テレマーケティングってご存知ですか。言葉は知っていても、意味は正確には解らないという人も多いことでしょう。テレマーケティングは、「様々な通信メディアを通じて、お客様との良き関係を築いていくため手段」で、ダイレクトマーケティングの代表といえます。

では、テレマーケティングを販促ウエポンとして活用するにはどうすれば良いのでしょう。


■テレマーケティングはテレアポや電話セールスと違う
テレマーケティングは、大きく分けて「電話を受ける=インバウンド式」と「電話をかける=アウトバウンド式」の2つの手法があります。「電話を受ける」は、基本的にお客様から電話が来ることを待ち、受付業務を行うやり方で、「電話をかける」は、あらかじめ絞り込まれたお客様に電話で商品の紹介や説明をするための手法です。

現在、多く行われている「テレアポ」は、テレフォンアポイントの略称で、新規顧客に対して来店や商談などのアポイントを取る活動のことです。また、「電話セールス」は販売や契約を目的とした営業トークを組み立て、手元のリストを基に電話でアプローチをして、より最短で受注する活動のことをいいます。

いずれも使われているのは「電話をかける」手法のみで、商品やサービスを積極的に売り込むための営業プロモーションです。

それに対して、テレマーケティングでは、新規顧客からニーズを吸い上げ、それと合致する商品・サービスを提供することで顧客満足の向上につなげることができます。また、既存顧客に対しては、アフターフォロー、クレーム対応など、継続的な信頼感と関係を築き、顧客満足の向上につなげることができます。テレマーケティングの本質は、「お客様の創造」「顧客満足の向上」「顧客保持」のプロセスを円滑かつ効率的に実現することにあります。決して、テレアポや電話セールスの様な、単なる電話での売り込みではありません。

また、テレマーケティングは、直接、お客様と向かい合いますから、商品の感想や意見を聞くことができます。そして、それをダイレクトに商品を作っている企業・部署に伝えることができ、さらに良い商品を作り出すことができると利点もあります。万一、お客様からクレームがついたとしても、それが商品に反映されますので、テレマーケティングは決して無駄にはなりません。

つまり、テレマーケティングは、さらに良い商品やサービスを作り出す原動力になりうるのです。


■テレマーケティングの本質は「御用聞き」

テレマーケティングの領域は、営業代行・営業支援・市場調査・お客様窓口と広いので、日頃のお礼、キャンペーンの告知、アンケート、相談フォロー、新商品の予約販売、展示会・セミナーの告知など、考えれば考えるほどテレマーケティングを活用するアイデアが生まれてきます。電話セールスやテレアポが自社に合わないという企業も多いと思いますが、テレマーケティングはどんな企業にも導入できるはずです。

テレマーケティングでは、あたかもお客様それぞれに担当者が付いているかのような、お客様との濃密な関係創りをすることが可能となります。これが上手くいった事例としては、ある町の電気屋さんがあります。この店では、既存顧客と密に連絡をとりアフターフォローをすると共に、家庭内の家電の状況をヒアリングしながら、電球の交換までお客様の相談に乗っています。それで、お客様の高い信頼を得て、様々な家電の受注を受けるだけでなく、親類や友人を紹介してもらい顧客の幅を広げています。まさに、テレマーケティングで、昔ながらの「御用聞き」を行って成功したのです。

美容室のトライアル客には、「私があなたの担当です。ヘアメイクで困ったらすぐ電話してください。」と名前と電話を明記したカードを渡すだけで、テレマーケティングが始まります。

飲食店では、ただ予約を電話で受けるのではなく、アレルギーや味の好み、会の目的などをヒアリングして、当日の料理に反映させるだけで、あなたのお店の株が上がるでしょう。

雑貨店では、商品を売り込む電話ではなく、「お買い上げいただいた商品は、いかがですか。」と様子をうかがいながら、お客様のニーズを訊き出してください。次回、そのお客様が来店した時に、ニーズに合った商品を提案できるようになります。

テレマーケティングは、一方的なコミュニケ―ションではありません。お客様との関係を築くためには、テレマーケティングはインタラクティブであることが必要となります。


少子高齢化で、あらゆるビジネスは競争が激しくなっている今だからこそ、テレマーケティングが必要なのです。

テレマーケティングを成功させるカギは、「御用聞き」形式で相手の情報を訊き出すために電話をかけることと、お客様の不満やご要望を聞くために電話を受けること。そうすれば、短期間にコストも少なく、お客様がファンになってもらえますし、お客様流失防止にも、紹介にも非常に役立ちます。さ、テレマーケティングを販促ウエポンとして活用してみませんか。




年間パスポートで、一番馴染みがあるのはディズニーランドかもしれません。

この年間パスポートをあなたが持っていると、想像してみてください。その時、年間パスポートを持っているから「もったいなくて」何度もディズニーランドに行かなくてはと思いますか。それとも、ディズニーランドが大好きで年間パスポートを購入したから何回もディズニーランドに行けると思いますか。さあ、あなたならどちらでしょうか。

実は、年間パスポートはこの2つの視点を両方合わせ持っているのが、この販促ウエポンの特徴なのです。


■年間パスポートは常連客を増やす施策

年間パスポートは、あるサービスや商品を1年間分まとめ買いしていることになります。つまり、1年間、このサービスや商品を何回使ってもこれ以上費用が発生しないのです。ここが、使うたび減る回数券やプリペイドとは異なる点です。だから、年間パスポートを持つと「もったいなくて」他の店に行く気がしなくなり、ついついお店に通う回数が増えていきます。これが年間パスポートの第1の効果。年間パスポートは、お客様をみるみる常連客に変えてくれる魔法のプロモーションになります。

そして、来店したなら「ついでに」他のサービスや商品を買っていくのも、ヒトの心情というものです。だって、あなたがお客さまだったとしたら、タダでサービスしてもらうのは、やっぱり心苦しいでしょう。自分の行きつけの、良く知っているお店ならなおさらです。だから、来店してもらえれば何らかの売上を上げることになります。

年間パスポートは、来店頻度の高い常連客を増やして売上を上げる、魅力的なウエポンなのです。


■年間パスポートはお客様との“約束”の証

但し、年間パスポートの効果が出てくるには、条件があります。ディズニーランドには、確固たる魅力的なブランドが成立しているから、自然とファンが生まれ、年間パスポートを購入したいと思うお客様が多いのです。

年間パスポートは、サービスや商品の1年間分まとめ買いですから、その分、まとまった価格になります。最低でも数回分(場合によっては数十回分)の利用料になるからです。それでも、年間パスポートを買おうと思わせるには、ディズニーランドのように確固たる魅力を打ち出すことが条件です。また、定期的に使う必要が出てくるサービスや商品で、一定の品質を保証できるものに限定されます。

お客様にとって、年間パスポートの購入金額は高くなりますが、使えば使うほど割安になることが魅力となります。そのため、提供されるサービスや商品が、年間でころころレベルが不安定であったり、明らかに他の店より劣っていたりする場合は、その例ではありません。

要は、年間パスポートはお客様とお店との“約束”の証なのです。それが年間で破られることがないことを前提に、お客様は「年間パスポートを買う方が得だ」と判断するのです。


■年間パスポートに適したサービスや商品は限られている

年間パスポートの実施例としては、長野県にある美容室で実施されている、年間定額の「リタッチカラー」のフリーパスポートがあります。リタッチカラーとは、髪を染めた後に伸びた紙の根元の部分を染め直すサービスのこと。髪が伸びるたびに全体を染め直すとお金がかかるので、根元だけ染め直してもらうサービスを年間パスポートにして、少し伸びたら利用する形で購入しています。さらに全体染め直す場合には、年間パスポートを買ったお客様対象に優待料金が設定されており、お得に利用できるようになっています。また、シーズンカラーカウンセリングという特典があり、年間を通じて髪の色を専門家に相談できる体制を構築しています。年間パスポートと他のサービスを抱き合わせて、お客様のお得感を創りあげているので、初年度の年間パスポート購入者の満足は高く、98%が継続しています。常連客のメリットを作ることで、常連客を育成するツールとしても活用できます。

他にも、飲食店ではドリンクバーの年間パスポートを導入すれば、待ち合わせや打ち合わせにも利用してもらえるようになり、来店頻度を上げることができるでしょう。

雑貨店のラッピングサービスやクラフト教室参加、ポストカードの作成コーナーの利用なども、年間パスポートに適しているといえます。

しかし、年間パスポートは、どんなサービスや商品でも対象にできるわけではありません。これまで上げた事例では、いずれも原価率が低く、通常店舗を運営していればランニングコストとして発生するモノを上手く利用しています。仕入コストをコントロールできること。そうでないと、年間で多く来てもらっても赤字になってしまい、元も子もないですから、注意が必要です。


それだけクリアすれば、常連客を作って売上を上げていく魅力ある販促ウエポンが、あなたのお店でも活用できます。どんなサービスなら実現できるか、一度検討してみませんか。





リマインダーというと難しく聞こえるかもしれませんが、何ということはない「思い出させてくれるもの」という意味です。日常生活の中でよくある確認メールや電話でのフォロー、スケジュールのアラームみたいなものです。

思い出させる方法としては、最近は電子メールの形式が多いようですが、他にも郵便、電話、アプリケーション、あるいはマグネットやメモ帳などノベルティの配布など、デジタルやアナログ、いろいろな形式があります。


■「思い出させる」と売上があがる

リマインダーで「思い出させる」とどうして売上があがるのでしょう。これのどこが販促ウエポンなのでしょうか。

このリマインダーが一番よく使われているのは、ネットなどでレストランを予約した時。ネットでレストランを予約していたのに、すっかり忘れてしまったり、ついつい予約した時間に遅れてしまったりしたことありませんか。レストランでは予約しているのに勝手にキャンセルされたり、遅れてこられたりすることが、店舗運営の面で大きなダメージが発生します。そのため、前日や数日前に自動的に予約確認のリマインダーが、メール配信されるシステムが採用されています。そうすることで、予約を忘れてドタキャンされたり、時間に遅れてしまってその後の予約に影響が出てきたりすることが少なくなります。また、ちゃんとお店から確認して、「来店をお待ちしております」と連絡することで、お客様とお店との間に信頼関係を創りあげていくことも期待することができます。

この事例では、新規顧客や見込み客など、お店にまだ来ていないお客様に対して、親切丁寧で、ちゃんとしたお店という印象を植え付ける効果も高いといえます。その時の文面や対応などの工夫によっては、「行きつけ」のお店になる可能性が高いのです。


■「思い出させる」タイミングは3つある

では、リマインダーを配信するタイミングは、どこがベストなのでしょうか。

例えば、美容室サロン店では、通常3回リマインダーを送ることができます。1回目は、ネットや電話で予約があった時。予約が正しいかどうかを確認して、万が一、間違いなどがあった場合に修正してもらうことができます。そのため、お店側はミスやロスが少なくなり、運営コストを低くすることができるだけでなく、お客様も予約を確認できることで安心できます。

2回目は予約当日。お客様が予約していることを忘れないように、あるいは予約に遅れないように促す効果があります。先に述べたレストランの例と同じで、ドタキャンと予約がずれ込むことが少なくなるので、店側のリスクが低くなります。最後に、施術した後しばらくして、「サービスはいかがでしたか。」「ご満足いただけてますでしょうか。」と3回目のリマインダーを行うことも重要です。これにより、サービスを提供したら終わりではなく、お客様を気遣うお店の姿勢をアピールすることができるので、リピーターや常連客に育成することを狙えます。顧客満足を気にする企業姿勢は、当然、リピート客や常連客を育成するために有効ですし、アンケート形式で顧客の声を集めて活かす体制まで反映できれば、常連客が積極的に新規顧客を紹介してくれる状況まで持っていくことも期待できます。


■さらに、リマインダーで集客できる工夫も

あなたのお店で取り扱う商品やサービスが、継続して使うものや定期的に利用するものであれば、さらに、リマインダーで集客できる工夫もあります。例えば、アメリカの園芸用品店で、芝生の肥料を買ったお客様に対象に「芝生の手入れリマインダー・サービス」を実施した事例があります。このサービスは、いつ、どのような製品を芝生に散布すればよいのかをお知らせするものです。そして、居住地域や草の種類、選択している芝生手入れプログラムなどで、お客様を分類して細かく対応できるようになっています。そのため、芝生の適切な手入れできる情報を、必要な時期に提供できるだけでなく、芝生を育てているお客様の信頼感を育成することにも成功したのです。その成果は登録会員約83万人を獲得しただけでなく、大幅な売上増を実現したことが知られています。

マグネットやカレンダーに店名を入れて配布するノベルティも、集客するためのリマインダーの1つ。ある商品やサービスが必要となった時に、手元にあるノベルティでお店の名前が目に入れば、「ここで買えば良いな」「ここに頼もう」と思わせる効果が期待できます。要は必要となった時にお客様の目に留まることに留意すれば、アナログな方法でも無駄とは限らないのです。


提供する情報内容を、お店のサービスやお客様のニーズに合わせて工夫を考えると、メールを使ってもノベルティを配布しても、リマインダーを「思い出させる」販促ウエポンとして、役立てていくことができます。あなたのお店のサービスやお客様ニーズを見直して、リマインダーでお客様との関係を強化したり、集客したりする工夫を検討してみませんか。





クレームを受けた際、あなたのお店ではどのように対応していますか?

昨今、食品表示の問題やサービスの在り方を問われるクレームが出て、より反感を産み出してしまったケースがありました。それだけ、クレーム対応を上手くできない会社やお店に対して、お客様は厳しい目を持っています。クレームは、その対応によって、お客様の間で一気に広がっていくものなのです。ですから、これから起こるかもしれないお客様のクレーム対する考え方や対応の仕方について、少し見直しをしてみませんか。それが、この販促ウエポンで実施して欲しいことです。


クレームはピンチではなくチャンス。

クレームは誰もが嫌なものです。しかし、「嫌だな」「面倒くさいな」「言いがかり」と、クレームへの拒否感や違和感を持って対応すると、必ずその感情が相手に伝わります。すると、お客様は「大切に思われていない」「軽く見られている」と感じ、さらに腹を立てていきます。実は、自分がクレームを言いたい時のことを考えると、自ずと答えは出てくるのですが、いざとなると上手く答えを見出せないものです。そこで、まずクレームをピンチと考えず、チャンスと捉えるクセをつけましょう。例えば、次のように考えてみましょう。

●クレームは貴重な情報源

●クレームは取引拡大、リピート顧客の増大に効果的

●クレーム対応は信頼を獲得する一番早い手段

実際、クレームに上手く対応できている会社は、お客様からの信頼をどんどん得ています。そして、新たな商品の開発やブランド力のアップをさらに進めています。クレーム対応は、お店の商品やサービスをレベルアップするために必要な授業であると考えて、積極的に対処しましょう。


クレームは内部で共有してすぐ行動すること。

まずは、冷静に耳を傾ける姿勢でクレームに臨みたいものです。お客様が何に対してクレームを言っているのか、お客様はどう対応して欲しいのか、しっかり訊き出してください。

例えば、雑貨屋店で販売した商品が、すぐ壊れたのは不良品ではないかというクレームに対して、①新品と交換する、②代金をお返しする、③修理するという選択肢を提示するのは良い方法です。提案が一つだけだと押し付けられているように感じてしまうため、複数の選択肢を用意することが大切です。

特にお客様の要求が分からない場合は、「お客様に納得していただくために、私たちにできることはございますか」という言葉で訊いてみましょう。そしてお客様の要求が分かったら、お客様の要求がどんなものであっても、真摯に受け止めることが必要です。感情的になっているお客様は、時に無理難題を要求する場合もあります。このような場合でも、要求を分割したり、代替案を提案したりすることで、できるだけお客様の要求を受け入れるように努めましょう。

お客様への直接的な対応ができたら、次にやらなくてはいけないのは、社内へのフィードバックです。自社内部やお店のスタッフ全員で、クレームを共有して具体的な対策を考えること、それが大切なのです。実際の商品・サービスや店舗での接客にまで、しっかり落とし込んでフィードバックしていきましょう。例えば美容室では、朝礼の時に全員に内容を報告しその対策をそれぞれで考えてもらいましょう。雑貨店ではバックヤードやレジカウンターに、スタッフ用の注意事項のメモを残すのも良いです。飲食店では、すぐに店長もしくはシェフに伝えるように徹底させ、その後の対応をルールとしてスタッフ全員に提示しましょう。

店長だけでなく、スタッフ全員がクレームの発生を知り、その対処法を全員が理解することが重要です。今後、同じクレームが出ないように、スタッフで情報を共有できる場を必ず設けて、徹底させましょう。


最後にクレームを外部に伝えることが大切。

でも、それだけではクレームのフィードバックは終わりません。

以前、ある大学の「生協の白石さん」が話題になったことがあります。大学生からの「ひとことカード」に対して、どんな要望や質問にも真面目に、時にはウィットに富んだ回答を書いて全員に公開し、広報の望ましいあり方として有名になりました。クレームもただ受け取るのではなく、ちゃんと受け取っていること、どう対応しようとしているのかを、お客様全員に提示することが大切です。

それでは、他のお客様にもクレームがあったことが知られてしまう?それで良いのです。狙いは、クレームに真面目にきちんと対応していることをアピールすることですから。

クレームに対して、謝罪の言葉はとても有効ですが、行動が伴ってはじめて謝罪といえるのです。謝罪をカタチのあるものにするには、二度とこのようなことがないことを約束し、実際にその通りに行動する必要があります。行動が伴った謝罪は、「お客様は大切な存在であり、今後もよい関係を続けていきたい」というメッセージになり、失った信頼を回復するのです。

だから、それをお客様全員に提示することで、信頼関係を築けてリピート率を高めていくことができるのです。クレーム対応はお店の信頼を構築するための販促ウエポンです。

皆さんは、「この商品を全部お使いになっても、ご満足いただけなければ全額返金いたします!」というアナウンスを流しているのを、テレビショッピングなどで聞いたことはありませんか。「返金保証」とは、まさにこのことです。全部使いきった商品を返品されて全額返金してしまったら、「それじゃ、丸損じゃないか!」と考える方もいらっしゃるかと思います。この販促ウエポンは、性善説に基づいてお客様を信頼してこそ成り立ちます。そして、自社の商品やサービスに自信を持って提供できるかどうかも重要となります。この2つの条件が欠けている場合は、返金保証は実施してはいけない販促ウエポンですから、ご注意ください。


■返金保証はお客様のハードルを下げる


お客様が商品やサービスを購入する時に、一番心配なのは何でしょう。それは、購入後に自分には合わなかったり、思っていたほど満足できなかったりすることではないでしょうか。いわゆる「買って損した!」と感じることです。特に通信販売では、実際に商品を手に取って見ることも、触ることもできません。これでは、ますます購入した後に満足できるかどうか、心配は増すばかり。そのため、通信販売では、法的にはクーリングオフ制度は義務付けられてはいないものの、各社で「商品到着後〇日以内の返品が可能」という制度を導入しているケースが多くなっています。その延長に「返金保証」があります。試して返金してくれるのであれば、「それなら、買ってみようか。」と、お客様のハードルを一気に低くする効果があります。購入のハードルを低くして手に取って試してさえもらえれば、その良さを充分にわかってもらえる、それほど自社の商品やサービスに自信があれば、是非、導入すべきでしょう実際、商品を使い切った後に返品を要求するお客様の割合は、多くても10%前後と言われています。返金保証を導入して新たに獲得できるお客様の割合と照らし合わせると、プラスになることが多いと予測されます。


■返金保証は全額返金だけではない。


ところで、返金保証は全額を返金するだけでなく、展開の仕方に応用が利きます。継続して契約する商品なら、1ヶ月無料体験というのも、立派な返金保証です。この手法は、設備機器などを販売しているお店で使うことができます。同様に、雑貨店では、購入したインテリア雑貨の色が、部屋に置いてみると何だかしっくりこないという場合、使用による汚れや破損がないこととレシートを提示することを条件に、「お取り換え無料」というサービスを行うと、トライアル購入のお客様を増やし、お気に入りのお店になることも可能です。美容室では同じサービスで返すこともできます。例えば、ヘアカラーをやってみたけど自分には似合わなかったと思ったら、「1週間以内ならやり直します」サービスでやり直す。これなら、ヘアカラーにチャレンジするお客様も増え、客単価をアップできます。飲食店では、味付けが濃かったとか薄かったというクレームに、「味付けが気に入らなかったら、何なりとお申し付けください。」で対応したり、お帰りの際に味付けの好みを書いた割引券を進呈したりする対応で、リピート客を育成することができるはずです。要は、お店の負担にならない形での「返金」を検討し、返金保証と同じような効果を狙っていけば良いのです。


■返金保証の導入は集客や付加価値充実にも役立つ。


また、ある地方の温泉旅館では、お客様の満足に合わせて宿泊料金をお客様が設定してお支払する制度を導入しています。これも「返金保証」の変形版です。満足できなれば低い料金でもOKとなることは、それ自体、お客様の満足感を高めることができます。さらに、会計時にお客様の感想をヒアリングするアンケートを導入しているため、お客様が不満に感じた点を明確にすることができ、宿の付加価値の見直しができるだけでなく、従業員一人一人のサービス精神にも火をつけて、宿のより良い「おもてなし」の実現に役立っているようです。この返金保証を導入した海外のホテルやカフェでは、リーマンショックの世界的な不況で利用客が激減していた状況から、お客様の間で口コミが広がり、いずれも来店客が1.5~2倍に増えているそうです。返金保証の導入はそれ自体が話題となり、新規のお客様を獲得できる機会が増えていきます。さらに、サービスを提供する側も返金要求されないように、付加価値を高めていく努力を行う意識が高まるといった、プラスのスパイラル効果が期待できます。「返金保証」は、お店とお客様との関係や商品・サービスへの自信、お店に負担がかからない返金の方法など考えなければいけない要素が複数あり、手軽に導入することはできない施策ですが、お客様へのインパクトが大きく、新規トライアル促進だけでなく、リピート客の育成、社内のやる気の奮起などの効果が期待できる販促ウエポンです。