太陽の季節 著 石原慎太郎

 この短編小説を読んで最初に思ったことが、現代の倫理観と全然違っていることだ。女に溺れ、女を求めるなどの自堕落な日々を送っているだけでも現代の小説とは違ってくるだろう。英子とのやり取りも現代の恋愛小説とは全く異なっている。一体このような生活をしている現代の高校生はいるのだろうか?いや、いないだろう。英子と彼の双方の恋愛感情度が異なってしまい、そこから英子の葬儀までの場面の描写は力強さが感じられて素晴らしいと思った。自分にとっては英子の死は悲しいというより、必然的というか自明というか哀れな死を感じさせた。全体的に表現が難しく何度も電子辞書を開く必要があった。(自分のボキャブラリーがないだけかもしれないが)面白いという印象より、戦後の斬新な恋愛観や表現の特徴を知るという点で印象に残った作品であったと思った。