※販促メソッドに関する共著の草稿ですから長めです。ご了承ください。
夕飯時に「あ、醤油を買い忘れた!」と言う時、夜中にテレビを見ていて「なんだか小腹が空いた。」という時、大変重宝するのはコンビニエンスストア。
もともとコンビニは、その草分け的存在の「セブンイレブン」の名でもわかるように、朝7時から夜11時までが営業時間でした。しかし、都市部では深夜まで起きているライフスタイルが定着し始めていたため、24時間営業のコンビニが誕生した経緯があります。
このように営業日や営業時間を変えることで、お客様に新しい価値を与えて、ライフスタイルを提案していく、それが販促ウエポンとして活用するポイントです。
■営業をする選択と営業しない選択
コンビニの利便性は、いうまでもなく営業時間。ここでは価格を安くしないでも、定価でお客様が文句も言わずに商品を買っていきます。このメリットをコンビニが享受できているのは、休みなく営業するという経営選択をしたからです。
ただし、24時間営業をウリにするために、全国どこのお店に行っても同じ商品を提供できる店舗ブランドの統一や、いつでも商品を切らさない商品供給システムの構築など、新しい業態として生活の中にとけ込む企業努力を続けてきました。
今では、都心部で365日×24時間がほぼ通常化となり、全国の至る所に存在しています。年中無休の営業時間で経営するコンビニは、まさしく「コンンビ二エンスストア=便利なお店」と言っても過言ではないでしょう。しかし、それを支えたのは、絶え間ない企業努力だったのです。ですから、コンビニと同じように営業時間を単に増やすだけでは、お客様から「便利なお店」と呼ばれるようにはなりません。
逆に、営業日や営業時間を短くすることは、販促ウエポンにならないのでしょうか。
週3日しか営業しないスーパーの事例が、面白いビジネスモデルなので紹介したいと思います。山形県にある「週末びっくり市」の営業日は、金土日の3日間だけ。その他の曜日には、曜日ごとに予定が組まれています。月曜日は掃除の日、火・水曜日はお休み、木曜日は開店準備の日として、お店のスタッフが活動するのです。お店自体をお休みにすることで、シフトを組んで交代で休む必要が無くなり、販売日を週末に限定することで販売効率を最大限にアップしています。お店の営業時間は出来る限り少なくしていますが、営業時間内の人出は多く、激安にしていても大きな利益を得ています。あえて縮小短縮する考え方がお店の差別化を図り、地域というより全国で有名な店舗になっています。
また、週3日間しか営業しないので、無駄な光熱費を削減することができ、人件費や商品の輸送コストを削減することが可能になります。その浮いた分、激安の価格で商品を提供するビジネスモデルにしています。
営業時間を絞り込むという販促ウエポンは、話題性を高め集客効果があるだけでなく、営業コストを下げ顧客サービスに反映できる効果も期待できます。
ということは、営業日・営業時間を販促ウエポンとして活用する時には、営業時間を増やす選択と減らす選択が共に考えることができるということです。但し、いずれも、お客様にどんなサービスを提供できるのか、考えていることに違いありません。
■営業時間を決めるポイント
営業時間や営業日を考える際に、チェックすべき項目の1つに、競合店の営業時間があります。当然、他の店舗が営業していない日や時間に開店するのは、競争相手が少なくなることですから、お客様を多く獲得できる可能性が高くなります。
そこで、もう1つのポイントが必要になります。お客様の買物行動です。
1988年の流行語大賞銀賞を「花モク」で受賞したデパートの松屋は、お客様の買物行動から営業日を変えた事例です。当時はバブル景気に湧き始めた頃で、金曜日よりも店内が空いているという理由で、OLの間で木曜日に買物を楽しむ傾向が生まれました。そこで、木曜日が定休日だった松屋は、いち早く木曜日定休日を止めて、営業日を変えました。それで「花の金曜日」にならぬ「花の木曜日」、「花モク」と呼ばれたのです。
あるカフェでは、平日の日中に来店するビジネスマンが、ちょっとした打合せや休憩で利用する反面、夕方以降の利用は伸び悩んでいました。そこで、夜の利用を拡大するために、アルコールを軽く飲んでサッと家に帰ることを提案できるよう、カフェ形式とバー形式の営業時間を2スタイル用意して、それに合わせて照明やメニューを変え、異なるニーズに応えられるようにしました。バー形式では、コーヒーの価格を2倍にして、つまみメニューを増やして客単価のアップを図っています。
あなたの店舗に顧客を増やすアイデアが欲しい時、競合店が営業していない時で営業できないか、お客様の買物行動から必要な営業時間はないか、検討してみてください。
営業日や営業時間を変えることが販促ウエポンとして働き、あなたのお店を「便利なお店」として定着でき、また、生活に新しいサービスを提供することで、新規顧客の獲得も狙えます。