クロアチア3日目 | 小心記

クロアチア3日目

あまり毎日書くと決めると、プレッシャーで自分の首を締めることを知っているので、ゆるやかに書いて行きます。

 

とにかくカナダに向けての仕事がやってもやってもあって、クロアチアに来てからもプレスリリース作成、メディアへの発信、各フェスティバルとのやりとり、ポスターやフライヤーの入稿前の見積もりやらデータ修正依頼やら、ホームページ情報の更新やら。

同時に日本とのやりとりもあれこれ。

 

日本では今、子ども劇場界隈の企画説明会議シーズンで、小心ズの代理として別の劇団の方々が私の作成した原稿を代読してくださっている。本当に感謝してもしきれない。

 

請求書やらスケジュールの確認やら。

とにかくアパートのwifiが弱すぎるのがストレスである。何度ため息をついたことか。

もうアパートは仕事にならないと諦めて、劇場やカフェなどちゃんとwifiが繋がるところで仕事、仕事、仕事。

 

今日はFontanaというピッツェリアでピザを食べてみた。

 

店に入る際に、指を1本たてて「One.」と言ったら、普通はそれで「一人」と伝わるのに、なんか無愛想な男性の店員がパンをかじりながら「One what? (何が一つ?)」と返してきた。

私が「客が一人です。」と答えると、彼はまたまた無愛想に「好きに座れば?」と言う。

 

クロアチアに限ったことではないが、なぜ異国では人々がものを食べながら仕事をするのか。

バスの運転手でも、レストランの店員でも、ほんとみんな四六時中なにか食べている。

そういえばフェスのプロデューサーのイヴァナと4年前に初めてオンライン打ち合わせしたときも、初対面なのにリンゴとかサンドイッチとかかじりながら画面に現れて、びっくりしたものだ。

日本人なら、初対面の人と打ち合わせする際にものを食べながらなんて、まずないでしょう。

仕事中にお客さんの前でものを食べている大人も、そう見かけないでしょう。

 

日本が特殊なんだろうなあ。

 

私がフェスのクーポンを出すと、無愛想店員は「ああ、あんたフェスのひとね。」と訳知り顔だった。

 

ピザが運ばれてきて、あまりのサイズに「わあ、大きいね!!」と私が声を上げると、無愛想店員はニカッと笑って「大き過ぎるか?もし残したら持って帰ればいいから!」と言った。

そしてもちろん食べきれなくてテイクアウトにしてもらったが、「美味しかった!」と伝えると彼はまたニカっと笑って「サンキュー!」と言った。

 

 

それにしてもほんとうにアジア人を見ない。一人も見ていない。

私は人生のかなりの分量を海外ツアーなどに費やしているので、こうして「圧倒的にマイノリティ(少数派)である」体験をたくさんしてきたし、そのたびにそれを深く実感してもいる。

そして、そういう体験は大事なんだろうと年々より強く思う。

 

人種だけでなく、自分が「マイノリティであり得る」という事実を体験すると、社会の中でたとえ一時的にマジョリティ(多数派)に所属しているときであっても、マイノリティに対する姿勢が変わってくると思う。

 

障害があるとか、ないとか。

LGBTQであるとか、ないとか。

経済的に弱者であるとか、ないとか。

既婚か未婚か離婚か、子どもがあるとか、ないとか。

病を患っているとか、ないとか。

特殊な仕事をしているとか、ないとか。

地方出身の都会在住であるとか、ないとか。

 

たとえばコロナ禍の初期には、コロナに感染した人が圧倒的マイノリティだった。

そういう場合とか。

たとえば昨年アメリカで捻挫したときには、私は全フェスティバルの中で唯一の松葉杖のアーティストだった。

そういう場合とか。

 

わかりやすくマイノリティである体験というのは、なんというか、みんなどこかでしたらいいと思う。国内でもできるけど、自覚しにくいかもしれない。

 

さて、私の顔を見るたびに、イヴァナが「ヤノミ、話がある。」と言ってくる。

ぜんぜん舞台公演の話じゃなくて、「あなたのバケーションの予定は?どうなってるの?」って用件で。

 

私はむしろ舞台の詳細を打ち合わせしたいよ〜心配だよ〜〜。ワークショップの打ち合わせもろくにしていないしよ〜〜。

 

国立公園にタダで入れるように手配してあげるから、行きたい曜日が決まったらすぐに知らせろと言ってくれた。

もしかしたら他のアーティストも一緒に行けるかもしれないけど、わからないとのこと。

まあ一人でもバスで行けるから心配ないとのこと。

 

かなりの遠出を提案してくるじゃん…。

やること山積みなのに…。

 

「それよりさあ、昨日のピノキオすごかったよ〜よかったよ〜〜!」と伝えるも、「ああーピノキオね、あれはいいでしょ、そうね。それよりね、あなたの予定だけどね。」って感じ。

 

フェスの演目よりもアーティストのバケーション計画に気をもむプロデューサー。

あたしゃ好きだよ、イヴァナが。

 

ありがとう。

 

そしてこの日は、これまでの疲れがどっと出たのか、午後から夜までずっと寝ていた。

行きたかった舞台を観に行くこともできず、引き続き夜もさらに眠った。

つまり昼夜ずっと寝ていた。

時差ボケではあるまい、昼寝たから夜眠れないということもなく、ただこんこんと長時間寝たというだけだった。

 

体力回復!バケーションに備えて!

 

 

ヤノミ