ようやく母が死にました | 魔法の言霊――寿詞(よごと)説法師が贈る人生のヒント

魔法の言霊――寿詞(よごと)説法師が贈る人生のヒント

おめでとうございます!

『魔法の言霊(東方出版刊)』の著者・橘月尚龍です。
ボクが、この本を上梓したのが2002年――
それから世には同様の表現があふれて玉石混合で、
わけ分からん状態になってます。

そこで本家としてのメッセージを発信することにしました。

 ここしばらく、あまりブログを更新できず――いつも「140文字の説法」でお茶を濁してきたのには……たしかに出張などでPCの前に座れないこともあったのですが、そういう理由(わけ)もありました。
 そして、ようやく母(正確には義母)が見事に旅立ちました。

 義理ということもあり、少々の遠慮はあったものの……ボクは母が大好きでした。帰郷するとかならず、いっしょに台所に立ち、ボクの料理を見ながら、
「こんどは、どんな珍しい料理をしてくれるのかなあ?」
 と、瞳を輝かせる母でした。
 ボクは別段、変わった料理をしているつもりはなかったのですが、都会ではあたりまえの料理が、田舎ではハイカラな珍しいものだったようです。
 また極めて保守的な田舎で、成人男子が台所に立つなんてことも珍しいらしく、母は嬉々としてボクを手伝ってくれました。

 そんな母が十数年前に急性の白血病を発症しました。
 運悪く、その数年後に義父がレビー小体型認知症であることが判明しました。義母はグリペックという強力な薬剤の投与を受けながら、義父の介護に明け暮れ……四年ほど前、なんとか送り出すことができました。

 やっと自分の時間を持てるようになったのですが、薬剤と介護の疲れが確実に母の身体を蝕んでいたようです。薬の副作用による吐き気と下痢に悩まされ、デイサービスに出掛けるのも億劫がり――楽しみは、縁側で日向ぼっこをしながらの読書。特に推理小説が大好きでした。

 そんな中、母は心筋梗塞を発症。県立病院での内視鏡手術で、一時は小康を取り戻したのですが……腎臓機能の低下で、人工透析を受けないといけなくなりました。ところが排尿機能も低下していたため、内臓に水が溜まり、苦しむ事態になってしまいました。
 やがて人工透析の最中、急激に血圧が下がり、心停止に至ったということです。

 親戚のひとたちは「医療ミスだ」とか「もっと生きてほしかった」「死に目に会えなかった」「82歳なら大往生だ」と勝手なことをいいます。きっと自分自身を納得させるための言葉なんでしょう。ひとそれぞれの意見ですから、それは自由です。
 でもボクには「ようやく、この世のお務めが終わりましたね。お疲れさまでした」しかありません。もっというなら「無事に死ねてよかったですね」です。

 別れはいつも、哀しく寂しいものです。それが「今生の別れ」なら、なおさらです。けれども、それは同時に旅立ちともいえるでしょう。
 ならば、それは祝福されていいのじゃないでしょうか?
 やはりボクは「ご卒業、おめでとうございます」と送ってあげたいと思います。

合掌