原油安が進み、その影響は好調なアメリカ経済にも少なからず影響が見られていますね。

シェールオイルは一時アメリカ経済を引っ張っていく存在として注目され、バブルのようにあちこちから資金が流入しました。

しかし、投資に失敗し、大幅な損失を出した住友商事のように多くの企業がその投資を回収できないままです。
今では好景気の足を引っ張ってしまっている現状ですね。

さらに追い打ちをかけているのが原油安です。
シェールオイルの存在は当然ながら需要と供給のバランスを変え、原油安の状態を生み出しました。
OPEC(石油輸出国機構)もこれまでは価格調整のため石油を減産傾向でしたが、最近になって原油増産を増やし、その規模は過去3年間で最大に達しています。
生産国各国の思惑は様々な報じられ方がされていますが、資源を扱う各国の企業にとっては間違いなく痛手になるはずです。

11月にOPECでは、ベネズエラなど減産を主張する国に対し、サウジアラビアなどは原油価格の下落はアメリカのシェールオイルの開発を遅らせることに繋がるとして、最後まで減産に反対し結局減産の先送りが決定されました。
その為、暫くは、原油価格が低い水準を維持することが予想されます。

原油安はエネルギーを使う側の企業や消費者にとっては朗報ですが、原油に投資し販売する側にとっては切迫した問題なわけですが。
販売価格が低迷し多額の投資を回収できなければ、シェールオイルに沸いた期待は一気にしぼんでしまうことになるのです。

本来、原油価格の下落は日本にとって良い事のはずですが、アメリカの株安→円高→日本の株安という状態を一時的ながら引き起こしており、世界中の経済が少なからず互いに依存し合っている現在ではどのような影響を及ぼすのか分かりません。

原油価格が下がると国民生活に大きな影響を及ぼします。
ガソリン代は勿論の事、運賃・エネルギー代・石油を原材料としている製品など、多くのものが値下げとなります。
嬉しいことではありますが、ガソリンの価格を見てみると確かに一時期よりは安くなっていますが、半分近くに値下がりしたとか、大幅に安くなったという実感がありません。

まず1つ目の理由は、円安水準が続いているからです。
円は4年位前は1ドル76円台で推移していましたが、現在では120円を少し下回る位の水準であり、円安状態が続いています。
その為、原油を輸入に依存している日本としては、原油本体の値下げ分が、円安による値上げ分に打ち消されてしまっています。

そして2つ目の理由は、ガソリンの価格には、ガソリン本体の価格の他にガソリン税の分も含まれているからです。
たとえガソリン本体の価格が下がったとしても、ガソリン税は一定である為、思ったほどガソリンの価格は下がらないのです。

この様に、原油の価格が下がったからと言って、同じ様にガソリン価格も下がるという様な単純なものではありません。
また、原油相場にしても、ある程度価格が下がったところで、投機筋が今度は買いを入れて価格を吊り上げてくることも考えられます。今後も、価格の動向には注意していく必要があります。

もうしばらく原油価格の値動きとアメリカ、ロシア、中東といった産油国の動きを注視していく必要があるでしょう。