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の一つ『剛柔一体』についてお話しさせてください。



剛と柔

少林寺拳法に限らず、この「剛」と「柔」は武道全般でよく用いられる言葉ではないでしょうか。


柔にいたっては「柔道」「柔術」などその名を冠した武道まであります。(そういえば剛道や剛術って聞かないですね)


少林寺拳法では「剛法」は殴る蹴る、或いは殴る蹴るされた際の受けをまとめた技法の総称を指し、「柔法」は掴み投げる、或いは掴み投げられた際の守りをまとめた技法の総称を指します。


剛法の例

例えばこんな技があります。


燕返


殴ってきたのに対して、受けて反撃してますね。


初心者向けには「空手みたいに突いたりするのが剛法」と言ったりする人も多いのではないでしょうか。



柔法の例

小手抜


龍王拳第一系とも言います。手首を掴まれて、引っ張られないように守り(守法)、梃子を利用して力の弱いものでも相手の手をふりほどけるようにする技です。





逆小手

小手抜でふりほどくだけでなく、相手の手首を極めて倒す技です。


柔法はこんなイメージで、やはり初心者には「合気道みたいに投げたりする技」と説明する人も多いのかと思います。



技の剛柔一体

少林寺拳法には技がたっくさんありますが、その多くはこの剛法と柔法に分類されます。


言い方を変えると、少林寺拳法の技は剛法と柔法とで構成されています。剛法だけでもないし、柔法だけでもない。こう言うことを「技の剛柔一体」と言います。



用の剛柔一体

では、剛法と柔法はきれいに区分できるのでしょうか?


小手抜の際に目打ちをしています。これは剛法では?


腰の返し方を見ても、小手抜(柔法)の抜く際の腰の動き方と、逆突(剛法)の動き方には類似点があります。


こういう「剛中の柔」「柔中の剛」などが随所にあり、きれいに分けられるものではありません。これを「用の剛柔一体」と呼びます。


特に特徴的なのは「五花拳」と呼ばれる技です。殴り掛かられたのを、まずは剛法的に受け、そこから柔法に繋げて投げたりします。


押受投という技を添付しておきます。

押受投




剛法と柔法

柔道でよく耳にする言葉があります。


柔よく剛を制す


素敵な言葉ですね。


これには以下のような続きがあるそうです。


剛よく柔を断つ


これを聞いてなるほどと私は思いましたが、剛と柔どちらが優れているというわけではなく、その運用(使い所)と練度がものを言うのだろうと思っています。


少林寺拳法では「剛法と柔法の使い分け」というよりはその調和(ハーモニー)を大切にしてるイメージを持っています。


唇だけではものが噛めず、歯だけでは口からこぼれ落ちる。唇と歯が協調して初めて上手に食べられる、という関係を「唇歯補車」と言いますが、剛と柔はそう言う関係になっています。

※余談のように書きましたが唇歯補車も学科で書くべき話です。


私見になりますが

用の剛柔一体で、剛の中にも柔が、柔の中にも剛があることを書きましたが、そうすると「結局何が剛で何が柔なの?」と疑問も出てきます。


こういう疑問に、自分なりの答え(思い)を抱くことは大切かと思います。


私は、内受でも相手の手を打ち弾いてダメージを与えるような内受は剛法的な内受だと思ってますし、相手の体勢を崩すための柔らかい受けは柔法的な内受かと思っています。


また、ローキックにしてもダメージを与えるなら剛法的、重心を崩すためのもの(足払い?)なら柔法的と思っています。


これは私の中での分類ですが「ダメージを与える・与えられないように防ぐのが剛法、重心を制御する・制御されないように守るのが柔法」と思ってやっています。


前に尊敬する先輩とこの話をしたら、その先輩は「相手に触れるまでの攻防が剛法、触れてからの攻防が柔法」と仰っていてなるほど!と思ったことがあります。


なんでもいいんです。自分なりの解釈を持って突き詰めていき、「無理があるな」と思ったら塗り替えていくのが上達の近道かと思います。

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