ世代越えたリスペクト

 

後悔を残さぬよう終えようと思う今日。

限りあるその日々に書き足したこの一行

その先にあるはずのまだ見ない理想郷

側に延びる轍への憧れを胸に秘め

その隣に足跡を一歩一歩印す日々

 

鍵を開け進む日々

鍵を掛け守る日々

 

それぞれが、それぞれの同じ日の違うトキ

 

風に吹かれ揺らめいて

雨に打たれ俯いて

時々その葉を摘まれ

時々踏んづけられて

戦いを終えたとき願う事はただひとつ

最期の日はお日様の光に涙を流す

 

夢抱いたあの場所から変わらず今も叫んでいた。