会社が他社の発起人となる場合の注意点は?~2回目~ | 士業・法務担当者のためのマニアックな登記・会社法・債権法改正情報~司法書士・行政書士大越一毅~

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士業のための登記パートナー 司法書士・行政書士の大越です。


明日は日帰りで静岡出張!ですが、まだ仕事が終わらず、朝起きられるのか・・嫁頼みですね( ´艸`)


さて、前回の続きということで、「会社が発起人となる場合」を見ていきましょう。


その前に事例はこちら。

Q:当社は、不動産の仲介・賃貸業を営む会社ですが、当社が発起人として100%出資をし、不動産賃貸管理業を 営む子会社を新たに設立することを考えております。発起人が株式会社の場合、設立する会社と事業目的が同一の必要があると聞きました。具体的にはどの程度同一の必要があるでしょうか。


そもそも、発起人とは何でしょうか?


発起人とは、定款に発起人として署名又は記名押印(電子定款の場合は電子署名。電子定款の詳細については、また別の機会に考察してみますので、詳細は割愛。というかこれも収入印紙4万円減額~なんてググればいくらでも出てくる情報ですо(ж>▽<)y ☆)をした者のことです(会社法26条)。
発起人は定款の作成をまず行い、設立時の役員・本店所在地等設立にあたって重要な事項を決定する権限を有します。
会社法上、発起人は1人で足りますが、複数人でも構いません。
また、発起人の資格に制限はなく、会社(これ重要!)も発起人となることが可能です。
なお、発起人が設立時に発行する株式を全て引き受ける設立方法を発起設立といいます(会社法25条1項1号)。これに対し、発起人以外の者も設立時に発行する株式を引き受ける設立方法を募集設立といいます(会社法25条1項2号)。
発起設立の場合には、募集設立の場合と違い、銀行等の金融機関で出資金の保管手続を行う必要がないので、発起設立による方法を採用するケースがほとんどかと思います。

というか、出資予定者が設立時から多数いる場合、実務的には、極力発起人の数を少なくし、設立直後に出資して増資をしたり、さしあたって、予定額をだれか一人が全額出資し、設立後に株式譲渡をするなんて手法をよく使います(え、使わない?いやいや使ったほうが便利ですよ。)。



では、会社が発起人となる場合の注意点は?どんなものがあるでしょう。
別に資格制限ないし、何にもないんじゃない!?と思われる人も多いのでは・・。


結論は、発起人となる会社と新たに設立する子会社の事業目的が同一の必要があるという点です。
会社法上明文規定はありませんが、事業目的の同一は必要であると解されており、実務上も必要です。事業目的が異なる場合、公証役場での定款認証手続をすることができず、公証人から補正を求められますので、ご注意ください。
とはいえ、事業目的が一言一句全て同一である必要はありません。発起人となる会社の登記簿謄本と新たに設立する子会社の定款の記載を比較し、発起人となることが会社の事業目的の範囲内であると客観的に判断できれば足ります。
具体的には、同一の事業目的が一部でもあれば定款認証は可能です。
また、同一の事業目的が1個もなかったとしても、本事例のように「不動産賃貸業」と「不動産賃貸管理業」等、関連していることが明らかな事業目的であれば定款認証が可能です。
しかし、「不動産業」と「飲食業」等のように全く異なる事業目的の場合には定款認証できませんので、発起人となる会社が株主総会決議により目的変更をし、目的変更登記手続を行ってから、子会社の設立手続を行う必要があります。

ちなみに、親会社を持株会社とし、多数の子会社を設立する場合には、親会社の事業目的に「当会社は、次の事業を営む会社の株式又は持分を保有することにより、当該会社の事業活動を支配及び管理することを目的とする。」と記載した上で、各子会社で行う事業内容を列挙するのが一般的です。

→いわゆる、ホールディングス化ってやつです。


会社が発起人となるときは、定款認証時に注意が必要ですね。

じゃあ、登記手続に影響はあるのかな?というのを次回考察してみましょう。


次回でこのテーマは最後の予定です~。



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