本日、サウジアラビアがドル急落に備えドルペッグ制を廃止するのではないかという観測が流れた。まだ、観測段階なので真偽のほどは明らかではないが、中東きっての親米国であるサウジにそのようなうわさがたつこと自体、米国にとって深刻である。

 過去ブログ(2007.6.24)で、大国の覇権は百年が基本であると書いたが、19世紀の英国(大英帝国)から世界覇権を引き継いで20世紀を通して世界に君臨した米国も、約百年が経過し、足元でいろいろとほころびが目だってきた。長期的視点にたった場合、米ドル安トレンドは間違いあるまい。その米ドルに一蓮托生の円も、長期円安トレンドとなろう。すでに、1995年の1ドル79.75円を円高のピークにしてトレンドが転換し、大きな長期円安トレンドが始まっている。1973年に変動相場制に移行して以来、300円近辺から23年間長期円高トレンドが継続してきたが、1995年に大きなトレンド転換を迎えたのである。23年間続いたトレンドが大転換したわけであるから、今回の円安トレンドもかなり長期にわたって継続するものと考える。日本の構造的な問題だからである。ただし、今後は米ドルと比べて高い、安いといっても、あまり意味をなさない。米ドル自体が地盤沈下していくわけだから、米ドルと比べていても本当の位置はつかめない。今後の為替レートは、ユーロ、中国人民元を主体にして円レートを計算すべきだろう。

 日本人は、円建てでほとんどの資産を持っている。しかし、今後まだ最低10年くらいは続くであろう円安トレンドを考えると、全資産を円建てで持つことがいかに危険かを認識すべきである。全財産を競馬の穴馬にかけるようなものである。円安、インフレがくれば、全部パーである。

 これからは、資源などの一次産品の価格が上がっていく時代である。じつは、2001年くらいからすでに上がり始めている。2001年までは、約20年にわたり資源などの一次産品の価格は下落し続けてきた。上昇し始めてまだ6年くらいであるから、長期上昇トレンドはまだ始まったばかりであると考えていい。資源、食糧などの多くを輸入に頼る日本は、今後さらに相対的に苦しくなり、辛抱の時代が続くと考えるべきだ。対照的に、一次産品の産出国は有望だろう。そういう国の通貨を持っておくといいだろう。