一昨日の米国FRB議長ベン・バーナンキの、「ドル安は、米国輸出企業にとって好ましい」等の発言が、ドル安容認と受け止められ、日本時間の昨日午前8時過ぎあたりから、急激にドル安が進行している。通常、各国の通貨当局は、インフレファイターとしての意識を強くもって仕事をするものであるが、バーナンキ議長は、どうもそうではないらしい。もともとベン・バーナンキといえば、FRB理事だった2002年に「ヘリコプターから紙幣をばら撒く」という喩えを使って、デフレ阻止を訴えたりしたことから、インフレファイターというゆうよりも景気重視型の考え方であると見られてきており、ヘリコプター・ベンと揶揄されもしている。しかし、今回の発言で、FRB議長という立場でも、やはり景気重視派(ハト派)のスタンスであることが、はっきりしてきた。少々のインフレには目を瞑り、あらゆる手段を用いて米国の景気後退を阻止していくという姿勢である。結果はどうあれ、強いリーダーシップを感じられ、好感が持てる。

 翻って、日本の通貨当局である日銀はどうであろうか。日本をどういう方向にもっていきたいのか、意志が感じられないと思うのは、私だけだろうか。