今回はRootportさんのブログ『デマこい!』からご寄稿いただきました。
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今日ご紹介するのはものすごく長い記事です。
前半部分を一言でまとめると、「出生率の低下の原因は、経済成長ではなく、死亡率の低下である」ということです。
根拠は、(1)GDPの増加は出生率の低下のあとに起きているので、経済成長は原因ではない、ということと、(2)出生率の低下と死亡率の低下がほぼ同じように起こっている、ということの二点だと思います。
他国のデータも見ていて、半数がこのパターンに該当する、ということを主張しています。
この記事、面白いので少しつきあってみたいと思います。
今日は一点だけ、この記事に疑問を投げてみたいと思います。
それは、直線関係には意味があるが曲線関係に意味がないと考えていいだろうか、ということです。
ぜひ記事をご覧いただきたいのですが、著者は出生率とGDPには関係がなく、出生率と死亡率の間には強い関係がある、と言っています。
たしかに出生率と死亡率の間の関係は直線に近く、出生率とGDPの間の関係は「L」の字に曲がっています。
しかし、曲線の関係があるようには見えます。GDPが関係ないと言い切っていいでしょうか。
あくまで一般論ですが、二つの要因の間の関係が曲線だと意味がないと結論するのは危険です。例えばビルの高さと重量の関係は直線ではないだろうと思います。高くなればなるほど構造を丈夫にする必要があるので、高さの比例以上に重さが増えていくはずです(あいにくデータを見たことがありませんが)。
このブログでは、国別の出生率とGDPの関係をグラフにしたことがあります(こちら)。

これがそのグラフです。あまり関係があるようには見えませんね。
しかし、数値の表し方をちょっと変えるとこうなります。

このグラフは、出生率とGDPの両方を対数軸で表したものです(両対数プロットといいます)。
このグラフを見ても「関係ない」と言えますか? なかなか難しいですよね。
そして、元記事の関係も、両対数プロットにするときれいな相関があるように見えます(自分では描いていないので断言しませんが)。
一つの国のなかで異なる時代の比較をしたものと、同じ時代の異なる国を比較したものが同じような関係になるということですから、むしろ強い関係があるのではないか、と考えることができます。
解釈としては、GDPがものすごく低いときには、GDPがちょっと上がるだけで出生率ががくんと低下するけど、ある程度GDPが上がってしまうと出生率の変化は小さい、という関係にあるということができます。
もっとも、私はこのグラフだけで「出生率はGDPで説明できる」と断言したりしません。私がこれまで調べたものだけで見ても、教育指数のほうがちょっとだけ高い相関があります(詳しくはこちら)。
実のところ、産業革命以降、人類の生活は大きく変化していて、あらゆる物事がずっと同じように変化しています(あるものは増え続け、あるものは減り続ける)。「あらゆる物事がカラーテレビの普及率で説明できる」という笑い話を聞いたことがあります。単相関だけで物事を考えてはいけないのです。
私は専門家ではありませんので、こういった相関関係をこの業界でどのように処理しているのかよくわかりませんが、重回帰とか、何らかの多変量解析をやらないと正しい答えにはたどりつかないはずです。
ということで、著者の主張は話半分で読んだほうがいい代物だと思いますが、死亡率と出生率の関係は面白そうです。自分でもデータを拾ってみたいと思いますが、すぐにはできませんので、ちょっとお時間をいただきます。
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