1868年1月、徳川慶喜は幕府軍四万人の総大将として大阪城にいた。対峙する薩長軍は、四千人。ところが何を思ったか慶喜は、夜陰に紛れて一人開陽丸で江戸に逃げ帰ってしまった。しかも、前日に「あす、代が先頭に立ち、薩長をけちらかしてくれようぞ」と大演説をぶっておきながら、である。当然、総大将を失った幕府軍は戦意を喪失し、総崩れとなった。戊辰戦争の一幕である。

 それから140年が経った現在、また同じようなことが起こった。安倍首相が、突然の辞任。二日前に、所信表明演説をしたばかりである。小学校の生徒会でも、こんなカッコ悪いやめ方はしないだろう。

 自民党も、命運が尽きたようだ。皮肉にも、安倍首相は長州の出身である。