このところ急激なドル安が進んでいる。すべての通貨に対して、ドルの全面安の状況だ。マスコミなどで、「円高が進む」という表現を用いられることが多いが、それは間違いだ。ドルが勝手に大幅に安くなっていったので、円はその場にじっとしていても、対ドルでは強烈な円高ということになる。

 今回のドル安局面では、各国通貨の強弱は地政学的な力学が影響しているように思われる。つまり、米国に地理的に近い国の通貨カナダドル、メキシコペソなどが、米ドルに追随して下げていき、地理的に遠い、欧州、豪州、日本などは、保ち合っているといった具合だ。先日のブログで触れたデカップリング、リカップリング論では、デカップリングのほうに分があるということになる。やはり、中国、インド、ブラジルなどの新興国の経済発展は、いまのところ米国には足を引っ張られていないということだろう。