ヒラリークリントンが米国の大統領になったら、日本にタカ派的な厳しい政策をとる、という見通しを持ったエコノミストが日本に多いが本当にそうであろうか?

 そういう彼らの根拠は、1993年から発足したビルクリントン政権が、日本に非常に厳しい政策をとったことにある。当時のクリントン政権は、日本に厳しい要求を突きつけるとともに、日本の頭越しに(ジャパン パッシング)中国の江沢民政権と米中戦略パートナーシップを結び、日本敵視政策を前面に出した。日本人には、そのような過去の苦い経験があるだけに、ヒラリークリントンにも同様なイメージをダブらせるのであろう。

 しかし、当時と現在とでは、環境がまったく違う。当時は、「ジャパン アズ ナンバーワン」という書籍が売れたように、日本は飛ぶ鳥を落とす勢いで、もう米国に学ぶものはなにもないという雰囲気であった。米国内でも日本に対する危機感が頂点に達した時期であった。アラン・グリーンスパン氏の書籍「波乱の時代」(下記)にもグリーンスパン氏が書いているように、当時は、全米のムードが、日本の産業競争力を恐れ、憂鬱が晴れることはなかったようだ。そのような環境下では、だれが大統領であっても日本に厳しい政策をとったであろう。翻って、現在の日本は、その後の失われた15年ですっかり力を無くし、世界での地位も大きく低下させてしまった。もう、必要以上に日本をたたく必要はないのである。

 

波乱の時代(上)/アラン グリーンスパン
¥2,100
Amazon.co.jp
波乱の時代(下)/アラン グリーンスパン
¥2,100
Amazon.co.jp

 

リビング・ヒストリー ヒラリー・ロダム・クリントン自伝/ヒラリー・ロダム・クリントン
¥1,995
Amazon.co.jp