宣伝会議主催の「企画営業力養成講座」の研修に登壇します。

ご興味のある方はこちらまで。

http://www.sendenkaigi.com/class/detail/planning.php


●開催日 : 2013年9月28日(土)、10月12日(土)
●講義時間 : 10:00 ~ 17:15
●定員 : 60名 
●会場 : 東京・表参道
●金額 : 98,000円(テキスト代・懇親会費・税込)
●受講対象 : 印刷会社、広告制作会社、SP会社、PR会社、媒体社、Web制作会社、広告会社の中堅営業・制作職

※販促メソッドに関する共著の草稿ですから長めです。ご了承ください。

夕飯時に「あ、醤油を買い忘れた!」と言う時、夜中にテレビを見ていて「なんだか小腹が空いた。」という時、大変重宝するのはコンビニエンスストア。

もともとコンビニは、その草分け的存在の「セブンイレブン」の名でもわかるように、朝7時から夜11時までが営業時間でした。しかし、都市部では深夜まで起きているライフスタイルが定着し始めていたため、24時間営業のコンビニが誕生した経緯があります。

このように営業日や営業時間を変えることで、お客様に新しい価値を与えて、ライフスタイルを提案していく、それが販促ウエポンとして活用するポイントです。

営業をする選択と営業しない選択

コンビニの利便性は、いうまでもなく営業時間。ここでは価格を安くしないでも、定価でお客様が文句も言わずに商品を買っていきます。このメリットをコンビニが享受できているのは、休みなく営業するという経営選択をしたからです。

ただし、24時間営業をウリにするために、全国どこのお店に行っても同じ商品を提供できる店舗ブランドの統一や、いつでも商品を切らさない商品供給システムの構築など、新しい業態として生活の中にとけ込む企業努力を続けてきました。

今では、都心部で365日×24時間がほぼ通常化となり、全国の至る所に存在しています。年中無休の営業時間で経営するコンビニは、まさしく「コンンビ二エンスストア=便利なお店」と言っても過言ではないでしょう。しかし、それを支えたのは、絶え間ない企業努力だったのです。ですから、コンビニと同じように営業時間を単に増やすだけでは、お客様から「便利なお店」と呼ばれるようにはなりません。

逆に、営業日や営業時間を短くすることは、販促ウエポンにならないのでしょうか。

3日しか営業しないスーパーの事例が、面白いビジネスモデルなので紹介したいと思います。山形県にある「週末びっくり市」の営業日は、金土日の3日間だけ。その他の曜日には、曜日ごとに予定が組まれています。月曜日は掃除の日、火・水曜日はお休み、木曜日は開店準備の日として、お店のスタッフが活動するのです。お店自体をお休みにすることで、シフトを組んで交代で休む必要が無くなり、販売日を週末に限定することで販売効率を最大限にアップしています。お店の営業時間は出来る限り少なくしていますが、営業時間内の人出は多く、激安にしていても大きな利益を得ています。あえて縮小短縮する考え方がお店の差別化を図り、地域というより全国で有名な店舗になっています。

また、週3日間しか営業しないので、無駄な光熱費を削減することができ、人件費や商品の輸送コストを削減することが可能になりますその浮いた分、激安の価格で商品を提供するビジネスモデルにしています。

営業時間を絞り込むという販促ウエポンは、話題性を高め集客効果があるだけでなく、営業コストを下げ顧客サービスに反映できる効果も期待できます。

ということは、営業日・営業時間を販促ウエポンとして活用する時には、営業時間を増やす選択と減らす選択が共に考えることができるということです。但し、いずれも、お客様にどんなサービスを提供できるのか、考えていることに違いありません。

営業時間を決めるポイント

営業時間や営業日を考える際に、チェックすべき項目の1つに、競合店の営業時間があります。当然、他の店舗が営業していない日や時間に開店するのは、競争相手が少なくなることですから、お客様を多く獲得できる可能性が高くなります。

そこで、もう1つのポイントが必要になります。お客様の買物行動です。

1988年の流行語大賞銀賞を「花モク」で受賞したデパートの松屋は、お客様の買物行動から営業日を変えた事例です。当時はバブル景気に湧き始めた頃で、金曜日よりも店内が空いているという理由で、OLの間で木曜日に買物を楽しむ傾向が生まれました。そこで、木曜日が定休日だった松屋は、いち早く木曜日定休日を止めて、営業日を変えました。それで「花の金曜日」にならぬ「花の木曜日」、「花モク」と呼ばれたのです。

あるカフェでは、平日の日中に来店するビジネスマンが、ちょっとした打合せや休憩で利用する反面、夕方以降の利用は伸び悩んでいました。そこで、夜の利用を拡大するために、アルコールを軽く飲んでサッと家に帰ることを提案できるよう、カフェ形式とバー形式の営業時間を2スタイル用意して、それに合わせて照明やメニューを変え、異なるニーズに応えられるようにしました。バー形式では、コーヒーの価格を2倍にして、つまみメニューを増やして客単価のアップを図っています。


あなたの店舗に顧客を増やすアイデアが欲しい時、競合店が営業していない時で営業できないか、お客様の買物行動から必要な営業時間はないか、検討してみてください。

営業日や営業時間を変えることが販促ウエポンとして働き、あなたのお店を「便利なお店」として定着でき、また、生活に新しいサービスを提供することで、新規顧客の獲得も狙えます。


<注>最近のブログが長めなのは、グループで販促の本を書こうとしているからです。

     ご容赦ください。


お店でお客様を相手にビジネスをしていると、何回もお叱りを受けることがあります。そんな時、どのように対応されていますか。謝罪は、お客様のクレームに対処するだけではなく、お店の信頼感を高めるのに効果的な販促施策でもあります。
意外と丁寧に謝罪するって意外と難しいものです。丁寧の解釈が人によって異なりますから。せっかちな人には丁寧すぎてインギン無礼と思われて、謝罪しようとしていたのに、逆にいらだたせてしまったり、逆に同じ謝罪に丁寧さが足りないともっと誠意を求められたり。要は謝罪する相手によって、あるいはシーンによって、謝罪する方法を変えていかないといけないようです。

■“丁寧な謝罪”は運命の分かれ道
いくら丁寧に謝罪することがむずかしいからと言っても、実際にはそれではすまされません。お客様からクレームがあった際に、その時の謝罪によって「二度とそのお店に行かない」のか「今後もお店を利用する」のか大きく分かれることになります。
実は最近、友人が買ってきたお菓子が、注文と違って安い別の商品が入っていることがありました。憤慨した友人が翌日お店にクレームに行くと言うので一緒に行くと、レシートの証拠があったせいか、お店の対応は早かったです。話を訊くとすぐさま謝り、同じ商品を用意すると共に、別の商品をお土産につけて、店頭で渡すのではなく、店から出て謝りながら手渡すという対応をしていました。これで、先ほどまで憤慨していた友人も納得して店を後にしました。お店の店員ができる範囲の全てで、お客様に謝ろうとしていたので、怒っているお客様も納得できたのでしょう。
また、レストランで料理ができるのが妙に遅くなっているとしましょう。そんな時、店員はお客様から「ここのピザまだ?ずいぶん待たされているんだけど、どうなってるの!」と言われて初めて、厨房に注文が通っているのか確認に行きます。「すみません、今できますので、もう少しお待ちください。」と謝って、お客様がますますイライラする・・・よくあるケースです。
ところが、ある日のレストランでは、違いました。こちらからクレームを言う前に店員から「料理が出るのが遅くてすみません、ピザ、もう少し待ってください。これ、よろしかったら。」と謝りながら、アイスティーをテーブルに運んできました。こういう対応をされると、少しイライラし始めたお客様でもそれ以上追及しないで、おとなしく料理を待たざるをえません。
いずれの場合も、店員からの謝罪をお客様は受け入れて、納得しています。この状態まで抑えることができると、このお客様は今後もお店を利用することでしょう。しかも、良いお店だと信頼感を高めてくれます。
うまく謝罪することができれば、まさに災い転じて福となることになるのです。

■“丁寧な謝罪”の5つのポイント
それでは、丁寧な謝罪はどうすれば良いのでしょうか。
実は、お客様のお叱りは、商品やサービス自体に対するクレームよりも、自分は大切にされていないという思いから生まれています。お客様の言い分を充分におうかがいするのは基本ですが、相手が言葉にしていない情報も聞きとるつもりで謝るのがポイントになります。事実に対する対応だけでなく、大切にされていないと感じてしまったお客様への気持ちにも対応することは二次クレームのリスクを軽減し、より強い信頼関係を再構築する助けとなります。事実関係や状況の説明も大事ですが、お詫びの言葉の前に言ってしまうといい訳に聞こえることが多いので注意してください。
丁寧な謝罪のポイントには次のようなことがあります。
(1)
速やかに対処する
2)真摯な態度で謝罪する
(3)
言い訳はせず、状況を説明する
(4)
怒りの原因を考える
(5)反省、そして感謝する
この5つのポイントに注意して、お客様の状況とパーソナリティを見ながら、お客様の納得のいく形で丁寧に謝罪することで、良い方向に転じていきます。
さらに販促施策としての効果を高めるためには、もう一つ工夫を加えましょう。それは、次につなげるための工夫です。
例えば、居酒屋で飲みたいと思い立寄ったのに、あいにく週末で店内が満席だった時、店員が入口まで出てきて「どうもすみませんでした。またのお越しをお待ちしております。」と頭を下げられることはよくあります。そこに「次回お越しの時にお使いください。」と乾杯ドリンク無料券をサッと手渡されたら、あなたはどう思いますか。手の中にあるクーポン券を見ながら、「折角だから、また今度来てみようかな・・・。」と思うこともあるでしょう。

起きてしまったことは仕方がありません。それを繰り返さないためにも、この経験を有効に使いましょう。それには、しっかりと事態を捉えて原因を見つけて反省できる点を考え、改善していくことが大切です。そして、ただ謝りっぱなしでなく迷惑をかけたお客様には、後日、再度お詫びできる機会を設けることで、お店への信頼感を高めると共に、再来店を促す仕掛けを組み込むことができます。丁寧な謝罪は難しいことですが、販促施策として有効になります。

年間パスポートで、一番馴染みがあるのはディズニーランドかもしれません。

この年間パスポートをあなたが持っていると、想像してみてください。その時、年間パスポートを持っているから「もったいなくて」何度もディズニーランドに行かなくてはと思いますか。それとも、ディズニーランドが大好きで年間パスポートを購入したから何回もディズニーランドに行けると思いますか。さあ、あなたならどちらでしょうか。

実は、年間パスポートはこの2つの視点を両方合わせ持っているのが、この販促ウエポンの特徴なのです。

■年間パスポートは来店客を増やす施策

年間パスポートは、あるサービスや商品を1年間分まとめ買いしていることになります。つまり、1年間、このサービスや商品を何回使ってもこれ以上費用が発生しないということです。となると、年間パスポートを持っているから「もったいなくて」、他の店に行く気がしなくて、ついついお店に通ってしまいますよね。

これが年間パスポートの第1の効果。お金を払って、あなたのお店に来たお客様は、あなたのお店の常連客になってくれる魔法のプロモーションです。

そして、「どうせなら」年間パスポートを持っているお店を使いたくなるから、一人のお客様の来店頻度が増してくる効果もあります。来店したなら「ついでに」他のサービスや商品を買っていくのも、ヒトの心情というものです。だって、あなたがお客さまだったとしたら、タダでサービスしてもらうのは、やっぱり心苦しいでしょう。自分の行きつけの、良く知っているお店ならナオサラです。だから来店頻度×客単価で売上を上げることになります。ますます魅力的なウエポンですよね。

■年間パスポートはお客様との“約束”の証

だけど、年間パスポートの効果が出てくるには、条件があります。ディズニーランドは、ディズニーランドという確固たる魅力的なブランドが成立しているから、自然とファンが生まれ、年間パスポートを購入したいと思うお客様が多いのです。

年間パスポートは、あるサービスや商品の1年間分まとめ買いですから、その分、高い価格となります。365回ではないにしても、数回分(場合によっては数十回分)の利用料になるからです。それでも、年間パスポートを買おうと思わせるには、ディズニーランドのように確固たる魅力を打ち出すことが条件です。また、定期的に使う必要が出てくるサービスや商品で、一定の品質を保証できるものに限定されます。

年間パスポートを購入したその時は金額が高くなりますが、年間で使えば使うほど割安になるからです。ただし、提供されるサービスや商品が、年間でころころレベルが不安定であったり、明らかに他の店より劣っていたりする場合は、その例ではありません。

要は、年間パスポートはお客様とお店との“約束”の証なのです。それが年間破られることがないことを前提に、お客様は年間パスポート買った方が得だと判断します。

年間パスポートに適したサービスや商品は限られている

年間パスポートの実施例としては、長野県にある美容室で実施されている、年間定額の「リタッチカラー」のフリーパスポートがあります。リタッチカラーとは、髪を染めた後に伸びた紙の根元の部分を染め直すサービスのこと。髪が伸びるたびに全体を染め直すとお金がかかるので、根元だけ染め直してもらうサービスを年間パスポートにして、少し伸びたら利用する形で購入しています。さらに全体染め直す場合には、年間パスポートを買ったお客様対象に優待料金が設定されており、お得に利用できるようになっています。また、シーズンカラーカウンセリングという特典があり、年間を通じて髪の色を専門家に相談できる体制を構築しています。年間パスポートと他のサービスを抱き合わせて、お客様のお得感を創りあげているので、初年度の年間パスポート購入者の満足は高く98%が継続しています。常連客のメリットを作って、常連客を育成するツールでもあります。

他にも、飲食店ではドリンクバーの年間パスポートを導入すれば、待ち合わせや打ち合わせにも利用してもらえるようになり、来店頻度を上げることができるでしょう。

雑貨店のラッピングサービスやクラフト教室参加、ポストカードの作成コーナーの利用なども、年間パスポートに適しているといえます。

しかし、年間パスポートは、どんなサービスや商品でも対象にできるわけではありません。ディズニーランドの入場料や、美容室のリラッチカラー、飲食店のドリンクバー、雑貨店のラッピングなどは、いずれも原価率が低く、通常店舗を運営していればランニングコストとして発生する分を上手く利用しています。仕入れが大きく発生するサービスや商品には適していません。コストをコントロールできること。そうでないと、年間で多く来てもらっても赤字になってしまうのでは、もともこもないですから、注意が必要です。