観自在 | 渋谷 茶道教室「松濤庵」

渋谷 茶道教室「松濤庵」

渋谷 茶道教室、松濤庵のブログ。季節に合わせた本格的なお道具を使用して稽古いたします。男性、お年を召した方、全くの未経験者も歓迎いたします。

たいへんご無沙汰して申し訳ございません。昨年8月に母が急逝して、全くブログを書く気になれないでおりましたら、あっという間に10か月が経っておりました。

 

先日、母から引き継いで稽古をさせていただいている薬師寺で高田好胤(たかだこういん)様の祥月命日の法要に参加してまいりました。山田好胤様はお写経勧進に専念されて薬師寺を復興され、発菩提心(清らかな心に目覚めること)、荘厳国土(国土を美しくすること)を常に提唱されて玄奘三蔵の教えを広め、人々の心の救済に尽力されました。

 

 

法要では大谷徹奘(おおたにてつじょう)様が導師を勤められて、久しぶりに法話を伺うことができました。一番心に残ったお言葉は、コロナ禍の中、みんないろんなことに我慢を強いられていて不満ばかりになっていないか。情報に振り回されて自分を顧みることを忘れていないか。自分の人生は結局、自分でで決めていることを忘れないことというようなお話でした。(うまく表現できず申し訳ございません。)

 

 

玄奘三蔵様(602-664)は、中国からインドに向かう途中、タクラマカン砂漠や天山山脈で死に直面したことが何度もあったとのこと。高僧であっても何でこんなことしてるのかとか悔やむこともあったはず、それでも不東(決して戻らない)の精神でやり遂げました。結局は自分の人生は自分の意志で決めていることを忘れないようにとのこと。玄奘三蔵様は般若心経の最初の言葉の翻訳を「観音菩薩」から「観自在菩薩」に変えらたと言われています。写経させていただいている般若心経の内容がより意味深いものとなりました。

 

 

 

 

ところで、徹奘様が書かれた表白(ひょうはく; 導師が法会や修法に際して,その趣旨を述べる文章、神仏に祈願内容を伝える〈 願文 〉を兼ねる)の最後にご自分の名前を入れられずに薬師寺一山大衆(薬師寺の関係者のすべての人)と書かれていました。自分一人ではなくみんなで一緒に学び、教え広めていく、それはお釈迦様も同じだったそうです。コロナ禍でたいへんな日々が続きますが、今が学びの好機ととらえて、お弟子さんの皆さんと一緒に茶道を学び、精進していきたいと思います。皆様のご健康と心の平安をお祈り申し上げます。

 

帰り道に見つけた茗荷の花