10月9日、スウェーデン・アカデミーは、2014年のノーベル文学賞をフランスの作家パトリック・モディアノ氏に授与すると発表しました。
アカデミーはモディアノ氏の「占領下で翻弄された運命や人生を描き出した」と評価し、800万スウェーデンクローナ(110万ドル)の賞金を贈ると説明しています。

モディアノ氏は1945年にフランス・パリ近郊に生まれ、幼い頃から家庭環境は複雑だったようで、彼の両親は滅多に家に帰ることがない複雑な少年期を過ごしていたという。
幼少期の体験が作品に強く反映され、主人公が自己のアイデンティティーを探し求める物語を、簡潔な文体で表現する手法が高く評価されてきたようで、時間を行き来する作風はプルーストのフランス文学の系譜を引いていると言われてるそうです。

代表作は「暗いブティック通り」でドイツ占領下のパリで記憶を失った主人公が、過去の思い出を取り戻そうとする物語で、ゴングール賞を受賞した作品で、この小説は、韓国映画「冬のソナタ」に影響を与えたとされています。

「パリの私立探偵事務所で、私はユットと一緒に働いていた。そこに勤める前の記憶は、ない。私は、過去の思い出を取り戻すためにパリの街をさまよううち、せつない事実に次々と…」

「パリの尋ね人」は、名もなきユダヤ人だ。少女のかすかな足跡を追い求める旅。名前はドラ・ブリュデール。女子、十五歳、目の色マロングレー、うりざね顔…。1941年12月31日、占領下のパリの新聞に載った「尋ね人広告」。
これを偶然発見した時から、作家モディアノの10年にわたる少女ドラの行方を探す旅がはじまった…。
フランスを感動の渦に巻き込んだ名作です。

「イヴォンヌの香り」はフランスパトリス・ルコント監督により映画化されていますね。
ジュネーブに近い湖畔の避暑地、パリからやってきた青年ヴィクトールは美しい女性イヴォンヌと知り合い恋に落ちる。

他に、パトリック・モディアノの作品は「失われた時のカフェで」「家族手帳」「八月の日曜日」「廃墟に咲く花」「ルシアンの青春」などがあります。

モディアノ氏は、様々な作品の中で、人間存在の不確かさを緻密な描写で描き出してみせてます。
ちょうど時代も第二次大戦の頃と似てきています。
同氏の描く世界が、一種予言のようにフィットしてきているのは幸いなこととは言えないのですがね。。。。