マーラーとブルックナーの交響曲のディスク比較。
今回聴くのは、マーラーの交響曲第1番ニ短調、
一般には「巨人(Der Titan)」という副題付きで表示
されるが、正確を期すなら表示しないのが
正しい(ようである ヾ(^^:;)...)が、略称として使う。
比較試聴するのは、マーラーの交響曲の演奏史上、
避けてとおることの出来ない指揮者の一人、クラウス・
テンシュテット指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦
楽団。
テンシュテットが指揮するマーラーだから「テンマラ」と
呼称され、支持するマーラー愛好家も多い指揮者だ。
今回の巨人は1977年の録音。レーベルはEMI。従って
当時の国内盤は東芝EMI。
今回聴くのは、第3楽章と第4楽章の一部。
まず、LPから。
1.国内盤 (EAC-80501 発売年不明)
帯付なら、大体同時期の新譜やキャンペーンの
締切日などで推察できるのだが、帯なしの中古。
レーベルはエンジェル。
第3楽章冒頭のティンパニーからコントラバス、金管
そしてオーボエと徐々にクレッシェンドさせるのは
いいが、ピアニシモのレベルが低すぎて
盤のノイズのほうが遥かに大きい σ(--;) ククッ
実演ならともかく、ディスクの場合はもう少しレベル
を調整すべきだろう。
但し、そんな中でも録音の良さ、各楽器の定位の
良さは充分分るし、オケの全奏が続く第4楽章は
まあまあ聴ける。
2.輸入盤 ( EG-29 04961 発売年1985年)
ドイツ盤、85年の「デジタル・リマスター」と表示。
レーベルはHMV。
成程リマスターと称するだけあってか、マスター
テープの差かはともかく、国内盤よりは一皮むけた
音と言えるが、第3楽章冒頭や楽章間の無音部分
のノイズはどうにもならない。
物理的な接触があるから音が出るのだから仕方
ないのだが、いずれにしてもテンシュテットの表現
を十全に味わおうと思う小生は
アナログは遠慮しておこう c(^、^ )ヾ(--:;)...
3.輸入盤CD (EMI 5 72941 2)
1998年発売の11枚組の交響曲全集。
アナログの後に聴くと、高域がやや丸まった(早く
低下している)印象なしとしないが、ノイズの無さは
やはりデジタルのメリット。
第3楽章は、森の動物たちが死んだ狩人の葬列を
見送るシーンと言われているが、この音域バランス
も手伝ってか、森の暗さを感じさせる音。それでいて
楽器の定位ははっきりしていて、団子にならない。
「テンシュテットは渋い」。
誰いうともなく、共通認識になっている言葉が無理なく
納得できる演奏と音質だ。
4.国内盤CD (東芝EMI TOCE-59725・26(2CD))
第2番「復活」との2枚組。2003年発売。
かなり良くなっていて、音が一層クリアになった。
それでも第4楽章のトランペットの強奏でも、決して
うるさくないのは、指揮者がオーケストラをしっかり
コントロールしている証左だろう。
EMIだった時期のディスクはここまでだが、番外として
同じテンシュテットが、1990年にシカゴ交響楽団を指揮
した盤もある。
77年盤に比べると、テンポが遅くなっているが、解釈に
大きな差はないが、77年盤が何度も再発売されている
のに対し、90年盤は2005年を最後に再発されていない
ようだ。
手許に91年発売盤(TOCE-7553)と98年盤(TOCE-
3221)があるが、音質差はほぼなし。
そのシカゴ響を指揮した演奏会の映像が海外の
DVDで出ている(EMI 3 67743 9)。
静かに演奏される第3楽章が終ると
第4楽章開始で表情が一変
さて、ここまではCD。ここからは高音質盤
5.UHQCD(ワーナー WPCS-28128)
EMIがなくなってワーナーになり、18年に発売された
アルティメットハイクオリティCD。
CDの盤の材料が異なるだけで普通のCDだが、
盤質向上に加えてリマスターの効果か、ありふれた
言い方だがベールをもう1枚脱いだ印象。
各楽器の明瞭度は向上しているが、上記の指揮者
がオケを上手く扱っている印象はそのまま。
最後は、SACD。
6.SACD(タワーレコード TDSA-145)
タワレコ企画盤で、交響曲第1、5、9、10番をBOXに
して1万円。 だが、ディスクユニオンに中古が7千円台
でいくつも並んでいたので、最も安い物を入手。
□< ~♪ c(--;) ア、アレ?
コンプレッサー処理により、レベルを上げているのだ
ろうなくらいは容易に想像がつくが、音のバランスの
処理を明らかに間違えている。
結果、ティンパニーやグランカッサ(大太鼓)はやたら
ドンドン言うし、あれ程節度ある演奏だった金管が
俺も俺もと主張する印象になった。
もしこれが本当のマスターテープの音だとしたら、
先の「渋い」は撤回である。
この音では、熱心なファンは受け入れないだろう。
成程、中古が沢山出るわけだ c(^、^ )ヾ(--:;)...
しかし、これはやはりSACD化の失敗と捉えたい。
テンシュテットの巨人はCDまたはUHQCDで聴く
べきだろう。
尚、テンシュテットは過去の指揮者とみなされたか、
ワーナー輸入盤の交響曲全集は、中古価格がかなり
安くなっている。
演奏比較として好適なのでお奨めしておく。
でわ、また~ (^.^)/~~~