2006年度の関東私鉄大手8社(東急、東武、小田急、京王、西武、京急、京成、相鉄)の輸送人員が、前年度の実績を上回ったようだ。2005年度も東武以外はプラスであったので、関東私鉄大手8社の輸送人員増加傾向が定着しつつある。これは、小泉構造改革の成果で東京が活気づき、東京圏への人口移動が加速しているためである。安部政権もこの路線を継承していく限り、東京圏への人口移動は続いていくものとおもわれる。また、今後東京は思い切った規制緩和策により国際金融都市として繁栄していくことも期待されている。また、ガソリン価格の上昇傾向が今後も継続していくと思われることや、関東圏の車事情がよろしくないこと等も含め、関東圏では鉄道を利用する人の比率も増えていくと考えられる。

 このようなことから、バブル崩壊後十数年に渡って苦難の道を歩んできた関東私鉄各社も、新たな成長ステージに入ってきたと考えていいのではないだろうか。じゃあ、JR東はどうかという意見もあろうかと思うが、JR東の場合は営業エリアが東日本一円に広がっているため、過疎が進む地域では逆に収益圧迫要因となろう。このため、東京圏に営業エリアが集中している私鉄各社のほうが、収益アップの変化率が高いと考えられる。また、関西私鉄各社であるが、まだ輸送人員の減少傾向が続いており、今後も東京ほどは期待できないと私は考えている。その理由は、大阪圏には製造業が多く、今後BRICs諸国との競争の過程で、大阪圏の製造業は相対的に地位を落としていくと考えられ、人口流出の傾向に歯止めがかからないと思われるからである。日本の製造業を営む企業がだめだといっているわけではなく、あくまでも大阪圏立地の工場を考えた場合の話である。企業そのものは、世界を見据えて、グローバルに伸びている優良企業がいくつも大阪には存在する。