今年上期の貿易赤字、2兆9158億円=火力燃料輸入増で―財務省(時事通信) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120725-00000039-jij-bus_all

今日そんなニュースがヤフーニュースでありました。
この貿易赤字が急激に拡大している原因はご存知でしょうか?

ちなみに、2011年度の日本の貿易赤字は四兆四千億でしたが、実はその大きな原因の一つに、液化天然ガス(LNG)の輸入の増加が原因だったようです。
輸入物価の上昇と液化天然ガスの輸入の増加という二つの原因により昨年の日本の貿易赤字は急激に膨らみました。

そして本日のニュースの2兆9158億円。
通期ではなく上半期で現在過去最大の赤字なので昨年以上の赤字になるのは確かでしょう。

さて、なぜ液化天然ガスの輸入が増加したのかといえば、震災後に原子力発電所の稼働が厳しくなり、相次いで火力発電へシフトしていった事はある程度ご存知かと思いますが、実はこの日本の火力発電所の約七割が液化天然ガスを使用していて、火力発電がフル稼働していたのが要因のひとつだと言われています。

発電コストが安い原子力発電所を停止し発電コストの高い火力発電所稼働させ、ガスの輸入を増加させたのだから電気料金を値上げせざるをえないというのが電力会社のロジックだとおもいます。

でもこれ、本当はおかしなことなんです。

あまり知られてない事だと思うんですが、現在日本が輸入している液化天然ガスの原産国の中心は中東です。
この液化天然ガスはBTUという単位で売買されているのですが、この価格が実は日本はアメリカの九倍なんです。
なぜこんなにも価格に大きな違いがあるのかというと、これまで採取できなかったシェールガスを堀削する技術が開発されたのです。
アメリカのシェールガスの埋蔵量は2000年分はあると言われていてそれゆえ100万BTUが低価格で実現されてるカラクリなんです。

言うまでもありませんが、日本はアメリカにとって最大の同盟国です。
日本が福島原発事故により夏の電力供給に不安を抱える状況下にありしかもアメリカ産の液化天然ガスの9倍もの価格の中東産を輸入しているのだから、少しくらいわけたりしてくれてもよさそうなのですが、残念ながらそうした流れにはならないようです。

輸出のための液化基地がまだ不十分であるということもあるのですが、アメリカにとって液化天然ガスは戦略物資だからです。
アメリカはFTAやTPPに加盟しない国には輸出しないとはっきり言明しています。
つまり、安い液化天然ガスが欲しければTPPに加盟せよ!ということです。
日本も例外ではないというわけなんです……

もし日本が安く液化天然ガスを輸入することが出来るようになればCO2の問題はおいといて、火力発電のコストはひとまず解決できます。
これで原発を再稼働させなくても電気料金の値上げをすることなく電力不足を乗り越えられる事が出来れば日本の世論は原発全廃の方向に大きく傾く可能性があるのではないでしょうか?

反対に電気料金を大幅に値上げされればやはり原発を再稼働させるべきという主張が幅を利かせる可能性も高くなるのです。

原発の存廃は液化天然ガスの価格によって大きく左右される可能性もあるのですが、価格の動向はアメリカの思惑にかかっている部分も少なくありません。
価格はTPPと原発という二つの変数により動いていくことになります。


そして忘れたらいけないのはオバマ政権は原発推進派であるということです。