2月は逃げるというが、早くも終りだ。
先月から始めた、マーラーブルックナーの交響曲
ディスクの聴き比べ。
第2回は第1回とは対象的なものをと考え、選んだ
のは、ブルックナーの交響曲第9番ニ短調。
前回はアバド指揮ウィーンフィルだったので、今回
は、カラヤン指揮ベルリンフィル。
前回は第4楽章を聴き比べたが、今回は第2楽章。
まあ、一応工夫したつもりである c(^、^ )ヾ(--:;)...
ブルックナーはこの交響曲第9番を完成させることが
出来ずに死去したので、3楽章までしかない。
その第2楽章はスケルツォで、弦のピッチカートで静か
に始るが、徐々に緊張感が高まり、40秒前後で
「ドドドンドンドン ドドドンドンドン」とフォルテに。
天気が怪しいなと思っていると案の定、雨が降り出し
雷鳴轟く、みたいなイメージだろうか。
その主題が終ると、つかの間の明るさとしてオーボエ、
続いてフルートが鳴るが、すぐに暗転。
この部分がテレビの報道番組で印象的に使われた
ことがある。
2001年の、いわゆる「不審船事件」を報じたフジテレビ
の番組で、「疑問点」として
「不審船の正体は?」、「政府の対応は適切だったか?」
等のテロップを出したが、そこにこの第2楽章が使われ、
テレビ局のディレクターにもブルックナー
愛好家がいるのか? c(^、^ )ヾ(--:;)...
と思ったものだ。
カラヤンがベルリン・フィルを指揮した第9番は2種類。
ひとつは1966年、二つ目は1975年なのだが、両者を
聴き比べると、演奏・録音とも'66年のほうが良好だ。
良好なんだが、CDがいくつも出ているのは75年のほう
なのである。
加えて66年盤、小生は最近
・ドイツグラモフォン 139 011 (ドイツ盤)
・ポリドール MG2016 (日本盤)
を入手したが、大変珍しいことに日本盤のほうが音の
帯域の広さ、楽器の明確さ等の点で上だった。
CDも持っていないため、66年盤の話はここまでにして、
75年盤。
1.交響曲全集 (輸入盤)
(ドイツグラモフォン 483 7137) より
'19年発売の、ブルーレイオーディオディスク付きの
全集。
しかし、このCDの音は冴えない c(--;)
無論、帝王カラヤンの録音なのだから録音そのもの
に問題はないのだろう。楽章の開始から5秒ほどで
右チャンネルに「ドン」とカラヤンが床を踏みならす
音も聞えるほどだ。
が、どうにも個々の楽器の音が曇る。
乃木坂のライブ会場の上のほうは「天空席」などと
いうようだが、そんなホールの上の階で聴くイメージ
といえようか。
そのくせ、ヴァイオリンの音にはキツさがあったりして
CDの初期にアナログ派がCDサウンドの問題点として
しばしば指摘した音質といえる。
このCDを聴いて、今回は
これで行こうと決めたのだった ヾ(^^:;)...
以降、CDを変えて聴いて行くと音が変る。
「ドン」の足音も含めて、である。
2.交響曲第4番/第9番 (国内盤)
(ユニバーサル UCCG-3857~8) より
'05年発売の2枚組CD。
ヴァイオリンの音質は改善。但し、カラヤンの他の
CD、例えばブラームスの交響曲においての音の
「キレがあるのにコクがある」 c(^、^ )ヾ(--:;)...
とでも呼ぶべき音質には達していない。
足音の「ドン」もほぼ同じ。
3.交響曲全集 (国内盤)
(ユニバーサル UCCG-9734~42) より
'08年発売のSHM-CD。
SHMCDの発売開始は2007年だから、最初期の製品。
ロックが、ロッド・スチュワートやクリームを最初に
SHMで発売したように、クラシックはやはりカラヤンか。
音質は明確に改善。
音の見通しが良くなった。上記した雷鳴の後のオーボエ
が鳴る前にティンパニーが鳴るのだが、音質の向上で、
音程が明確になり、その存在感が増した。
天空席から1階席というところだろうか。
「ドン」も、足音だとはっきり分る。
4.交響曲第9番
(ユニバーサル UCCG-90666)
'17年発売のUHQCD。
SHMから更に向上しているのが、パイオニアの
PD-70AEでも、普及品のCD-S303でも聴き取れる。
ただ、ここまで来ると「雰囲気」の領域でもあって、
SHMで充分と感じる人がいても不思議ではないが、
存在する以上、小生はUHQで聴く。
尚、UHQCDについては以下を参照。
↓
https://hqcd.jp/about/
5.交響曲第7番・第8番・第9番
(ユニバーサル UCCG-9117~9) より
'18年発売のSACD。
SACDプレーヤー専用のシングル・レイヤー盤で
CDプレーヤーでは再生出来ないタイプ。
リマスターだったにせよ、盤質のゆえだったに
せよ、ここまで順調に向上して来たので、SACD
での一層の改善を当然期待した。
□< ♪~ ドドドドンドン c(--;) お、音圧が
ロック等でよく用いられる、コンプレッサーを用いて
楽器の音量を上げるリマスターが施されていて、
いわば、前の列に移動した様になる。
結果、エコー成分がマスクされて「音場感」が後退。
ドドドドンが終った後のオーボエは、スピーカーの間
の空間にくっきりと浮ぶが、それだけ。
オケのどの位置にあるんだ? c(--;)
マーラーの交響曲第5番をサイモン・ラトルが指揮して
第3楽章で、ホルンソロを指揮者の横に立たせて演奏
したが、このオーボエ奏者もカラヤンの横か?
そんな皮肉を言いたくなる音質 c(^、^ )ヾ(--:;)...
10年代のハイレゾの(売上の中心、ロックに倣って)、
特徴は、「とにかく音圧」なのである。
無論、こうした音質を好むリスナーや良く鳴る装置
もあるだろう事も否定はしないが
ブルックナーでは、やはりこれは違う c(--;)
以上聴いてきて、やはりSACDはやややりすぎ。
UHQCDを採りたいが、この交響曲第9番は最低でも
SHMCDで聴きたいものである。
でわ、また~ (^.^)/~~~